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November 15, 2025

よりによってネタが「四の切」と聞いて、これは観ねば！と。
チケット松竹を時折覗いて、有難い事に戻りをGET、夜の部を拝見。

まずは、曽我ものの舞踊「當年祝春駒」。
工藤祐経の館に芸人に身をやつした曽我兄弟がやってきて、という御趣向。
富士山と梅の背景が目を引き、登場人物も華やか。

歌六丈は、すっかり祐経役者となって、要の貫禄。
同時に、今もすっきりとして老け込まない。
大磯の虎の米吉をはじめ、周囲が若い役者である事も一因だけど、

そして、三谷かぶきの新作「歌舞伎絶対続魂」。
浪花で人気の人形浄瑠璃「義経千本桜」を、伊勢の芝居小屋が上演する事になって、
表も裏もトラブル続きのドタバタ。
とにかく、そのドタバタの右往左往に乗っかって、爆笑するのが勝ち。

役者はクセ者、難あり揃い、裏方も問題ありだし、そもそも原作者に無許可だし、
どっちを向いてもトラブルの要因しかない。
でも、舞台を上演する意思は強くて、ゴリゴリ押しまくって進行させる。
とにかく役者が揃っているから、ガンガン力技も決めまくって、２時間ノンストップ。

酷い「四の切」が展開されている、舞台上手のその向こうにある「表舞台」を想像すると、
可笑しいやら恐ろしいやら。
「四の切」を知らなくても爆笑出来るけれど、実際の「四の切」を知っている方が、

観終わっての疲労感も増し増し。

彌十郎や雁治郎の、でっかい存在感が妙なくらい可笑しいし。
愛之助や幸四郎が右往左往して、小者感なのも可笑しいし。
獅童はそのまんまと思わせるし。

とにかく巧い役者が揃っているから、歌舞伎好きとしては、

新悟は体を張ったヒロインだし、莟玉の目端の利いた感が気持ちいいし、
鶴松のピリッとした役が芝居にスパイスを利かせている。
白鷗丈と染五郎のシーンは、やはりしみじみと見てしまった。

で、その存在だけで反則技の浅野和之さん、お見事でした。

そもそもの「ショウ・マスト・ゴー・オン」を観ていたら、もっと面白かったし、
現代劇と歌舞伎の違いの面白さも味わえただろうなぁと思う。

散々爆笑して、幕引きはちょっと切なくて、結局みんな芝居が好きなんだねぇ…

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