ハマスの戦闘員が10月7日、イスラエルを陸海空から奇襲攻撃した。数百人の戦闘員がイスラエル領へ侵入したほか、ガザからイスラエルに向かって5000発以上のロケット弾でテルアビブの北まで攻撃され、約250人が死亡、約1600人が負傷したと伝えられている。この攻撃をイスラエルの情報機関は察知できず、軍は迎撃できなかった。攻撃の目的は「アル・アクサの洪水」という作戦名が示している。
アル・アクサ・モスクは「神殿の丘」にあるイスラムの聖地。 今年4月5日にはイスラエルの警官隊がモスク内へ突入、怒ったパレスチナ人はガザからロケット弾を発射し、イスラエルが報復としてガザを空爆するという事態に発展した 。「ラマダーン」(今年は3月22日から4月20日)を狙っての襲撃だったことから、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は新たな戦争を目論んでいるのではないかと言われていた。
ユダヤ教の「仮庵の祭り」(今年は9月29日から10月6日)に合わせて832人のイスラエル人が10月3日、イスラエル軍に保護されながらアル・アクサ・モスクに押し入っている 。イスラエル軍は60歳未満のイスラム礼拝者がモスクへ入ることを禁じた。
こうしたイスラエルのモスク冒涜に対する報復だということをハマスは表明したと言えるだろうが、もうひとつ興味深い話が伝えられている。ハマスが使った武器はウクライナから手に入れたというのだ。アメリカ/NATOがウクライナへ大量に供給した兵器の約7割が闇市場へ流れていると言われているが、そうした武器だというのである。
イスラエルはガザに軍隊を侵攻させるという見方もあるが、そうなると激しい市街戦が展開されることになる。すでにイスラム世界ではハマスの攻撃を支持する大規模なデモが行われていることを考えると、イスラエルに対する反発はさらに強いものになるだろう。
攻撃するにしても、イスラエル軍は地上軍を侵攻させない可能性が高い。2006年7月から9月にかけてイスラエルの地上部隊がレバノンへ侵攻した際、ヒズボラに敗北しているからだ。イスラエルが誇る「メルカバ4」戦車も破壊されている。