DarkLily ~魂のページ~

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不在証明(解決編・後編)



「モモは、常に誰かの傍にいたよね。」

「居間に入っていくところを私に目撃されて、居間にいる間は弟たちと一緒、廊下ではお父さんにねらわれてた、だから・・・」

「だから?」

「だからね、お母さんには、誰にも気づかれずに、モモにアジの開きをあげるチャンスは一度もなかった。」

それに。

「それに、犯行時刻はもっとしぼられるよね。」

「まず犯行時刻は、お父さんが帰ってくるよりも前。」

「お父さんが帰ってきたとき、モモは居間にいた。」

「でも居間には弟たちもいたから犯行は無理。犯行時刻は、さらにモモが居間に行く前に限定される。」

「つまり、私がアジの開きを冷蔵庫で見つけてから、モモが居間に行くまでの間しかありえない。」

そう。

「その間に犯行が可能なのは一人しかいないものね。」

犯人は私でしかありえない。

「お母さん、とっくに誰の仕業かなんてわかってて、無実のお父さんをいじめて遊んでたでしょ?」

ああっ、お母さん、わるいかおをしてるよ・・・。

「もしかして、お父さんのポケットの中身って・・・。」

あっ、やっぱり煮干なんだな。

そりゃあ、お母さんにはかなわないよね。

あーあ、やっぱり、ちょっとお父さんがかわいそうかも。


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