短編小説【詩・小説】携帯小説・短編詩         ~百万人の感動へ向けて

「人間物語」シーン1ー日常




闇だ…
目の前には無限の闇が広がっている。

そこには 何もない…・・あるのは ただ   闇

「ぅぅ  …  苦しい  …   光が  … 光がほしい…」

   (ふぅ~ やっと コンタクトが とれた)

         「!」

瞬間! ものすごい速さで光が飛び込んできた!



おさむが目を覚ました。
目の前にはいつも見慣れた妻 ゆかりが
まだ あどけなさが残る顔で眠っている。

「そうか~夢か・・・」

(しかし…どんな夢だったんだろぅ…う~ん・・思い出せない)

ゆかり「ん…どうしたの…?そんな真剣な顔して」

どうやら、ゆかりが目を覚ましたらしい。

おさむ「いや…なんでもないよ…。さ、時間だ。起きないと」

おさむは、今 勢いのあるといわれている、ITの会社に
勤めている。
同期からは憧れの職場らしい。
妻も美人で尽くしてくれている。
おさむは、いわば幸せな生活を送っていた。

今日も、いつものように、ゆかりの手作りの朝食を食べて
仕事場に向かう準備をしていると
ゆかりが話しかけてきた。

ゆかり「ねね、あなた、昨日帰り遅くて話できなかったじゃない
ちょっと聞いてよ。昨日ね、隣の奥さんったらひどいのよ…」

おさむは妻の愚痴には慣れていた。
いつも尽くしてくれている愛する妻だし、
理解し 聞いてあげてたのだが、
その時、奇妙な現象が起きたのだった。

愚痴を言っている妻の顔が、なんと表現したらよいのだろう。
[機械的]に見えてくるのだ。
気のせいだと思って見れば見るほど、機械的な顔がゆがんで
見えてくる…。

(俺はおかしくなったのか?)

そう思った瞬間、妻の顔はいつもの優しい顔に戻っていた。

ゆかり「あなた、遅れるわよ。ごめんなさい。仕事に行く前に
変な話しちゃって…」

おさむ「ん?全然かまわないさ。俺もいつも聞いて貰ってるし」

ゆかり「ありがと…いってらっしゃい」

おさむ(気のせいか…)

いつもと同じ朝、いつもと同じゆかりの顔だった…

…はずなのに。





…つづく



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