オージー生活

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60ミニッツの内容



深さ的には、アマチュアには危険になる深さになるところにあった。見たときは、てっぺんがちらりと見えて、何か大きな黒い固まりが見えて「そんなはずは、、」って思いながらも、近づいて見ると間違いなく「サブ、サブ(サブマリンの愛称かな)!」って叫んでいた。

潜航艇は、すっかり魚の巣のようになっていて、テレビの撮影中も小さな魚の群れが出たり入ったりしていた。

で、少し歴史フィルムと当時の状況、爆撃を受けた船にいながら生き残ったオーストラリア軍の兵士、ニール氏の話があり。

今回発見されたM24潜航艇は、シドニー湾にあった、1100人のアメリカ軍兵士の乗った‘シカゴ’を狙って魚雷を放ったものの、外れ、魚雷は島に当たり、すぐ脇にあったオーストラリア船の下で爆発し、19人のオーストラリア兵と二人のイギリス人兵を殺した潜航艇である。

生き残っったニール氏は、見張りの役目が終わって、船底の寝室のハンモックで休むところをたまたま上の階の友人のハンモックを借りて休もうとしていたため助かり、爆発の瞬間海に飛び込んで逃げた。元々の寝場所にいたら間違いなく死んでいただろう。そこにいたものは皆死んだし、もう一人の生き残りで近くに寝ていた人は、天井まで吹き飛ばされたと言っていた。

深夜1時50分頃のことで、M24はシカゴの反撃を受けながら海中に逃げ、そのまま跡形もなく行方不明になったのだった。

今回発見された潜航艇の船体には、シカゴから受けたと思われる銃弾の跡が二つ、てっぺんに残されていた。

発見したダイバーたちは、自分たちの発見を証明してもらおうと、オーストラリア海軍の歴史記念物の責任者に連絡をとった。この責任者のサイモン氏は、M24については今まで何度も間違った情報に踊らされて来たので、はいはいとは出向かなかったのだそうだ。が、ダイバーたちが自分たちの記念にと撮ったホームビデオを見て、心底驚いたと。もしこれがM24でないのなら、何だ?他のものではあり得ない、と。

サイモン氏「これは間違いなく帝国日本海軍が攻撃に使用していた Aタイプの潜航艇で、三つがシドニー沖で使用され二つが引き揚げられ、一つが行方不明になっており、発見されたものはM24に間違いないと言える」

「歴史研究家として、潜航艇が永久に発見されないということはないだろうとは思っていた。だが、まさか素人のダイバーたちが発見するとは思わなかった」

「この発見がいかに日本人にとって素晴らしいものか、あまり理解できる人はいないかもしれないが」

サイモン氏は、その後もレポーターの質問に答えながら詳しく語る。

「どうもM24は戦闘でかなりダメージを受けていたらしい。ヘリスコープが壊れていたのだろう。そう考えれば比較的至近距離の標的だったシカゴを外した理由もわかる。肉眼に頼らざるを得なかったのではないか」

「船上に見える弾痕は、シカゴの20ミリ砲から放たれたものだろう」

その後、レポーターからの、潜航艇が狭く電池で動く仕組みになっていて、乗組員は身体を曲げて乗り込む形で、ほとんど不可能な任務に向かったこと。自殺行為の攻撃ではないがそれに近いものであったとの説明あり。

サイモン氏「彼らは急ごしらえで訓練もそこらに放り出された兵士とは違います。エリートで、エリートに相応しい訓練を受けた士官たちであり、海の男たちであったんです」

レポーター「これに乗り込むってことはとてつもない勇気があったかあるいはとてつもない馬鹿げたことだったのかということは確かですよね」

サイモン氏「う~む。当時は彼らは‘特殊軍隊’と呼ばれてましたよ、これは彼ら自身の呼び名であった‘特別攻撃隊’から来てたんですがね」

ここで前出の生き残り兵ニール氏のインタビューが入る。

ニール氏「何年もたったが、私は日本軍に憎しみなど抱いていない。悲劇だった。戦争だったのだから。そして多く抱いてる気持と言えば、大きな賞賛の気持だ。彼らは美しくもない潜航艇の中に閉じ込められそして死んで行ったのだから」

再び発見したアマチュアダイバーが語る。

「発見したダイバーを代表して、この発見した潜航艇を、二人の死んだ日本人海軍兵への敬意のしるしとして、日本に寄贈したい」

レポーターの説明

「この潜航艇は、今は戦争の墓にもなっています。中には、カツヒサ・バン氏と、士官のナオモリ・アシベ氏が今も残されていると考えられます」

「もちろん、ものすごい興味のあることです。ひとめこの眼で見たいと言うダイバーもいるでしょう。が、警告します。もしもこの船をけがしでもしたら、百万ドルの罰金と刑務所行きが課せられます」

ここで発見したダイバーが語るには。

「もしも発見したのがもっと物珍しさで何の敬意も持たないような奴らだったら、既に勝手にこじ開けたり中からものをとったりしてただろう。私たちは敬意を持ち続けたい。そして日本政府が引き揚げて欲しいし、そのときに何らかの助けがしたいんだ」

先週末には、オーストラリアの防衛大臣が訪れ、この潜航艇のためにささやかなしかし重要なセレモニーとして、密かなことが決められ、ダイバーたちに告げられた。

防衛大臣「これは我が国と日本との歴史上における重要な発見である。何者もこの潜航艇に近づくこと、ものをとることを法的に規制することになった」

ダイバーたちはまた次の発見に向けて、週末に海に潜り続けるーーー


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