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大沼S

大沼S




展開を読む
函館のダート1700を1分44秒0前後で走れる能力

<**展開を読む/2004年 大沼S**>

 函館の大沼Sがオープンのダート1700になってから、3年。 オープンのレースになってからは、わりと傾向がハッキリしていると言っていい。時計勝負なのだ。ダートの1700は、条件戦のレースでも持ち時計がかなり重要な要素になるが、オープンだと特にその傾向が強い。

◆大沼S過去3年の結果◆
年度
勝ち馬
ハンデ
人気
勝ち時計
位置取り
2001(良)
フジヤマハギタケ
51.0
6
1分44秒5
02-02-02-01
2002(良)
プリエミネンス
56.0
1
1分43秒9
03-03-03-03
2003(良)
ブリリアントロード
54.0
7
1分44秒0
05-05-03-02

 これを見る限り、このレースで求められる能力は、ズバリ <函館ダート1700を1分44秒0前後の時計で走れる先行力> ということで良さそうだ。穴は軽量の先行タイプ。強い馬にはハンデもさほど関係ないといった感じか?
 下に、出走馬の<函館ダート1700の持ち時計>と、<他場を含むダート1700の最高タイム>をまとめてみた。(函館D1700で速い順に並んでます)

◆大沼S出走馬のD1700タイム◆
馬名
函館D1700
D1700最高タイム
備考
トシザボス
1分43秒6(重)
1分43秒3(札幌/良)
タガノインディー
1分44秒7(重)
1分44秒5(中京/重)
ビーポジティブ
1分44秒9(稍)
1分44秒3(札幌/稍)
ロングパーフェクト
1分45秒0(不良)
同左
2001年の記録
アドマイヤジャック
1分45秒2(不良)
1分44秒2(中京/重)
シーディザーブス
1分45秒9(稍)
同左
ウインデュエル
1分47秒1(良)
同左
ただしデビュー戦の記録
イブキリムジンオー
1分44秒1(中京/稍)
クーリンガー
1分44秒2(小倉/良)
ヒシアトラス
1分45秒6(福島/良)
これ一戦のみ
タイムトゥチェンジ

 馬場差を考えると、中京のダートは時計が出やすいので、額面どおりには受け取れない感じがする。中京ダートの重馬場で1分44秒台の半ばという、タガノインディー・アドマイヤジャックあたりでは苦しいかもしれない。

 ◎最も時計の出にくい札幌ダートで1分43秒3(しかも良馬場)の持ち時計があるトシザボスを素直に評価したい。札幌ダートで良馬場1分43秒台は、重賞でもかなり上という数字。(実際、去年のエルムS、アドマイヤドンの2着。)前走は9ヵ月ぶりのレースだったが、ストライドのバランスはかなり良かったし、前残りの競馬を後方からじっくり追い上げた脚も、なかなか見どころがあった。いかにもローカルをにらんでのひと叩きというレースぶりで、上々の滑り出しだったと思う。ここをいいレースするようだと、順調ならエルムSの有力馬となる(ただしアドマイヤドンが出てこなければ)。

 ○相手筆頭はクーリンガー。1800を先行していい競馬をする馬は、えてして1700だとダメな場合が多いが、この馬は1700も大丈夫。和田が落ち着いてマイペースで行けば、普通に走って上位入線という力関係。58キロでもさほどスピード能力落ちないタイプだと思う。

 ▲3番手はヒシアトラスで、1700の実績がない分やや評価下げにしたが、力量ならこの中でも一番かもしれない。鞍上が横山典に変わったのも大歓迎だ。前任者はなんとなく、この馬の能力を全部引き出せていないような騎乗ぶりが目についたから、もしかすると一変があるかもしれない。

 △穴はビーポジティブ。ダート1700は実にうまく競馬するタイプで、先行力もあるし、52キロなら、最後の直線で上手くヒシアトラスかクーリンガーと併せ馬になれば、粘りこめるかもしれない。

 △ウインデュエルは東京で実績をあげてきた馬で、小回りのダート1700とは求められるものがまったく違う舞台でキャリアを積んできた馬。ここは試金石だけど、いきなり通用するのかどうか疑惑の眼差し満々の△まで。


  ◎トシザボス
  ○クーリンガー
  ▲ヒシアトラス
  △ビーポジティブ
  △ウインデュエル

 【単勝】
    1番 トシザボス 【馬連・3連複】
    シルシ通り、タテメも。3連複は◎○、◎▲固定で。



動く回顧地味だけど間違いなく史上最強クラス

<**レース回顧/2004年 宝塚記念**>Race・2004/6/27

 レースの後の<評価>とか<印象>っていうのは意外に微妙なもんで、差し・追い込みが鮮やかに決まると、すぐに「強かった!」という評判になりやすい。逆に先行馬が残ったレースは、(やや見た目のインパクトに欠けるためか)皐月賞のように、ほとんどあらゆるメディアで「スローの前残り」とか言われてしまったりする(笑)。ひどい場合には、勝った馬をきちんと評価することもなく、今年の春の天皇賞のように<凡戦>とまで揶揄されたり、「後ろの馬は何をやってたんだ?」ということを口走る人が続出する(笑)。

 実際はラップを詳しく分析してみると逆の場合が多いんだけど、だいたい先行馬は評判悪いのだ(笑)。 だから、2004年の宝塚記念のように

   -------------------------------------------------
    (1)先行馬が勝ったのに
    (2)ほとんどの人が「強い!」という印象を受けて、
    (3)しかもラップを分析すると、本当に強すぎて驚愕!
   -------------------------------------------------

というケースって、実はかなり珍しいんじゃないかと思う。


 <見た目も強くてラップも凄い>というタイプの先行馬で、競馬の歴史に長く名を残すのがサイレンススズカだ。いつも「影も踏めない」ような圧勝を繰り返した名馬で、「あの馬は逃げていたんじゃない、先頭を走っていてなおかつ、直線は鋭く追い込んでいた」と評する人もいる。
 いつも直線では独走。後続とは差が開く一方という、派手なレースぶりそのままに、ラップも超抜だった。今の我々にとって<先行馬がどれぐらい強いのか>を計るための絶対的な基準として君臨するのが、サイレンススズカだと言ってもいい。

 さてそれで、中京の金鯱賞、サイレンススズカの伝説的な大レコードを更新してここに駒を進めてきたタップダンスシチー。G1の舞台で、はたしてサイレンススズカの域に少しは近づいただろうか? それとも、レコードとは言え、まだサイレンススズカのレベルには達してはいないだろうか。

 両馬が宝塚記念を勝った時のラップを比べてみた。

◇両馬のレースのラップ比較◇
馬名
ラップ
サイレンススズカ
タップダンスシチー
12.7 - 10.8 - 11.1 - 12.1 - 11.9 - 12.1 - 12.5 - 12.4 - 12.8 - 11.2 - 12.3
12.6 - 10.7 - 11.0 - 12.1 - 12.1 - 12.5 - 11.9 - 12.1 - 12.0 - 11.4 - 12.7

 仮想・マッチレースだとしてみよう。 パッとゲートが開いて、スタートが切られた。当然のように、サイレンススズカが軽快に飛ばしていく。最初のホームストレッチで軽くリードを奪うと、1コーナーから2コーナーにかけてそのリードを広げ、向正面に入ったあたりではタップダンスシチーに3~4馬身のリードをつけた。そのままリズム良く逃げて、1000の通過が58秒6。タップはまだ3馬身以上後ろにいる。
 興味深いことに、2004年にローエンが刻んだラップは、まるでサイレンススズカの走りをそのまま正確になぞるようなラップだったのだ。赤の数字にした部分がそれだが、前半1000mの推移とバランスがほぼ同じで、サイレンススズカが58秒6、ローエングリンが58秒5。

 その次の1ハロン、ここがサイレンススズカとローエングリンの違いだった。スズカがさらに軽快に12秒1、ローエンはやや一息入れて12秒5。しかしタップはこの時点で、ローエンとの差を詰めにかかっているから、仮想マッチレースでもサイレンススズカにさほど置いていかれるわけではない。

 タップダンスシチーは、3角の少し前から、前を行くサイレンススズカを軽々と射程圏内に入れ始めている。仮想マッチレースは、ここがクライマックスだ。青数字にした部分をよく見てほしい。
 3コーナーから4コーナーにかけての(まるで直線のような)大きなカーブで、サイレンススズカは明らかに一息入れる形となってしまったのだ。ここが 12.5 - 12.4 - 12.8 で、37秒7。そして、すぐ後ろにひたひたと迫ってきていたタップダンスシチーが、外から軽々とサイレンススズカを抜き差って、 11.9 - 12.1 - 12.0 で、36秒0!

 ここの3ハロンの両馬の差が、なんと1秒7だ!


 これは、もしマッチレースをしていたならば「一気に抜き差って、圧倒的な差をつけた」という形になる。
 ラスト・直線の2ハロンが、サイレンススズカは23秒5でタップダンスシチーが24秒1だから、形としては「サイレンススズカがもう一度追い詰めてきた!」ということになるが、しかし絶望的に、差は開いてしまっている。

 結果として、もし2頭がマッチレースだったとすると、3角~4角にかけて一気にスパートしたタップダンスシチーが、サイレンススズカ相手に圧勝する、という展開になるのだ。たまたまローエンのラップがスズカと瓜二つだったから、このシミュレーションは、少しだけリアリティがある。


 「こんな強い馬、見たことがない!」
 僕達が見ていたのは、単なる印象だけじゃなくて、事実として、そのようなサラブレッドのパフォーマンスだった可能性が高い。
 7歳の夏なのに、今がピークなんだろうか。凄い馬だよね。ラップを比べると良く分かるが、去年よりはるかにパワーアップしていて、もちろんヒシミラクルの追い込みも完封している計算になる。

 秋の凱旋門賞も、これはかなり力を入れて応援してみたいもんですよ、みなさん!




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