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2006年12月05日

夜を徹して八十キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。そんななか、貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。三年間わだかまった想いを清算するために―。今まで誰にも話したことのない、とある秘密。折しも、行事の直前にはアメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る―。

０５年・第２回本屋大賞受賞　

高校生活３年間で３回（１年に１回）全学年行事「歩行祭」を行う高校に通う主人公「貴子」と「融」。２人は親友にすら打ち明けていない「秘密」を抱えている。互いを強く意識しつつも避け続けて高校生活を過ごしてきた。しかし高校３年にして同じクラスになってしまった。気まずい思いをしながらの、最後の「歩行祭」をむかえる事になる。「貴子」は、この「歩行祭」で１つの”賭け”を考える。

「歩行祭」というただひたすら歩き続ける行事。なにか神秘的で楽しい。「秘密の話」。「夜」。「高校生」という大人でも子供でもない、複雑な時期の心理を描くのに絶好の舞台なのですね。恩田さんは「ティーンエイジャー」の心理を描くのがとてもうまいですよね。

映画が今年、公開になりましたね。どんな出来なのでしょう。見たら、また、読み返したくなりそう。

「貴子」が、話をしたいと思っている「融」。「貴子」の”賭け”とはなんなのか。
これが最後まで、引っ張ってくれましたよ。貴子の心のつぶやき、友人、会話、回想、これらが絶妙にあいまってスルスル～と読んでしまえますね。

高校時代、思い残したことって自分はあっただろうか？誰かに伝えたかったことは　キチンと伝えられたかな？ふと、自分も振り返ってしまいました。８０キロという距離を夜通し歩き続けるとはかなりスパルタな行事ですね。これが修学旅行のかわりとは。でも、生徒達は、３年になるとこの行事をとても大事に思っている。特に、誰と最後歩きたいか、というのがかなり重要のようですね。クラブを共にがんばった仲間やクラスメートもいいけれど、３年間の付き合いの中でもっとも気の合う友人と過ごすことを、貴子や融は選んだというのも、私たちって、幾層もの意識の中で、一番はこれ、という感覚をチョイスしながら生きているよな～と感じたりしました。

『図書室の海』に歩行祭の前日譚「ピクニックの準備」収録。

2006年9月30日　映画「夜のピクニック」
2006年9月15日DVDドラマ「ピクニックの準備」
著者の母校　茨城県立水戸第一高等学校の名物行事「歩く会」がモデル。

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