DEL PACIFICO

DEL PACIFICO

2007/09/06
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テーマ: 水中写真(542)
カテゴリ: トンガ
天候はさらに悪化、昨日よりも風は強く、



ホテルの窓から見える椰子の木が左右に大きく揺れている。
「この風で、海に出ることができるのだろうか?」不安がよぎる。


朝食後、越智さんがショップに確認を取る。
張り詰めた空気の中で越智さんの知らせを待つ我々。
出られる海域がかなりの制限を受け、
風でクジラのブローが流れて確認が困難になることを覚悟した上での出航となる。
(クジラを探す一番の手がかりは、



ホテルの桟橋があるネイアフの町の入り江を出ると、
東風の影響で徐々に波が高くなる。
「これでは、絶対に外洋には出れない。捜索範囲が限定される厳しい一日になるな」
いやな予感がよぎる。


しかし、この予感は良い方向に見事に外れることになった。
入り江を出てしばらく南西に進んだ、
島々に囲まれたエリア(図の青丸部)で複数のブローを発見。
2つのブローが近距離で上がる。
ペアだ。

トンガ・ヴァヴァウ諸島


しばし様子を伺う。
2頭が息をピッタリ合わせて、優雅に泳いでいる。


ザトウクジラ ペア

ザトウクジラ ペア

ザトウクジラ ペア

ザトウクジラ ペア


ガイドのエミさんから海に入る準備をするようにとの指示が出る。
緊張が走る。
海に入るのにこんな思いになったのは何年ぶりだろうか。
エミさんが海に入りクジラを確認。
船のすぐそばを2頭のクジラがゆっくり泳いでいる。



私はA班、先にエントリーを行う。
私が乗船している「ホエールソングは」カーフェリーのように船の前部が開口し
そこから簡単に海へ入れるようになっている。
しかし、そのために同時にエントリーできるのは2人、
いち早く準備ができた2人が先にクジラに向かった。
準備にてこずった私は遅れてエントリーとなる。


結果は・・・


どうやらクジラは深く潜ってしまったようだ。
さきにエントリーした2人は確認できたようだが、
後からエントリーした、私とMさんの2人は見ることができなかった。
クジラを見失った我々は、仕方なく船に戻ることとなった。


その後、再びブローを確認。
再度潜ってしまったが、エミさんが水面から中層に浮かぶクジラを捜索し見事発見。
Bグループにエントリーの指示が出る。
Bグループは長時間、水面から観察できているようだ。
自分が見ているわけではないのだが、うれしさ半分・羨ましさ半分、複雑な気分だ。


しばらく、そんな状態が続いた後、
何とクジラが2頭ともBグループのすぐ側に浮上してくるではないか!!
一番近い人は1mも離れていなかったように見える。
これで見れなければ、一生見れないだろうという距離だ。
クジラは何度か息継ぎのブローを繰り返しながらゆっくり泳いでいる。
しかし、併走するBグループの人達は全速力で泳いでいるようだ。
クジラと人の泳力の違いを実感する。


しばらく、クジラとの併泳を楽しんだB班、
クジラが再び潜ったのを機に、船に戻ってきた。
その後、再度同じペアを探している間に、
2名乗りの「プナ」から交代で入らせて欲しいとのリクエストが入る。
やはりこの海況では、ほかに良いクジラが見つからないようだ。


実はこの時プナとのやりとりの無線での会話が
上手く伝わっていなかったようで、
プナの方ではホエールソングのゲストは全員が泳げたと思っていたらしく、
とりあえずプナに譲ることになった。


今回のツアー参加者14名中、
Mさんと2人だけ水中観察を果たせていない私は、
正直かなり焦りを感じていた。
天候は一向に回復する兆しがなく、時折強い雨が降り出してくる。


このまま今日も泳げないのではないか?
苛立ちが募ってくる。
プナのゲストが泳ぐ時間が永遠に感じる。
(彼らには、何の罪もないのだが・・・)


クジラが再び潜行したのを機に、船に戻ったプナのガイド越智さんに
「ホエールソング」の2人のゲストが泳げていないので、
そちらと一緒に泳がせて欲しいとエミさんが話をしてくれた。
「プナ」のゲストは2名なので、
こちらから2名参加しても制限のゲスト4名の範囲内に収まるのだ。


再び、クジラと泳ぐチャンスが巡ってきた。
既に、越智さんと2名のゲストが泳いでいるあたりに静かに向かう。
海中を凝視する。


いたっ!
暗い海の中、そこだけ白く輝いているのを確認する。
どうやら胸鰭のようだ。
しかし、深度が深く、全貌はわからない。
彼らは水中で何もせず、海流に身をゆだねて、じっと休んでいるようだ。
このまま彼らを水面からトレースし、浮上のタイミングをひたすら待つ。


警戒心が強い個体の場合、水面に人がいるのを確認すると
少し離れた場所に浮上してしまう場合が多いのだが、
彼らはそのようなことはなく、
我々のすぐ近くに浮上してきてくれるフレンドリーな個体だった。


きたっ!!
ファインダを覗き必死にシャッターを切る私。
しかし、どう画角内に収めればよいのか見当も付かない。
肉眼で捉えた時のその大きさにただただ圧倒される。

ザトウクジラ

ザトウクジラ

ザトウクジラ


クジラがゆっくり水面で泳いでいる。
必死に併泳するが、あっという間に置いていかれる。
自分の泳力のなさがもどかしい。
こんな思いを幾度となく感じながら初めての出会いは幕を閉じたのだった。







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Last updated  2007/09/11 04:49:09 PM
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