穴馬発見☆資料置き場(倉庫)

ジャパンカップD

2003年/ジャパンカップダート









wrote:2003/11/26

大本命アドマイヤドンの意外な死角

<**ちょっと雑談/2003年 ジャパンカップダート**>

 アドマイヤドンはアンカツが乗るようになってから破竹の勢いで3連勝。エルムSは実際に目の前でレースを観戦したが、札幌のダート1700を、直線だけで一気に後続を突き放して、空前絶後の9馬身差。4角でバッと追い出してから、あの短い札幌ダートの直線で、一等だけまったく違う次元の競馬をしていた。まったく性能が違うとしか言いようがなく、本当に衝撃的だった。 ・・・と言いながら、しかしちょっと思いつくだけでも↓↓↓これぐらい死角があるんだけど、本当に大丈夫なんだろうか?

(1)東京のダートはこれが初めてだけど、大丈夫?  左回りの盛岡競馬場(直線400m)で快勝したとは言っても、府中のダートは直線501.6m。広い競馬場で勝ったキャリアのない馬だが、どうなんだろうか?しかも、これまでより断然相手の強いG1で、初コース。場合によってはやや集中力を欠くかも?

(2)小回りで圧勝する能力と、府中で勝つ能力は別モノ  札幌のような小回りのダートで圧勝するのに要求される能力は、「抜群の瞬発力」だ。つまりアドマイヤドンは、エンジンの掛かりとギアチェンジしてからの反応がケタ外れに鋭いというタイプで、追われたとき一気にグワッと反応するのが大きなセールスポイント。そしていかにも「まだいくらでも伸びます」という態勢でゴールに飛び込むんだけど、あれは実を言うと、小回りだからできる芸当かも? もし かすると「短い直線がドンぴしゃり」という可能性が、なくもない。府中の長い直線で、はたして同じ伸びを見せられるだろうか?

(3)勝ちパターンが4角先頭もしくは2番手
 アンカツだから当然府中なりの乗り方すると思うけど、あの、どこまでも続きそうな長い直線を、4角先頭策でしっかり持ちこたえるだけの体力がアドマイヤドンにあるだろうか?
 しかもおそらく、今回は同じような位置にペリエのサイレントディールがいるかも。競り合って勝てる?

(4)本当に体質強化したんだろうか?
 アドマイヤドンと言えばなにしろ「体質弱くて、きつい競馬の連続には耐えられません」という馬だったが、この夏の休養でそれは本当に改善できたのだろうか?実は目に見えない疲れがたまっていたりはしないか?

 ちょっと考えただけでもこれぐらいの死角がすぐ思い浮かぶんだけど、でもまあ、もし本当に「能力断然・圧倒的」なら克服できるかな?
 アドマイヤドンより、JCのシンボリクリスエスの死角のほうが、かなり深刻だ。それはまた別稿にて。

【ワンポイント】
それでもあなた、アドマイヤドンを買いますか?
え? 私はもちろん買いますよ(笑) 

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wrote:2003/12/2

超ハイレベル!常識破りのデッドヒート

<**レース回顧/2003年 ジャパンカップダート**>Race/2003.11.29

 レースを振り返るとき、そのレベルを推し量る目安として分かりやすいのが、道中のラップタイムだ。ゴール前がどんなに白熱した印象でも、ラップを見ると「実はレベル低い凡戦」というケースはザラにあるし、逆に、最後バテあいの展開で全馬ヘトヘトになってゴールインしたとしても、ラップを見れば実にレベルが高かったということもある。

 そういう観点から見ると、2003年のJCダートは実にハイレベルな一戦だったと思う。あの極端に悪化した馬場コンディションにもかかわらず、国内で行われるレースとしてはやはり最高クラスのものだったと言っていい。

 レースはカネツフルーヴが1番枠から遠慮なしに逃げて、不良のダートで速いラップを刻んで行った。1000mを59秒5、そして1200mが1分11秒7。これはまるで芝の良馬場のような流れで、いくら脚抜きのいい不良馬場だとは言っても、ダート2100mとしては、驚くようなハイペースだった。
 この厳しい流れの中、レースは 「パワーとスタミナ、持続するスピード、じっと我慢する精神力、そして最後に全力を振り絞る底力」が要求されるものとなった。 問われたのは、総合力。G1の格にふさわしい、本当にハードで厳しい戦いだったと言える。もちろん、馬だけじゃなくて、馬上で勝機を窺う騎手にとっても、かなりギリギリの戦いだったに違いない。


 このタフな馬場コンディションの中、カネツフルーヴが飛ばした流れはあまりに超ハイペースで、2番手から行ったスマートボーイが、3角を待たずに早々とレースから脱落してしまったほどだった。スマートボーイだって強い馬だし、それに別段力んで走っていたワケではないから、おそらくよほど苦しい流れだったのだ。
 向正面のラップが、12秒1-11秒7-11秒9。
 まったくペースは緩むことなく、芝の重賞並みのラップが刻まれ続けていた。
 向正面をこんなペースだと、先行した馬は当然ズブズブにつぶれてしまって、中団でうまく脚を溜めた馬に勝機は訪れる、というのが、いちおうは「競馬の常識」なんだが・・・。

 しかし、凄い馬が、コッソリと隠れていたもんだよね。
 勝ったフリートストリートダンサー、このハイペースを、向正面ではカカリ気味に3番手。常識的に考えると、この流れでは着もないぐらいのレース運びだった。 単勝11番人気が示すように、アメリカの馬とはいえまったく目立たない存在。なにしろ、自国では重賞を一度も勝ったことがないというキャリアだし、G1で3着という戦歴もあるんだが、そのレースはなんと4頭立てだ!
 その「格下馬」が3角からまくりぎみに行って、4角ではほぼ先頭に並びかけるポジションをキープしている。どう見ても、これは仕掛けるのが早すぎなのだ。しかも、すぐ後ろには最強馬アドマイヤドンがもう忍び寄っているし、これはおそらく坂上まで・・・と、レースに乗ってるほかのジョッキーも、そう思ったんじゃないだろうか。

 ところがアメリカから来た「格下馬」は、東京のあの長い直線を、4角先頭からビッシリ逃げに逃げた! それだけでも十分驚異的だったが、最後アタマほど出たアドマイヤドンを、なんとゴール前最後の一完歩で、もう一度差し返してしまったから本当に驚いた。
 あのハイペースの流れを3番手で追走して、さらに直線で死力を振り絞って競り合った上に、最後の最後にまだそんな力を残していたとは! 惜しくも2着となったアドマイヤドンは、3着のハギノハイグレイドとの着差が5馬身。これは日本の競馬だと、いつも通りの力関係だ。もしこれが国内限定のG1ならば「アドマイヤドンの圧勝!」という決着で、勝ったフリートストリートダンサーがあまりにも強かったというほかない。


 それにしても、アメリカの競馬はやはり懐が深いというか、なんというか、とんでもない馬がいるもんだ。あんな競馬、日本のレースではまったく見たことがない。よほどスピード決着のレースが合っていたのだろうし、来日してからの調整も順調だったのだろう。もちろん、秘めた力も一級品だったに違いない。

 最後の追い比べは、見ごたえ十分だった。
 アンカツはさすが元公営のトップジョッキーという感じで、馬を追うときに「腰と膝とくるぶし」を総動員して、迫力満点のフォームで馬を動かす。見ていて決して華麗ではないんだけど、ダートのときは特に「ぐわっ」と一気に馬を追って来るから、いっそう凄みがある。
 一方、アメリカのコート騎手、(僕はまったく知らない騎手だが)いかにもアメリカンスタイルで、とても端正な追い方が印象的だった。長い直線をずっと追いどおしなのに、フォームに一分のスキもなく、ビシッと決まってまったく乱れがなかった。アンカツももちろん油断してたわけではないし、馬も首ぐらい出たところでソラを使ったわけでもない。死力を尽くした追い比べだったと思う。

 フリートストリートダンサーは馬格のある大きな馬で、アドマイヤドンよりだいたい70kgも体重が多いのだ。つまりは、フリートストリートダンサーのほうが、アドマイヤドンより少しだけ首が長かった、という決着だったのかもしれない。それにしても、ダートを2100m走って来て、ゴールインの時点でのその差、わずか4センチだとは! 同着にしてあげたいような結末だった。勝ち馬はもちろん素晴らしかったが、アドマイヤドンも決して「敗者」ではなかったレースだったと思う。

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