| メディエーター | 産生部位 | 徴 候 | 機 能 |
|---|---|---|---|
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ヒスタミン
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マスト細胞 | 発赤、熱感 腫脹 |
血管拡張 血管透過性亢進 平滑筋収縮(気管支収縮、腸管収縮) 胃酸分泌促進 |
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セロトニン
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マスト細胞 血小板 |
発赤、熱感 腫脹 |
発痛 血管収縮 血管透過性亢進 血小板凝集 消化管運動亢進 |
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ブラジキニン
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血漿 | 発赤、熱感 発痛 腫脹 |
疼痛 血管拡張 血管透過性亢進 平滑筋収縮(気管支収縮、腸管収縮) |
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PGI2
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血管内皮細胞 | 発赤、熱感 発痛増強 |
血小板凝集抑制 血管拡張 気管支弛緩 痛みの増強 |
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PGE2
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マスト細胞 マクロファージ 腎・胃・肺 |
発赤、熱感 発痛増強 腫脹 発熱 |
痛みの増強 腸管蠕動促進 胃粘膜保護 免疫抑制 血管透過性亢進 血管拡張 |
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PGD2
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マスト細胞 マクロファージ 白血球 |
発赤 腫脹 催眠 |
血管拡張 血管透過性亢進 気管支収縮 粘液分泌亢進 Tリンパ球・好酸球遊走 |
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LTB4
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マスト細胞 マクロファージ 白血球 |
発痛 膿 |
白血球走化性活性化 気管支収縮 |
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LTC4
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マスト細胞 マクロファージ 白血球 |
腫脹 | アナフィラキシー誘発 気管支収縮 血管拡張 血管透過性亢進 |
| 第1段階 |
|---|
| まず ヒスタミン
がマスト細胞より放出されます。 血小板からは セロトニン も放出されます。 するとどうなるかというと、 セロトニンの血管収縮作用により一旦は血管は収縮しますが、ヒスタミンの強力な血管拡張作用により血流が増加します。 それにより 発赤 や 発熱 を生じさせます。 また、血管透過性亢進作用により血管に「スキマ」を生じさせ、血液中の血漿が患部に滲みだしてきます。この血漿より ブラジキニン が産生されます。 更に血管内皮細胞より PGI2 が、マスト細胞より PGE2 が産生されます。 ブラジキニンは 痛み を感じさせる物質で、ヒスタミン・セロトニンと共に血管透過性を更に亢進させます。 PGI2、PGE2はブラジキニンの発痛作用を増強させる作用を持ち、炎症が進むにつれて痛みが増してくるのは、これらメディエーターがたくさん産生されているからなのです。 また、ヒスタミンの放出と共に PGD2 と LTC4 が産生されます。 そしてほとんどのメディエーターが持っている血管透過性亢進作用と LTB4 の持つ白血球走化性活性化により、血漿だけでなく白血球までもが滲み出していきます。 この状態が 腫脹 (腫れ)です。 ヒスタミンにはプロスタグランジン(E、I2、D2)を抹消血管から遊離させる作用を持ち、また ブラジキニンにはプロスタグランジンを産生させる酵素(COX)を活性化させることによりプロスタグランジンの産生を促進させます。 ブラジキニンにはヒスタミンを遊離させる作用もあるため、次々とメディエーターが産生されることになります。 |
| 第2段階 |
| この段階になると、炎症反応が起こった要因を白血球などの免疫細胞が処理・攻撃します。 ここの辺りになると、炎症というよりも免疫反応になると思います。 また勉強したら別のページにまとめますが、メディエーターの働きだけ少し。 この段階では PGE2 はマクロファージより作られます。ここで産生されるPGE2は第1段階は逆に炎症を抑えるよう働きます。 具体的には免疫に関わるインターフェロンの産生や炎症を更新させるヒスタミンやLTの産生を抑制します。またステロイドホルモンの産生を増加させるため、炎症を引き起こす物質の産生を抑制して免疫に関わる物質の産生を促進させて炎症を鎮めるよう働きます。 |
| 第3段階 |
| 炎症の原因となるものがなくなると、そのスキマに肉芽細胞と呼ばれる組織を再生させるための増殖細胞が活発に働き、隙間を埋めていきます。 その際に増殖の元になる栄養や、排泄物を運ぶための血管を作ります。 この状態の組織を肉芽組織といいます。 傷口が治るにしたがってピンク色の少し盛り上がったお肉になっていくのを経験された方は多いと思います。アレが肉芽細胞なのです。 患部が元の健康な状態に戻れるようになると肉芽細胞の血管は次第に後退し、本来の組織に取って代わられます。 こうして炎症によって傷つけられた組織は修復されていくのです。 |