穴馬発見☆資料置き場(倉庫)

NHKマイルC

2004年/NHKマイルC


・CONTENTS・
  NHKマイルC       ※タイトルをクリックしてください





展望厳しいラップに対応したことのある馬を買おう

<**レース展望/2004年 NHKマイルC**>

 先週開幕した東京競馬は、なにしろ好時計の連発。芝のレースが土日で合計13Rあったが、なんとその大半が、上がり3ハロンで連続<11秒台-11秒台-11秒台>というラップを計時している。3歳の未勝利戦でも上がりの3ハロンが全部11秒台だったりする馬場で、まるで新潟競馬場のような軽かるのスピード決着だ。もちろん今週のNHKマイルC、ポイントはその辺だろう。
 ・・・と言っても、上がり3ハロンに切れるスピードタイプを買おう、ということではない。むしろその逆ではないかと思うのだ。


 注目は、土日ほとんど全てのレースで上がりが連続11秒台だった中、<上がりの2ハロンがともに12秒台>だったレースが、2つだけあったことだ。
 ひとつは初日の1R、3歳未勝利の芝1800m。しかしこれはレースレベルそのものが疑問という内容だから、まったく検討の対象外。
 もうひとつ、上がり2ハロンがともに12秒台を要したのが、実は日曜のメイン・スイートピーSだった。
 ではこのオークス指定オープンが低レベルだったのかというと、決してそんなことはなくて、同条件で行なわれた直前の10R(古馬準オープンのメイS)が1分46秒4、そしてスイートピーSが1分46秒5だから、むしろなかなかのレベルだったと言っていい。


 違ったのは、道中のペースなのだ。ラップを良く見てみると、上がりが11秒台連続だったレースは、ほぼすべて、1000の通過が60秒台のスロー(芝1400を除く)。溜めに溜めて、直線だけ爆発させるという競馬で、上がりが<11秒台-11秒台-11秒台>というラップになった。
 その点、スイートピーSだけは、さすがにオープンの格付けだっただけあって、よどみのない流れ。ブルーアイがやや飛ばしぎみに刻んだラップが、1000m58秒4だった。

■参考1/メイSとスイートピーSのラップ比較■
レース
1000通過
上がり3F
勝ち時計
メイS
60秒5
11.4-11.0-11.3(33.7)
1:46.4
スイートピーS
58秒4
11.8-12.5-12.1(36.4)
1:46.5

 NHKマイルCを考えるポイントは、おそらくここだ。
 しっかりしたラップを刻む先行馬がいるとき、府中の馬場はやはり、最後の最後に底力を要求するのだ。ラストの1ハロン、軽いスピード比べには間違ってもならない。
 NHKマイルCは飛ばす先行馬が多いから、おそらくラストに12秒台というラップが2回は入る流れになる。もしそうならば、軽かるのスピード勝負で強そうな馬は、最後の底力比べで苦しくなるかもしれない。よどみのないラップに対応した実績のある重厚なタイプを、しっかり見つけ出さなくてはならない。

■参考2/NHKマイルC過去のラップ■
年度
1000通過
上がり3F
勝ち時計
勝ち馬
1996(良)
56秒7
12.1-12.0-11.8(35.9)
1:32.6
タイキフォーチュン
1997(良)
58秒2
11.9-11.1-11.9(34.9)
1:33.1
シーキングザパール
1998(稍)
58秒5
11.9-11.1-12.2(35.2)
1:33.7
エルコンドルパサー
1999(良)
57秒7
12.3-11.5-12.3(36.1)
1:33.8
シンボリインディ
2000(良)
57秒7
12.1-11.5-12.2(35.8)
1:33.5
イーグルカフェ
2001(良)
57秒8
11.7-11.4-12.1(35.2)
1:33.0
クロフネ
2002(良)
57秒3
12.0-12.0-11.8(35.8)
1:33.1
テレグノシス
2003(良)
57秒8
11.6-12.1-12.7(36.4)
1:34.2
ウインクリューガー

 表を見て分かるとおり、良馬馬で行なわれた時には、シーキングザパールが勝った1997年以外、全ての年で1000の通過が57秒台以下となっている。上がりもそれと同じで、3ハロン連続して11秒台の決着となったのはシーキングザパールの年だけだ。
 NHKマイルCは、戦歴的には「2000m級の重賞での実績」が求められるというのはよく指摘されることだが、つまり最後の最後に苦しい流れになったところを差し込むのは、軽さではなくてタフな底力だ、ということをこのラップは示している。
 しかしもちろん重要なのは「戦歴」ではなくて、個々の馬の資質。じっくりと各馬のラップを分析して、内容のいい馬を買ってみたいレースだと思う。



人気馬府中のマイルは逃げ馬受難

<**危険な人気馬/2004年 NHKマイルC**>

 先週の天皇賞(春)は「4強ムードに流されてはまずい」というところまでは良かったが、選んだ馬が、うーん、失敗。こういう場合、惜しくもなんともないのに「惜しかった」と密かに思えるところがまた、競馬のいいところだ(笑)。しかもイングランディーレは去年の本命馬だからなおさら「惜しかった」気分で、個人的にはかなり競馬の醍醐味を堪能してると言っていいかもしれない(笑)。

 さてそれで今週のNHKマイルC。前評判がどうなのか実はよく知らないが、しかし、少なくとも実績組(すなわちおそらく人気の中心組)は、かなり強い。レースが荒れるかどうかで言うと、たぶん馬連は荒れない。人気がある程度分散して、馬単の配当が思いがけずつくというパターンか、3連複のヒモが狂うという程度だろう。


 それにしても、1番人気はどれになるのだろうか。皐月賞組とマイル路線組の上位が拮抗してる上に、別路線からキングカメハメハの参戦もあって、人気の順番は読みにくい。その中で、人気サイドで今回に限っては「厳しいレースになるだろう」と思えるのが、メイショウボーラーだ。

 弥生賞の頃からメルマガ読んでくださってる方はご存知と思うが、ワタクシ的にはこのメイショウボーラーの評価は常に高くて、「ストライドのバランスがアイネスフウジンそっくりだから、ダービーに出てもかなり上位」というようなことを言い続けてきた。つまりワタクシ的な評価は「どっちかと言うと中距離型の可能性もある」。
 メイショウボーラーのバランスよいフットワークから生み出されるスピードは並外れたもので、主戦の福永騎手が「スプリント戦でも馬なりでハナに行けるほどのスピードがある」と、皐月賞前にどこかのメディアで発言していた。それほどのスピードがあって、なおかつ皐月賞を逃げて3着に粘るスタミナがあるのだから、当然マイルの流れにもしっかり対応できておかしくない。将来マイル路線を歩んでいくなら、相当なところまでいける素質馬だとも思う。
 しかし今回だけは厳しいかもしれないのだ。なぜなら、「できれば控えたいタイキバカラ」と「スピードに任せて押し切ってやろうというメイショウボーラー」の利害が一致して、多分逃げるのはメイショウボーラーだと思えるからだ。
 府中のマイルは追い込み天国。逃げ馬にとっては地獄のコースだ。


 東京のマイルで行われる重賞レースは、東京新聞杯(G3)、NHKマイルC(G1)、安田記念(G1)、そして秋の富士S(G3)と、4つある。これを1993年までさかのぼって調べると、創設時期の関係などもあって、今年の春までに32回、東京のマイルで重賞が行われてきた。しかしこの中で、逃げて勝ったのはわずかに2頭のみなのだ。
 一頭は1998年の東京新聞杯を逃げ切ったビッグサンデー。もう一頭が、マイルに変わって最初の年の富士S(2000年)を逃げ切ったダイワカーリアン。
 「逃げて勝った馬が2頭いるのなら、むしろ大丈夫」という見方も成り立つが、しかしこの2頭のケースは、1000の通過が良馬場で58秒9(ビッグサンデー)と、58秒6(ダイワカーリアン)だった。58秒台の後半というのは、「府中のマイルの重賞」としてはかなりのスローペースだ。(ちなみに1993年以降、マイル重賞32回のうち28回が良馬場で行われているが、1000m通過の平均タイムが57秒9。)
 率直に言って、この2頭は展開に恵まれた。そしてダイワカーリアンはその年の東京新聞杯を2番手から行って勝った実績のある馬だし、ビッグサンデーはやや忘れられがちだが、スプリングS(G2)の勝ち馬で、それぞれに裏付けも十分だった。


 府中のマイル重賞で逃げ馬がいかに苦戦してきたか、別表にまとめてみましたたので、興味のある方はどうぞご覧ください。 ※ラップタイムなどの数字には万全を期していますが、念のため主催者情報でご確認ください※

◇府中のマイル/逃げ馬受難の歴史◇

 ↑↑↑1000mのラップや勝ち馬の位置取り、勝ちタイムも入ってますので、意外に府中のマイル重賞攻略のいい手引きかも(笑)


 今週の話題はもう一つ、「改修後の府中のマイルはどうなんでしょうか?」
 これは一目瞭然、明らかに以前のコースよりもスピード決着になっている。

◇改修後の府中マイル重賞◇
年度
レース
1000
上がり3F
勝ち馬
時計
備考
2003
NHKマイルC
良57.8
11.6-12.1-12.7
4角2番手
1:34.2
雨で上滑りする馬場
2003
安田記念
良57.7
11.2-11.5-11.7
4角8番手
1:32.1
レースレコード
2003
富士S
良56.9
11.3-11.9-11.9
4角9番手
1:32.0
コースレコード
2004
東京新聞杯
良59.0
11.2-11.4-11.4
4角3番手
1:33.0
レースレコード

 昨年のNHKマイルCは良馬場発表だが、直前から雨が降りだして、上滑りのする馬場状態。しかも追い込み勢にそれほど迫力のあるのがいなくて(一番人気がゴールデンキャスト・二番人気がヒューマ)、2番手から積極的に競馬をした幸四郎・ウインクリューガーが、時計の掛かる馬場状態にも助けられて、悠々ゴールインしたという競馬だった。
 しかしほかのレースは、表の通り、ことごとくレースレコードの連発だ。今年の東京新聞杯などは1000の通過が59秒0の超スローだったが、それにもかかわらず1分33秒0というレースレコードが計時された。
 原因はハッキリしていて、坂を上がってゴールまで300mも「平坦」だからだ。300mというと、ほぼ中山の直線に等しい距離。ダラダラ坂を駆け上がってから、ここで一気に爆発させられるタイプが勝ちを収めて、結果としてレースレコード、というのがパターンになっている。
 そして上の表を見るとわかるとおり、ラスト3ハロンが、古馬のレースではすべて11秒台というラップになっている点にも注目だ。NHKマイルCは、週はじめの展望で見たとおり過去には必ず<12秒台>が紛れ込むラップとなっているが、もしかすると、良馬場ならば、今年は<11秒台-11秒台-11秒台>になってしまうかもしれない。


 府中のマイル戦にはもうひとつハッキリとした傾向があって、「1000を57秒台の後半(平均ペース)」の場合は、ほぼ必ず4角後方の差し馬が台頭する。そして「58秒台半ばのスロー」ならば前々で流れに乗れる馬が有利なのだ。「良馬場の平均ペース~ハイペースなら差し馬、雨が降ると前の馬」というのも見逃せない傾向かもしれない。(上の<府中のマイル/逃げ馬受難の歴史>を見るとその辺のいきさつがよく分かりますので、興味のある方はどうぞ。)

 NHKマイルCはほぼ毎年、57秒台後半という流れ。メイショウボーラーが逃げるなら、たぶん今年もそれぐらいの流れになるのではないか。 もしもそうなるのならば、ワタクシ的には4角で9~10番手ぐらいにいて、直線を<11秒台-11秒台-11秒台>でまとめられるスケールのある馬から入りたい、と、現時点では思っている。最後の1ハロンを<自身11秒台>でまとめた実績のない馬の単勝は、やや買いにくいかもしれない。


wrote:2004/5/6

血統コラムマル外ダービーではなくなって、血統の傾向は?

<**血統で読む/2004年 NHKマイルC**>

 NHKマイルCは「3歳の5月の時点での完成度を競い合うレース」というニュアンスが強くて、後にG1を勝つような強豪に育った馬が、このレースではあっさりと負けたりしている。
 レースが創設された1996年には、後に秋華賞を勝ったファビラスラフインが1番人気で14着の惨敗。1998年にはマイネルラヴが4番人気で7着、エアジハードが10番人気で8着。2000年にはアグネスデジタルが4番人気で7着、ノボジャックが13番人気で18着。そしてタニノギムレットが3着に負けた2002年には、キーンランドスワンが15番人気で10着。去年はギャラントアローが10番人気で17着だ。 奥の深い将来性じゃなくて、求められているのはむしろ早熟性。エルコンドルパサーやクロフネのように、とにかくスケール断然の超Aクラス以外は、「現時点でどれぐらい完成しているか」を考えた方が馬券は当てやすい。


 それを血統で見ると、ヨーロピアンよりもアメリカンな雰囲気丸出しな血統構成の方が、おそらくいいはずだ。具体的に言うと、いかにもアメリカンなのはミスプロ系。そして早い時期から活躍できるのがノーザンダンサー系。
 そうアタリをつけて調べてみたら、なんとレース創設以来8年、連対したのは「父または母父」が、「ミスプロ系かノーザンダンサー系」という馬がほとんどだった。しかも特徴としては、サンデー系が一頭も連対していない。
 これは大きな特徴を見つけたもんだと思ったが、いや、ちょっと待った(笑)。あまりに歴然としすぎなので、ちょっと不安に思って過去8年間の出走馬全馬の血統表を見てみたのだ。結果はちょっと笑えますよ。↓↓↓

 (1)出走馬のほとんどが実は「父または母父」が「ミスプロ系かノーザンダンサー系」だった。
    そういう馬しか出てこないんだね、このレースは(笑)
 (2)過去8年間で、サンデー系の出走はわずかに2頭のみ(笑)。
    1999年のロサードが9着、2001年のエアヴァルジャン(父ダンスインザダーク)が15着。
    これは単にこの2頭が弱かった(またはレースへの適性がなかった)ということを物語る
    だけで、この結果をもってサンデー系がどうこうとは全く言えない(笑)。

 それでやむなく例によって「異系調査」をしてみたところ、通常のG1だと「代々の配合にファラリス系以外の異系がある」馬の比率がだいたい90%なんだが、NHKマイルCの連対馬は、過去16頭中7頭までもが「ファラリス系だけの配合」だった。


 うーん、行き詰りましたね、今回は(笑)。
 そもそもレース創設の最初の経緯が「外国産馬のための残念ダービー」というようなポジションだったから、しばらくは似たような傾向の血統の馬ばかりが走っていたのだ。
 しかしマル外の高馬をそれほど思ったように買えなくなってきたあたりから、血統面でも傾向が少しずつ変わってきているようだ。実際にはその変化は2002年からで、まだ「傾向」というよりは少し様子見の必要もあるんだがが、とにかくそれまで外国の種牡馬一辺倒だった連対馬が、2002年から突如として国内の種牡馬の仔が一気に大奮闘、なのだ。

 2002年に勝ったのはトニービンの仔テレグノシスだし、去年は勝ち馬がタイキシャトルの仔、2着馬がサクラバクシンオーの産駒で、なんと両馬共にマル父だ。そして、2001年までは、連対馬12頭のうち1頭しかいなかったナスルーラ系の馬が、いきなりこの2年で2頭も連対しているのも、大きな流れなのかもしれない。


 今年の出走馬で、父内国産の馬は、
 -----------------------------------------------------------
  ○ナイストップボーイ(父タヤスツヨシ)
  ○ハートランドカフェ(父サクラバクシンオー)※ナスルーラ系
  ○ビッグファルコン(父フジキセキ)
  ○ムーンシャイン(父フジキセキ)
  ○メイショウボーラー(父タイキシャトル)
  ○ロードインザスカイ(父サクラバクシンオー)※ナスルーラ系
 -----------------------------------------------------------
 メイショウボーラー以外はわりと渋い人気薄だが、この中に台風の目となる馬はいるかな?

 少し面白い話題としては、過去8年間の全出走馬中、母系にSeattle Slew(シアトルスルー/アメリカの三冠馬)を配合された馬が2頭だけいるんだが、その2頭の名前はなんとシーキングザパールとエルコンドルパサー。言うまでもなく、2頭ともこのレースの勝ち馬だ。 そしてもちろん、シーキングザパールの仔シーキングザダイヤは、母系に配合された種牡馬にSeattle Slew(シアトルスルー)がいるわけだが、はたして連勝記録を伸ばせるかどうか?

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動く回顧キングカメハメハのスケール、どう評価する?

<**レース回顧/2004年 NHKマイルC**>Race・2004/5/9

 NHKマイルCは、勝ち馬が「国際クラスの超Aクラス」か、「その後まったく伸び悩み」に分かれるのが、大きな特徴だ。レースの施行時期が「皐月賞とダービーのあいだ」でメンバーの質がそう高くはならないから、歴史的な名馬(例えばエルコンドルパサーなど)が出走しない場合は、単純に「現時点での完成度比べ」という形になりがちだからだろう。
 だから昨年のように、メンバーが手薄で「G1格だが実質はどう見てもG3かG2」という年も、ときにはある。1番人気だったゴールデンキャストは、いまだにオープンだと好走できないというレベルだし、勝ったウインクリューガーも、その後不振を極めている。はっきり「レースレベルそのものがやや疑問」という世代だったと言っていい。
 今年のレースレベルが実際はどうだったのか、そして勝ち馬のレベルが本当はどうなのか。そのあたりをしっかりと見極めておこう。

 これに関して、「見た目のイメージ」だけではなくて、客観的な判断材料(らしきもの)が、実はある。それは「後半4ハロンのラップタイム」なのだ。

◇NHKマイルC過去全レースのラップ◇
年度
天候
馬場
ラップ
青数字
1996
12.3-10.5-11.1-11.2-11.6-12.1-12.0-11.8
1997
12.4-11.1-11.5-11.6-11.6-11.9-11.1-11.9
1998
稍重
12.6-10.6-11.8-11.8- 11.7-11.9-11.1 - 12.2
34.7
1999
12.5-10.4-11.2-11.7-11.9-12.3-11.5-12.3
2000
12.2-10.7-11.3-11.7-11.8-12.1-11.5-12.2
2001
12.2-10.6-11.4-11.9- 11.7-11.7-11.4 - 12.1
34.8
2002
12.3-10.5-11.2-11.3-12.0-12.0-12.0-11.8
2003
小雨
12.0-10.9-11.2-11.7-12.0-11.6-12.1-12.7
2004
12.1-10.7-11.1-11.7- 12.2 - 11.6-11.7-11.4
34.7

 注目は、青い数字(と赤い数字)で示した部分。
 ラップの中味をよく見ると、赤数字にした<12秒台>を入れ替えれば、今年のレースは、<1998年>と<2001年>のレースと、ラップの構成が酷似していることに気づく。↓↓↓



◇1998年/ 11.7-11.9-11.1 - 12.2
◇2001年/ 11.7-11.7-11.4 - 12.1
◇2004年/ 11.6-11.7-11.4 - 12.2


(2004年の< 12.2 >を比較の便宜上、最後に持ってきてあります。)

 共通点は、レースの後半で「3ハロン34秒台」のラップが計時されていること。東京のマイルは厳しい舞台で、簡単にスピードだけで克服できるコースではないから、<速めの平均ペースで流れて、なおかつ後半に「3ハロン34秒台」のラップ>というのは、3歳のこの時期にはかなり苦しい流れとなる。その厳しいペースを克服した勝った馬は、信頼度が高いと考えてよさそうだ。
 そしてそういうラップの構成になったのが、<1998年>と、<2001年>と、<今年>の3回だった。したがって、<1998年>と<2001年>の勝ち馬のレベルが、だいたい今年のキングカメハメハのレベルと等しい、という見方が成り立つ。
 上記の<1998年>の勝ち馬は、エルコンドルパサーだ。
 そして<2001年>の勝ち馬はクロフネだった。

 今年、キングカメハメハが刻んだ勝利のラップは、ゴール前のあの強烈な印象どおり、エルコンドルパサーやクロフネに匹敵する超絶ラップだったのだ。しかもエルコンドルパサー・クロフネといった天才的な大先輩よりも、はるかに大楽勝。手ごたえに最も余力があったのが、今年のキングカメハメハだった。ラスト1ハロンを楽々弾けて11秒4は、まぎれもなく超Aクラスだ。
※1000の通過で見ると、良馬場の2001年と今年はともに57秒台後半。稍重の1998年が58秒5だが、馬場差を考慮すると、たぶん良馬場ならば57秒台後半相当となる。
※1997年は後半すべてが11秒台で、これは一見「すごい」という感じだが、しかし実は2ハロン目が「11秒1」に落ちたレース。流れはスローだった(最初の3Fが35秒0、1000の通過が58秒2)。2ハロン目に11秒台を計時したのはこの年だけだから、後半すべて11秒台の連続になってもそれほど驚けないが、勝ち馬はシーキングザパールだ。これも、後に国際G1を勝つまでに成長した馬だった。



 敵は「中2週」だけだろう、キングカメハメハのダービー。
 そしてラップが語るスケールは確かに「エルコンドルパサー級」「クロフネ級」で間違いないが、エルコンもクロフネも、NHKマイルCを勝った次のレースは、敗戦を喫しているのも事実。クロフネはダービーを5着に負けた。エルコンはしばらく休んで、休み明けの毎日王冠をサイレンススズカの2着に負けた。キングカメハメハははたしてどうなのだろうか。
 当然ダービーで軽く扱うわけにはいかないが、しかし驚愕の圧勝ぶりを数字でしっかり裏付けても、「ダービーはもうこれで決まり」と、簡単に決め付けられないあたりが、競馬の面白さだ。

 かくして、ダービーは予想者全員が「キングカメハメハに反動ありやなしや」の判断を迫られることになった。そして残念ながら、これは誰にとっても「根拠のある予想」じゃなくて、「希望」もしくは「想像」でしかない。どういう馬券を買うにしても、今年のダービー、最終的には「応援馬券」となることを、ちゃんとわきまえて買った方がいい。
 突き詰めて考えると、馬券の予想というのは、最後の最後には必ず<走ってみないとわからない部分>が残るのだ。どんなに展開がしっかり読めても、ゴール前100mからゴールまでの出来事をクリアに読めるレースなんて、ほとんどない。そういう意味で、最終的にすべての馬券は<応援>でしかない、というあたりが、実は馬券の真実だったりする。
 馬券なんか、当たっても外れてもどっちも<たまたま>でしかない。だからギャンブルなんだし、だからこそ、競馬は楽しい。




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