(以下faceより抜粋)「魅力あふれるキャラクターを演じる俳優陣のアンサンブルも、今作が人気の理由です。最大のヒットは、やはりヴィンセントを演じたジョン・トラボルタの起用です。今作出演前の80年代後半~90年代初頭に低迷期を迎えたトラボルタを、周囲の反対を押し切って起用したのが、「サタデーナイト・フィーバー」(77)以来、彼に憧れていたタランティーノでした。周囲を説得するのはもちろん、トラボルタ本人を口説き落とすのも大変だったとか。ときに、“「ベイビー・トーク」(89)みたいな映画で可能性を無駄にしてはいけない!”と大スターに向かって檄(げき)を飛ばしながら、熱い説得を繰り返すタランティーノの姿に、トラボルタは“傷ついた。けれど、感動した”と出演を快諾。これを機に、トラボルタがハリウッド・スターとして奇跡の復活を遂げたのは、ご承知の通りです。ヴィンセントがお世話するボスの妻ミアを演じたユマ・サーマンとのコンビネーションも最高。二人がレストラン、ジャック・ラビット・スリムスのツイスト・コンテストに出場する、あの超有名なダンス・シーンは、映画史に残る名場面です。撮影中、タランティーノは二人の緊張をほぐすために、ゴダールの「はなればなれに(A Band Apart)」のダンス・シーンを見せているそう。ここにもゴダールの影響が! タランティーノの憧れは、サミュエル・L・ジャクソン演じる超個性的な殺し屋ジュールスにも投影されています。殺しの直前、相手に向かってエゼキエル書の一節を朗読するシーンは、憧れの大スター、千葉真一(ソニー・千葉)のテレビ・シリーズ「影の軍団」からの引用(そして、千葉真一も出演する最新作「KILL BILL」がいよいよ完成!)。ブルース・ウィリスがボス、マーセルスを裏切るボクサー、ブッチを演じるパート『金の時計』は、旧友ロジャー・エイヴァリーが書いた“Pandemonium Reigns”をベースにタランティーノが“改変”したストーリー。他人のアイディアを多く取り込んでいるタランティーノ作品の場合、この“改変”がクセ者で、人によっては“パクられた”と嘆く人もいるようです。エイヴァリーは、なんとか<共同原案>というクレジットを獲得しています。「レザボア」の“耳きりシーン”以上に衝撃的なのが、“地下室のレイプシーン”でしょう。敵対するはずのマーセルスを助けるため、レイプ魔の白人警官をブッタ斬るブッチに、タランティーノが好む“仁義”を感じさせます。しかも、武器は日本刀! 拳銃がゴロゴロしているガン・ショップを舞台にしながら、あえて日本刀を選ぶブッチの姿に、ニヤっとさせられます」
Who is クエンティン・タランティーノ ? 1963年3月27日、テネシー州ノックスヴィル生まれ。両親は早くに離婚をし、母親とともにカリフォルニアへ。LAの工業地帯サウス・ベイで暮らし始める。進学し、IQ150を誇りながら、生来の勉強嫌いで16歳のときに学業を放棄。映画館でバイトしながら、演技を学ぶ。1984年、カリフォルニア南部マンハッタン・ビーチのビデオ・レンタル店“ビデオ・アーカイヴス”でロジャー・エイヴァリーと出会い、彼の誘いで店員に。彼の映画に関する知識は、すぐに店員、客の間で話題となり、以後、“伝説の店員”となる。自主製作映画やテレビ出演を経て、1990年、製作者ローレンス・ベンダーとともにプロダクション“A BAND APART”を設立(この名前はゴダールの「はなればなれに/Bande a part」に由来)。 1991年、「レザボア・ドッグス」を撮影。完成後、同作は世界中の映画祭で絶賛される。続く「パルプ・フィクション」は1994年のカンヌ国際映画祭で見事、パルム・ドール(最高賞)を受賞、一躍、時代の寵児となる(アカデミー賞脚本賞も受賞)。直後に、最初に執筆した脚本「ナチュラル・ボーン・キラーズ」の版権を失う。1995年、自分が見逃した放送回のビデオを手に入れるためだけに、「ER緊急救命室」の第24話「母親」を演出。また同年、ロバート・ロドリゲス監督作品「デスペラード」、「フロム・ダスク・ティル・ダーン」に出演。オムニバス映画「フォー・ルームス」をアレクサンダー・ロックウェルと共同製作し、第4話にあたる「ハリウッドから来た男」を演出、出演もした。 1996年、“A BAND APART”に海外映画配給部門“ROLLING THUNDER”を設立し、ウォン・カーウェイ監督の「恋する惑星」などを配給、公開する。1997年、憧れの70年代スター、パム・グリアーを主演に、エルモア・レナード原作の「ラム・パンチ」を「ジャッキー・ブラウン」として映画化。同作はゴールデングローブ男優賞、女優賞にノミネートされたほか、ベルリン国際映画祭ではサミュエル・L・ジャクソンが銀熊賞を受賞。カメオ出演やノー・クレジットでの脚本リライト、製作総指揮など他多数(右記参照)。 2003年、全世界待望の監督最新作「キル・ビル」が異例の二部構成にて、公開される。
監督: クエンティン・タランティーノ Quentin Tarantino 出演: ジョン・トラヴォルタ John Travolta ビンセント サミュエル・L・ジャクソン Samuel L. Jackson ジュールス ユマ・サーマン Uma Thurman ミア ハーヴェイ・カイテル Harvey Keitel ザ・ウルフ ティム・ロス Tim Roth パンプキン アマンダ・プラマー Amanda Plummer ハニー・バニー マリア・デ・メディロス Maria de Medeiros ファビアン ヴィング・レームズ Ving Rhames マーセルス エリック・ストルツ Eric Stoltz ロザンナ・アークエット Rosanna Arquette クリストファー・ウォーケン Christopher Walken クエンティン・タランティーノ Quentin Tarantino スティーヴ・ブシェミ Steve Buscemi ブルース・ウィリス Bruce Willis ブッチ