| wrote:2003/12/9 |
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傾向は明らか、奥の深い中距離型を狙おう <**レース展望/2003年 朝日杯FS**> |
| 朝日杯FSは、一昨年に「朝日杯3歳S」から「朝日杯フューチュリティS」に 名前が変わって、負担重量も54キロから55キロに変更になった。 まだ2年しか経っていないので明らかな傾向の変化はそれほど表面的になっ ていないが、しかし以前からハッキリしているのが、「ここを勝つのは早熟な マイラーではない」ということ。ほとんどの年で、「奥の深い中距離型として、 ゆくゆくは秋の天皇賞や有馬記念あたりを上位争いしそうなスケール」が求め られている。 過去10年のラップと、勝ち馬&2着馬の位置取り・上がりをまとめてみたけど、
ちょっと見てみると一目瞭然。 すぐに気づくことが、まず、上がり34秒台で勝った馬が一頭もいないという こと。つまり、流れが必ず厳しくなって、最後に要求されるのは「軽いスピー ド能力ではなくて、タフな総合力」ということだ。 この時期に中山でマイルのG1というのは2歳馬にとってよほど厳しいらしく て、ここを勝った後、順調に競争キャリアを伸ばしていった馬は、あまりいな い。たとえばフジキセキは3歳春にパンク、バブルガムフェローもクラシック を棒に振った。全部は書かないが、多くの馬がいったん激しい落ち込みを示し たり、故障してターフに戻ってこれなかったりしている。 それだけ、このレースでいい勝負をするには馬への負担が厳しい、という見 方が成り立つわけで、軽いスピードタイプの馬ではここで1着2着するのは無理 だ、ということを過去の傾向は示している。 朝日杯FSが厳しいレースになる大半の理由は、中山の急坂にある。1000の通 過がだいたい57秒台から58秒台の競馬だから、そのペースで来たときに、この 時期の2歳馬には、最後の急坂がことのほか大きな壁として立ちはだかるのだ。 ラップの表に書いた「位置取り」を見て分かるとおり、このレースを逃げ切 った馬は過去10年で一頭もいないし、4角最後方に近い位置から追い込みを決 めた馬も、一頭もいない。ほとんど、「4角好位からの押し切り」という形で 勝ち馬が出ている。 極端な戦法を好みそうな騎手や、極端な脚質の馬は、ちょっと買いにくいか
もね? |
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JRAのHPに行くと、各競馬場の形態に関して詳細な解説があるんだが、皆さ んご覧になったことあります? とくにコースに関しては、俯瞰写真と正確な見取り図でかなり念入りな解 説があって、それをつぶさに見ていると、たとえば
「中山のマイルは、2歳のこの時期には逃げ切りが極 端に難しいのではないか」
と、いうようなことを想像できたりする。
なぜそんなことが言えるのかというと、ポイントは「コースの起伏(高低
差)」の問題。
例として、現在開催中の中山・阪神・中京のコースを簡単に比べてみると、
高低差5.3mの「ほぼ頂上」からスタートするということは、そのあとがずっ
と下りに差し掛かる、ということになる。実際、スタートしてからおよそ5ハ
ロン(1000m)もの間、コースは下り坂だ。この間の高低差が、およそ4m。こ
こでスピードに任せて逃げてしまうと、どうしてもオーバーペースになって
しまう。
そしてその長い長い下り坂が終わったあたりから、4コーナーまで少しだけ
フラットな部分を走って、直線入口からまたゆるやかに下り。このコース設
計だと、どうしても、惰性でペースが上がりがちになる。しかしご存知の通
り、ラスト1ハロンに壁のような坂が待ち構えているのだ。わずか100mぐらい
の間で、一気に急勾配を駆け上がらなくてはならない。
よほど鍛えこまれた古馬でないかぎり、グレードの高いレースでここを逃げ
切るのは至難の技だ、というのは、このへんに理由がある。中山は直線が短い
のわりには追い込みが決まりやすい理由、なんとなくわかります? つまり、
知らず知らずややオーバーペースになってしまった逃げ馬は、最後の坂を迎え
たとき、もうオツリが残っていないんですね。下り坂を楽々と走ってきた逃げ
馬にとって、最後の壁(急坂)は、「げ!マジかよ!」って感じの存在だ(笑)
メイショウボーラーがスピードに任せて「どこからでもかかってきなさい」
というレースをするとき、ゴール前一気に失速というレースになる可能性が
きわめて高いと思う。その「失速」につけこめる馬がいるのかどうか、という
読みかな、馬券のポイントは。
一方、中京は3コーナーから直線の半ばまでがだらだらと緩やかな下り坂。
そしてゴール前150mぐらいが、軽い上り坂になっている。中京はイメージ以
上にゴール直前での差し・追い込みが決まりやすいコースだが、軽快に逃げ
てきた馬が最後の軽い坂でやや息切れしてしまうんだよね。今週はメジロマ
イヤーが登録してて注目だが、最後何かに捕まって3着かな?
【ワンポイント】
鳴尾記念はどれが逃げてもめちゃめちゃなハイペースは考えにくくて、
4角で前のほうにいないと勝つのは無理かも。
【前口上】
血統コラムを何度か読んでくださってる方はすでにご承知のことと思います
が、当サイトのコラムでは、世界のサラブレッド分布図に決定的な影響を与え
た「ファラリスの父系」と、「それ以外の父系」という、ごくごく単純な見方
をしています。何度も言うようですが、本当はこの把握の仕方はあまりに大雑
把なんですが、まあ馬券を考える上では「ファラリス系」と「それ以外」でひ
とまずは十分。
したがって、「異系」という言葉をあくまでも「ファラリス系以外」という
意味で用いていますので、くれぐれもご承知おきくださいね^^
そしてこれも何度か書きましたが、当サイトの仮説では、
「ファラリス系を4代重ねてきた単調な配合の馬は、競馬ぶりも淡
白なんじゃないのか」
したがって、レベルの高い、底力の要求されるG1ではとくに、「ファラリス
系以外の異系の種牡馬を、過去4代以内に少なくとも一度は配合された馬」の
ほうが、最後に頑張りがきくのでは・・・? という仮説のもと、調査をした
り原稿を書いたりしています。オウケイ?
さてそれで、例によって、過去20年の連対馬40頭、すべて血統を調べてみた。
予想通りと言うかなんと言うか、ファラリス系を4代重ねた単調な配合の馬は、
ほぼ完敗だ。
20年の連対馬40頭のうち、ファラリス系だけの配合の馬は、たった4頭。G1
ともなると、たいていこれぐらいの比率だね、「ファラリス系を4代重ねてき
た馬の連対率」って。そして4頭にはしっかり共通する項目があって、「すで
に実績満点」という馬ばかだった。↓↓↓
もう一つ、朝日杯FSの大きな特徴は、どこかで一度か二度ナスルーラ系を 配合された馬が大活躍、ということかな? 過去20年、連対馬のうち必ずどちらかは、「4代以内にナスルーラ系を持つ」 馬だった。もちろん、重厚なスタミナとスピードを伝えるナスルーラ系、この レースにはイメージぴったりで、連対馬が2頭ともナスルーラ系をもつ馬だっ た年もかなりある。逆に、連対馬が2頭ともナスルーラを持たない配合だった 年は、過去20年に一度もないのだ。
ナスルーラ系を持たない場合は、ブランドフォード系、ハイペリオン系、
リボー系などのいわゆる「底力組」の種牡馬をどこかで配合されている、とい
うのが過去の明らかな傾向。スピード一辺倒の配合では、やや苦しいという感
じかな?
ちなみに、今年の出走予定馬でナスルーラ系を一度も配合されていないのが、
アポインテッドデイ、フサイチホクトセイ、スズカマンボ、ヒカルアルタイル
の4頭。
【ワンポイント】
はい、このあたりが今週は本命候補かな~(笑) 力量比較が難しいときは素直に血統で(笑)
重賞ともなると、それぞれのレースごとに、何年経っても変わらない「性格」 や「競馬全体の流れの中での、位置づけ」のようなものがある。 たとえば秋の天皇賞ならば、「古馬・中距離路線の王者決定戦」。毎日王冠 なら、「格の高いG2、秋の天皇賞に向けてのステップ」。
もちろん、こんなに格の高いレースでなくてもおおむね事情は同じで、たと
えば関屋記念ならば「夏競馬のマイル路線の総まとめ」だし、鳴尾記念ならば
さしずめ「中距離路線・第2グループの争い」という感じになる。
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