久しぶりにエスカルゴをメニューに載せたら、これが結構人気です。やはりフレンチの定番のイメージがあるんですね。エスカルゴは、もちろんカタツムリのことでヨーロッパではラテン系の国々(フランス、イタリア、スペイン等)では人気のある定番メニュー。特に海から遠い内陸部の料理だ。フランスではブルゴーニュの料理が有名で、エスカルゴの品種にもブルゴーニュ種というのがある。ブルゴーニュでは、元々ぶどうの葉を食う害虫(害貝?)なのでこれを駆除するわけだが、捨てるのはもったいないから食べてみようということになったわけだろう。
これがなかなか曲者の素材で、軽く火を通したくらいだとあくが強く少し毒もあるらしい。生きたものから調理するとなると、まずは小麦粉と塩と酢をまぶしてぬめりを出してから、良く洗い塩水で30分くらいゆでた後、殻から取り出し内臓部分を取り除く。これをさらに白ワインと水と香味野菜で作ったクールブイヨンで2~3時間茹でてやっと下処理が終わる。殻を調理に使う場合は、煮沸消毒する。これで完了なのだが、これは食用に養殖されたものの場合。天然物を使うときは、有毒植物を食べている危険性があるので10日間以上絶食させる必要があるらしい。又は数日間小麦粉を食べさせて、糞の色が白くなったら体内がきれいになったしるしとして、調理にかかる人もいるようだ。いずれにしても、普通の貝と違って手間のかかることは間違いない。
もっとも、日本ではほとんどの場合下処理が終わった缶詰か冷凍物を使うことが多い。(私の場合は缶詰のエスカルゴをきれいに洗い、白ワイン風味のクールブイヨンで煮てから使う)下処理で長い時間火を通してあるので、素材そのものの味や香りというものはもうほとんど残っていないので、いかに味をつけるかが問題。典型的なブルゴーニュ風では、バターにエシャロットとニンニクとパセリを加えて味を調え、そのバターとエスカルゴを殻に詰めて焼くというもの。私の場合は、そのエスカルゴバターにアンチョビを加えるのがポイント。これで魚介系の旨みが加わって美味しくなる。また、ココットで焼くことで殻に詰めるよりも食べやすくなっている。それに、殻焼きにすると、カタツムリのイメージが強すぎてグロテスクで嫌だという人もいるし、、、。この調理法は、エスカルゴだけでなくサザエやツブ貝などでやっても美味しい。
フランスでは、一流レストランのメニューというよりビストロやブラッスリーなどで食べる親父のつまみというニュアンスだろう。スーパーマーケットなどでも殻に詰めてあって後は家でオーブンで焼くだけのものが、普通に売られている。ありふれた食べ物なのだが、本物のブルゴーニュ産の天然カタツムリとなると地元でもかなりの高級品らしい。
合わせるワインは? ニンニクが利いているからあまり高級なワインや繊細なワインはもったいない。白なら辛口、若いシャブリやミュスカデ、赤ならコート・デュ・ローヌのもの。その他、南仏や西南フランスのワイルド系の赤ワインなど、たいてい快適だと思う。
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