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2013年08月28日
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テーマ: お勧めの本(7417)
カテゴリ: カテゴリ未分類










宮本 輝『慈雨の音―流転の海 第六部―』刊行記念特集]
【インタビュー】昭和の戦後を生きた人々の、巨大な人間劇場。



・余部鉄橋という原風景
・能の楽しみ
・「流転の海」シリーズの本当の主人公は?
・戦後闇市からの十四年という年月
・「流転の海」のこれから

”背後でなにがどう蠢いていようが、民衆は、とにかく少しでもよりよく生き抜いていこうとしているわけです。それは無名の民衆が自分の運命をどう生きたかという問題であって、それがこの小説の一番大きなテーマです。”





 『ロスジェネの逆襲』を予約してきました。
そして、図書館をウロウロしていて見つけた、『慈雨の音』。

シリーズは、第6部で完結だと思っていたので、これで最後かと思いつつ読みましたが、
ラストを読みおわり、こんな何気ない終わり方なのか?こういう終わり方もアリだけど、
でも、なんだか釈然としない。
と、思い、ネットで検索をかけて知りました。

第9部まで続くようですね。

目出度いです。


伸仁は私立中学に入学。作中、やっと、体もしっかりしてきて、熊吾も房江も嬉しいでしょうね。(←親目線)
一方で、伸仁が20歳になるまでは、死なないと決めている熊吾の糖尿病がまた悪化してます。
また、房江のアルコール依存も、また始まってきたような?
「あたしは、食卓が散らかっているのが嫌で、すぐ洗いたいのに、2時間も3時間もお酒を飲んで演説する、お父ちゃんに付き合わないといけない。それを主張すれば、怒って食卓を引っくり返し怒鳴り散らし、茶碗やらが割れる。お酒でも飲まないとやってられない。」

主婦的には、房江に共感。終盤、首吊事件のあった家に住むことになるより、こうした毎日のイライラの元となる、些末な出来事のほうがゾッとします。

それにしても、伸仁は、神仏に守られているとしか言えませんね。いつもギリギリの所で危険を回避してる?まあ、熊吾という豪胆な父親の元に生まれた、その父に命がけで愛されている、それだけで強い星を持っていると言えるでしょう。
日常的にトラブルに見舞われるのは、この時代の子供には珍しくないのかな。伸仁だけが特殊なの?熊吾の血を引いてると感じさせる、何かと世渡り上手そうでいて、トラブルも引っ張ってきそうな所が要因?それとも、強い守護霊と同時に、逆に悪霊も背負っているとか?
ひとつ言えるのは、昔も今も、親であれ誰であれ、大人にガッチリ目を光らせて貰える子供は、それだけでも幸せでしょう。
作中、盲目の7歳の少女が、日中誰にも世話されず、熱い夏の日、ひもじさと熱中症で亡くなるのが哀れで衝撃的です。

熊吾一家が、鯉のぼりを振って列車を見送ったシーンも印象強いです。
日本人なのに、朝鮮人の新しい父親について、”北朝鮮帰還”で去っていく、伸仁の友達兄妹。現代までも続いているアジア隣国との関係、この一家はその後どんな人生を送るのだろうと、読んでて思いました。



これから、日本が空前のバブル時代へと向かっていくのでしょうが、その片鱗もまだ見えない。
ご成婚に沸く中、熊吾の家にもテレビや冷蔵庫が来ます。
柳田の援助で、熊吾一家の生活が成り立っている「モータープール」(近隣の事業車の駐車場)管理人業には、色々な人が立ち現れます。
伸仁の私立中学の教育費や、高い治療費など、生活は相変わらずカツカツですが、初めて家族3人での温泉旅行(葬式もかねて)をしたり、房江は知り合いを尋ねる際にお土産のブラウスを手土産にしたり、多少のゆとりは持ててるようです。そして終盤、熊吾は新しい事業に乗り出していく。次の仕事は中古自動車販売。店舗も購入、中古車も順調に1台、2台と売れて行ってる。新事業の人員不足、伸仁が保証人になった借金、柳田の「モータープール」管理業はまだ手放せない。問題はまだまだ山積ですね。それに、夫婦ふたりの健康や、伸仁の行く末。。


第7部は、連載中とのことですね。






【流転の海】シリーズ 読後感想

『流転の海 -第1部』
『地の星 -流転の海 第2部-』
『血脈の火 -流転の海 第3部-』
『天の夜曲 -流転の海 第4部-』
『花の回廊 -流転の海 第5部-』






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最終更新日  2013年08月29日 20時44分24秒


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