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仲間はずれの日本
ウイルソンの国際連盟のアイデアを含む「平和原則14ヵ条」をドイツ(敗戦国)は講和の基礎として受け入れ、イギリス、フランスも条件付で同意していた。
それに対して日本はどうかというと、「日本は、ウイルソン大統領提案の14か条について、意見を留保する。この留保とは、決して反対という意味ではなく、
対米覚書
の決定に日本は参画していない以上、それに拘束されたくない、という意味である」との見解をアメリカに伝えた。ここで触れている対米覚書というのは、イギリス、フランス、イタリアがウイルソンの14か条に基本的に同意することを表明したものだ。日本はこの覚書作成の会議には招かれておらず、それに対して拗ねている趣がある。
外交のことをどこまで人間の自尊心やエゴの感覚で解釈していいものかわからないが、この日本の対応は白人社会に受け入れられかけた黄色人種の感じ方としてよくわかる。「僕はいまやトップ5人の一人だと思ってたけど、なんだい、君たちは僕に相談なしでそんなことを決めて、やっぱり人種が違うと思って馬鹿にしてるのかな、じゃあ僕は一応態度を保留させてもらうよ」
日本は自分が遅れてきた近代国家であることを自覚していた。ヨーロッパとアメリカのやり方には常に不信感を抱いていた。日英同盟に基づいて第一次大戦に参戦したものの、イギリスの態度は喉もと過ぎれば熱さを忘れるだ、と日本の眼には映った。講和会議に随行した近衛文麿は、国際連盟で最も利益を得るのは英米だけであって、あとの諸国は正義人道の美名に誘われたとしても得るものは何もない、と考えていた。
そういう不信感を抱え、体面を傷つけられたことから、14か条への態度を留保した。これがパリでの失敗の第一歩だったようだ。
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