函館の大沼Sがオープンのダート1700になってから、3年。 オープンのレースになってからは、わりと傾向がハッキリしていると言っていい。時計勝負なのだ。ダートの1700は、条件戦のレースでも持ち時計がかなり重要な要素になるが、オープンだと特にその傾向が強い。
◎最も時計の出にくい札幌ダートで1分43秒3(しかも良馬場)の持ち時計があるトシザボスを素直に評価したい。札幌ダートで良馬場1分43秒台は、重賞でもかなり上という数字。(実際、去年のエルムS、アドマイヤドンの2着。)前走は9ヵ月ぶりのレースだったが、ストライドのバランスはかなり良かったし、前残りの競馬を後方からじっくり追い上げた脚も、なかなか見どころがあった。いかにもローカルをにらんでのひと叩きというレースぶりで、上々の滑り出しだったと思う。ここをいいレースするようだと、順調ならエルムSの有力馬となる(ただしアドマイヤドンが出てこなければ)。
○相手筆頭はクーリンガー。1800を先行していい競馬をする馬は、えてして1700だとダメな場合が多いが、この馬は1700も大丈夫。和田が落ち着いてマイペースで行けば、普通に走って上位入線という力関係。58キロでもさほどスピード能力落ちないタイプだと思う。
▲3番手はヒシアトラスで、1700の実績がない分やや評価下げにしたが、力量ならこの中でも一番かもしれない。鞍上が横山典に変わったのも大歓迎だ。前任者はなんとなく、この馬の能力を全部引き出せていないような騎乗ぶりが目についたから、もしかすると一変があるかもしれない。
△穴はビーポジティブ。ダート1700は実にうまく競馬するタイプで、先行力もあるし、52キロなら、最後の直線で上手くヒシアトラスかクーリンガーと併せ馬になれば、粘りこめるかもしれない。
△ウインデュエルは東京で実績をあげてきた馬で、小回りのダート1700とは求められるものがまったく違う舞台でキャリアを積んできた馬。ここは試金石だけど、いきなり通用するのかどうか疑惑の眼差し満々の△まで。
◎トシザボス
○クーリンガー
▲ヒシアトラス
△ビーポジティブ
△ウインデュエル
【単勝】
1番 トシザボス 【馬連・3連複】
シルシ通り、タテメも。3連複は◎○、◎▲固定で。
レースの後の<評価>とか<印象>っていうのは意外に微妙なもんで、差し・追い込みが鮮やかに決まると、すぐに「強かった!」という評判になりやすい。逆に先行馬が残ったレースは、(やや見た目のインパクトに欠けるためか)皐月賞のように、ほとんどあらゆるメディアで「スローの前残り」とか言われてしまったりする(笑)。ひどい場合には、勝った馬をきちんと評価することもなく、今年の春の天皇賞のように<凡戦>とまで揶揄されたり、「後ろの馬は何をやってたんだ?」ということを口走る人が続出する(笑)。
実際はラップを詳しく分析してみると逆の場合が多いんだけど、だいたい先行馬は評判悪いのだ(笑)。 だから、2004年の宝塚記念のように
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(1)先行馬が勝ったのに
(2)ほとんどの人が「強い!」という印象を受けて、
(3)しかもラップを分析すると、本当に強すぎて驚愕!
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というケースって、実はかなり珍しいんじゃないかと思う。
さてそれで、中京の金鯱賞、サイレンススズカの伝説的な大レコードを更新してここに駒を進めてきたタップダンスシチー。G1の舞台で、はたしてサイレンススズカの域に少しは近づいただろうか? それとも、レコードとは言え、まだサイレンススズカのレベルには達してはいないだろうか。
両馬が宝塚記念を勝った時のラップを比べてみた。
その次の1ハロン、ここがサイレンススズカとローエングリンの違いだった。スズカがさらに軽快に12秒1、ローエンはやや一息入れて12秒5。しかしタップはこの時点で、ローエンとの差を詰めにかかっているから、仮想マッチレースでもサイレンススズカにさほど置いていかれるわけではない。
タップダンスシチーは、3角の少し前から、前を行くサイレンススズカを軽々と射程圏内に入れ始めている。仮想マッチレースは、ここがクライマックスだ。青数字にした部分をよく見てほしい。
3コーナーから4コーナーにかけての(まるで直線のような)大きなカーブで、サイレンススズカは明らかに一息入れる形となってしまったのだ。ここが 12.5 - 12.4 - 12.8
で、37秒7。そして、すぐ後ろにひたひたと迫ってきていたタップダンスシチーが、外から軽々とサイレンススズカを抜き差って、 11.9 - 12.1 - 12.0
で、36秒0!
ここの3ハロンの両馬の差が、なんと1秒7だ!
結果として、もし2頭がマッチレースだったとすると、3角~4角にかけて一気にスパートしたタップダンスシチーが、サイレンススズカ相手に圧勝する、という展開になるのだ。たまたまローエンのラップがスズカと瓜二つだったから、このシミュレーションは、少しだけリアリティがある。
秋の凱旋門賞も、これはかなり力を入れて応援してみたいもんですよ、みなさん!


