2003年エリザベス女王杯は、予想するにあたっていろいろとポイントの多いレースで、ざっと数えてみただけでも、
(1)スティルインラブは初の牝馬四冠を達成か?
(2)それともアドマイヤグルーヴがついに逆転を果たすか?
(3)その前に、そもそも3歳世代と古馬のレベル差はどうなんだ?
(4)今年が初参戦となる外国馬の力量は、どう考えればいい?
(5)またまたアンカツマジックはあるのか?(笑)
・・・というわけで、レースへの興味は尽きないんだが、この疑問に一つ一つ答えを用意していこうとすると、馬券の面ではまったく焦点を絞れないことになってしまう。そういうときはたいてい「考えたあげく、全く見込み違いの馬券」と相場が決まっているもので(笑)、ここは、ポイントを明快に絞って馬券を考えてみたい。
・・・と、いうわけで、はい! 今週もラップタイムの分析のお時間がやってまいりましたよ(笑) エリザベス女王杯が古馬にも開放されて今の形になってから、やっと7年。でも、たった7年とは言え、ラップから見ると、かなりはっきりした傾向が出てるんですね~。
↑↑↑ここに過去7年間のラップタイムを一覧にしてみましたので、興味ある人はぜひ見てくださいね。興味ない人用にも、「表の見方」という注釈つけたので(笑)、ちょっと見てみると面白いかもよ。(別ウインドウが開きます)
| ◎1996年 | ・・・ | 2コーナーまでゆったりした流れだったが、向正面ではわりと 厳しい流れ。結果、「追い込み」というほどではないが、2着 には4角で10番手にいたフェアダンスが差してきた。 |
| ◎1997年 | ・・・ | 向正面で非常に厳しい流れとなった。勝ったエリモシックは4角 で15頭中14番目のポジション。まさに直線一気の凄い切れ。 |
|---|---|---|
| ◎1998年 | ・・・ | 向正面がユルユルのラップ、勝ったメジロドーベルが4角3番手、 2着のランフォザドリームは4角2番手。ちなみにこの年の3着が、 エアグルーヴ(4角3番手)だった。 |
| ◎1999年 | ・・・ | この年は向正面で12秒6-12秒7、これは厳しくもなくそう緩くも ないという流れ。最後の決め手勝負に物を言わせて4角7番手 から メジロドーベルが2連覇。 |
| ◎2000年 | ・・・ | 向正面でかなりラップが緩んで、前が楽をしたレース。勝った ファレノプシスも2着のフサイチエアデールも、終始前々の競馬。 |
| ◎2001年 | ・・・ | 向正面での流れが最も厳しかった年。トゥザヴィクトリーが凄い 鬼脚で追い込んだ印象だったけど、実は前も止まっていた レース。 2着がさらに後ろから来たローズバド。 |
| ◎2002年 | ・・・ | 向正面で13秒台が2回続いて、前々の決着。このユルユルな ラップが、 4角過ぎのファインモーションの豪脚を演出した。 |
【ワンポイント】 おそらくハイペースで、今年は’97年、’01年型のレースかな?
そうすると4角でかなり後方にいて切れる馬。。。っていうと、あの馬かい?(笑)
| wrote:2003/11/13 |
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ちょっとキニナル、エ女王杯あれこれ <**ちょっと雑談/2003年 エリザベス女王杯**> |
| ◎◎キニナル1/今年の3歳牝馬、レベルは高いんでしょうか?◎◎ スティルインラブの牝馬4冠か、それとも京都の外回りに変わってアドマイヤグルーヴの巻き返しか。これが今年のエリザベス女王杯の焦点のひとつのように言われてるが、でも、古馬と比べたとき、レベルはどうなんだろうか? 古い話だけど、あの超抜に強かったメジロラモーヌでさえ、3歳の暮れに挑戦した有馬記念では、まったく手も足も出なかったのだった。もちろん有馬よりはエ女王杯、ぐっとメンバー落ちるのは確かだが、それにしても3歳牝馬の秋、微妙だね~。 ○○キニナル2/外国馬のレベルはいったいどうなんでしょう?○○ フランス産の牝馬というとマジックナイト(JC2着、マグナーテンの母)を思い出すんだけど、古い?(笑) ▲▲キニナル3/同じ馬が連対することが多いレースだよね▲▲ ダンスパートナーが、1996年に1着、翌1997年に2着。そしてメジロドーベルが1998年と1999年を2連覇。さらにフサイチエアデールが1999年と2000年に連続2着。たった7年の歴史で、2回連に絡んだ馬が3頭もいる。 【ワンポイント】 このレースは騎手の腕も重要だが、やはりペースが支配するといった感じかな。 |
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エリザベス女王杯が今のレース形態になってまだ7年、連対馬も延べ11頭では傾向も何もあったものではないが、しかし「ラストで極限の切れ味争い」となったとき、いかにも強そうなのがサンデーサイレンス。
そして流れから言って、ほぼゴール前「競り合い」になるシーンのないレースで、ズバッと一気に抜け出した馬が勝つ。こういう、競り合わないレースだと強いのがノーザンダンサー系。 ・・・というイメージだが、いやあ笑った笑った、7年間の連対馬はほとんどサンデーかノーザンじゃないか(笑)
○サンデー産駒、及びターントゥ系の出走馬
・アドマイヤグルーヴ
・ショウナンバーキン(父フジキセキ)
・スティルインラブ
・ダイヤモンドビコー
・ヘヴンリーロマンス
・ローズバド
○ノーザンダンサー系の出走馬
・アナマリー(父Anabaa)
・オースミハルカ(父フサイチコンコルド)
・スマイルトゥモロー(父ホワイトマズル)
・タイガーテイル(父Priolo)
×サンデーでもノーザンでもない、あらかじめダメかもしれない出走馬(笑)
・シンコールビー(父サクラローレル)
・トーワトレジャー(父トニービン)
・メイショウバトラー(父メイショウホムラ)
・ヤマカツリリー(父ティンバーカントリー)
・レディパステル(父トニービン)
【ワンポイント】
過去にファラリス系4段重ねの配合でバンバン連対してるから、
配合の奥深さとかは今回あまり気にしなくていいかも?
| wrote:2003/11/18 |
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武豊が凄い理由 <**レース回顧/2003年 エリザベス女王杯**>Race/2003.11.16 |
| スティルインラブの牝馬四冠チャレンジ、そして外国からの初参戦など、戦前の話題に事欠かなかった2003年のエリザベス女王杯。レースは騎手の見ごたえある駆け引きを堪能できて、G1にふさわしい白熱の一戦だった。 最初の1ハロンは、意外にも、どのようなレース展開になるのかまったくの手探り状態。いつものとおり、ゲートが開くと矢のように飛
んで行くと思われていたスマイルトゥモローが、どうも「できればゆっくり、折り合いつけて」という構えなのだ。もともと、オークスを鋭く追い込んで勝った馬だし、息を入れずに超ハイペースで逃げまくってはつぶれる、といった最近のレースぶりよりは、折り合いをつけてじっくり行ったほうが、能力を発揮できるに決まっている。 こうなると、このあとレース結果を大きく左右するのが、道中のポジションということになる。ハイペースをあまり前で追いかけすぎると、ゴール前必ずタレてしまうし、かと言って、3コーナー手前あたりで、もしも逃げる吉田豊がペースを落とすようだと、中団より後ろでは苦しくなるかもしれない。追走する騎手には、ペース判断と位置取りが難しいレースとなりつつあった。 馬群が、淀の名所・3コーナーの山を越えて、大きなカーブに差し掛かってくる。先頭を行くスマイルトゥモローの脚いろがやや怪しくなりかけて、レースはクライマックスを迎えていた。 この勝負どころで、スティルインラブの幸は秋華賞のときと同じように、一気に仕掛けて、レースを支配しに出た。馬も素晴らしくビビッドな反応を見せて、抜群の瞬発力で、前をグッと捉えに掛かっている。 このとき、武豊・アドマイヤグルーヴは、ワンテンポ乗り遅れたように見えた。4角少し手前でスティルインラブが動いていったそのとき、ほんのわずかについて行けず、スティルインラブに少し離される格好になったのだ。 一瞬の反応の悪さ。 往々にして、これはレースの中では致命的な敗因となる。アドマイヤグルーヴは少しピンチかもしれない! ・・・しかし、そう思えたのは、ほんの数秒のことでしかなかった。 直線をビッシリ叩きあったあと、ゴール前100mの地点では、差してきたアドマイヤグルーヴがグイッと抜け出していた。 スティルインラブは必死に食い下がって差し返そうとするが、すでに余力は残されていない。4角で一瞬早くスパートした分だけ、最後の2完歩か3完歩わずかに力尽きたのだ。その分だけ、ほんの少しの差ではあったが、初めてアドマイヤグルーヴに先頭を譲ることになった。ユタカが4コーナーで作った一瞬のタメが、最後の最後、ゴール板でモノを言ったのだった。 ポイントは、ペースにあった。 「仕掛けをワンテンポ遅らせる」と、言葉にしてしまうとものすごく簡単なことに感じられるが、それをG1の大舞台でできる騎手というのは、ほとんどいない。ここが武豊の、もっとも凄いところなだと思う。 どんな大レースだろうと、結果を大きく左右するのは、煎じ詰めると (1)流れとペース (2)道中の位置取り (3)馬の力と個性 (4)騎手の技量 この4つしかない。武豊が凄いのは、このすべてを、レースの流れの中で瞬時に、恐るべき正確さで把握している、ということなのだ。つまり、レースに騎乗していて、 「このメンバーでこの流れならば、勝つための位置取りはここで、追い出しのポイントはこの地点」 というあたりの直感が、ほとんどパーフェクトなのである。 時速60キロで疾走する熱い戦いの中、この人の頭脳は、いったいどこまで冷静なのだろうか。これはクールだからできることなのか、それとも勝負師として凄まじいまでの集中力で燃えているからこそできるのか、凡人にはとても計り知れない領域だ。 ゴールした瞬間、2頭の差はわずかにハナ差。 しかしあれは、どこまで走っても変わらないハナ差だったのではないか。ユタカが4角でいったん置かれたように見えたのは、実は「勝つためのポジションを取りに行った」という絶妙の騎乗だった。 自分の馬ばかりか、レース全体の流れと他馬の力量がしっかり読めていて、必ず勝てる位置取りを取りに行く。たとえそれが「一瞬置かれた」ように見えるポジションであってもだ。2003年エリザベス女王杯でユタカが見せた『仕掛けをワンテンポ遅らせる』騎乗は、まさに会心の名人芸だったと思う。 彼はレース中、自分の横を流れていく風景の速さや、馬の呼吸から、ほとんど正確なラップを感じ取ってるではないかと思えてくる。 |
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