天の道を往き、総てを司る

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第9話 デブリベルトに潜む者



「えぇっ!? 水これだけっきゃねぇの!?」

「しゃーないだろ。フロンティアサイドで補給受けられなかったんだから」

水がなかったのだ。
飲み水は今のところ確保してあるがケーンのコップに入れられた半分にも満たない量を見れば残りの貯水量もたかが知れている。
シャワーは勿論のこと、パーツ洗浄機も使用禁止。このまま行けばトイレの水も使用禁止になるのも遠くはない。

「ナデシコやスペースアークから分けてもらえないのかよ」

「あっちは避難民抱えて大所帯だから無理だとさ」

ケーンの言葉をクールに受け流すライト。
スペースアークは大勢の避難民を抱えておりこちらに分ける程の水の貯蓄もない。
頼りのナデシコもフロンティアサイドで補給を受ける予定だったらしく余裕が無いとの返答が帰ってきた。

「飲み水よりシャワー使えない方が困るわよ……」

ミリアリアがため息をつく。
女性陣にしてみればシャワーのが大事らしい。

「これからどっかで補給とか受けないのかな」

「どうだろ……」

このままでは水の貯蓄は数日と持たないかもしれない。
何処かで補給を受ける必要は大いにあるが……この先、補給を受けれるような場所があるかどうか分からない。

「艦長達が知恵絞ってくれる事を期待するっきゃねぇわな……」



ブリッジではナデシコ、スペースアークと通信リンクを繋ぎ今後のことを話し合っていた。
三艦のメインモニターには現在位置から月本部までの考えられる全てのルートが表示されている。
その中から最短かつ安全なルートを検索しなければならない。ナデシコやスペースアークはともかくアークエンジェルは戦闘に耐えられる状態では無いのだ。

「どれも時間が掛かりすぎるな……もっと短いルートは無いのか?」

「無理言わないでください。これ以上短いルートなんて……」

ナタルの注文にチャンドラーが難しい顔をして答える。
これでも一番短いルートなのだ……それでも三日はかかるが、これ以上短いルートなど考えられない。

『確かに考え得るルートでは最短……だが、三日もそちらは持ちますか?」

レアリーの疑問は最もである。
今のアークエンジェルはなんとか動かしている状態であり物資も少ない。
正直、三日も持つかどうか怪しい……艦では無く乗艦しているクルーがだ。

「難しいなそれは……俺等はともかくとして小僧達がな」

「そうね……もって二日って所かしら」

軍人でも無い彼らが三日もこの状況に耐えられるとは思えない。
長くて二日だろうとマリューは判断する。他のメンバーも同じ考えだったのかその言葉に頷いている。

「補給を受けられなかったのは痛いですね……やはり、何処かで補給を受けるべきです」

「しかしダグラス中尉……補給を受ける場所は?」

「……問題は其処だな」

補給を受けるべきだが受けられる場所がない。
受けようと思えば受けられるかもしれないがそれでは月へ向かうルートから大きく外れてしまい現実的ではない。

『一カ所だけありますよ。補給を受けられる場所』

そんな時、電子の妖精はさらっととんでもない一言をあっさりと口にしたのだった。

「なっ……本当ですか!?」

『ええ、受けようと思えば受けられます。おまけに月へのルートからそう離れてませんし』

「しかし、近辺に連合寄りのコロニーなどは……」

『補給はコロニーだけで受ける物じゃないです』

ルリはそうしてモニターに補給を受けられる場所を示す。
その場所に、アークエンジェルとスペースアークのブリッジクルーは目を丸くするのだった。



「デブリベルトで補給って……本気ですか?」

スペースアーク格納庫、F91のコクピットの前でパイロットスーツに身を包んだシーブックが理解できないと言った表情を浮かべている。
対するビルギットも同じように難しい表情を浮かべている。

「そうでもなきゃ補給がねぇんだとさ……まぁ、あれだけ大量のゴミが貯まってんなら使える弾薬とか水ぐらいあるだろ」

「ゴミ漁りするなんて聞いてませんよ」

「せめてリサイクルって言え。とりあえず俺とお前、んでナデシコの連中が出る事になってる」

「アークエンジェルの機体は出ないんですか?」

「二機ほど出すとさ」

ビルギットは「まぁ、頑張ろうや」と言ってシーブックの肩を叩きすぐ横にあるヘビーガンのコクピットへと向かう。
シーブックはその背中姿を見ながら大きくため息をつきF91のコクピットへと潜り込む。

「ったく……何が悲しくてMSで廃品回収するんだが」

最も、補給を受ける事は死活問題なので文句を言っても仕方がない。
念のためにビームライフルを装備し、シーブックのF91とビルギットのヘビーガンはデブリベルトへと発進した。
ほぼ同時にナデシコのカタパルトからも真っ赤な機体、ワイバーンが発進する。

「シーブック、デブリの中は危険だから操縦には気をつけろよ。宇宙じゃネジ一本当たっただけであの世逝きになりかねないからな」

「初心者に無理言わないでくださいよ。そういうビルギットさんはどうなんですか?」

「……」

「いや……なんで其処で黙るんですか?」

気まずい沈黙。
なんだか得体の知れない悪寒がシーブックを支配する。
もの凄く嫌な予感……デブリの仲間入り決定おめでとうになってしまうのかと本気で思い始めた。

プツンッ

「あ、通信切りやがった」

もしデブリに当たりそうになったらビルギットを盾にしてやろう。
そう心に決め、ついでに神にも誓いシーブックは操縦桿を握りしめた。
一方、ライルは欠伸を噛み殺しつつ腕を頭の後ろで組みレーダーの上に足を乗せるというやる気ゼロ状態である。
操縦桿など握ってもない。面倒なので細かい作業以外はドレイクに任せている。

《これも任務だぞ。少しはやる気を出せばどうだ?》

「やだね、面倒くさい」

《穀潰しが》

かなりキツイ口調で毒を吐かれた。
一瞬の間すら置かずに放たれる罵倒には慣れても来たが頭に来る。
このAIをプログラミングしたのは何処のマッドサイエンティストだ。少なくともアイザック・アシモフは読んでない……というか存在すら知らない人物であろう事は断言する。

「お前、性格悪いよな」

《褒め言葉と受け取ろう》

出来ることなら今すぐにこのガラクタを粉砕してやりたいがそうするとワイバーンが動かなくなるので我慢する。
とりあえず頭の中で千回ほどAIを粉々にして気分を落ち着かせる。

「……そういや、あの嬢ちゃんはどうなったんだ?」

ふと、昨日助けた少女の事が気になったのでドレイクに聞いてみる。
ハッキング趣味のAIであるドレイクの事、AAに不正アクセスかけていくつか情報を盗ってるだろう。
過去にナデシコのメインコンピューター、オモイカネにハッキング仕掛けた事すらあるAIだ。その結果、ルリにバレて逆にハッキングされデータを色々弄られたのだが。

《ああ……まだ意識は戻らないらしいな。クレア・レナード、階級は少尉。年齢十八……》

サラッと個人情報を流してくださるこのAIに感謝するべきかどうすべきか少々悩む。
いや……スリーサイズまで調べてるとは恐れ入った。と言うか教えなくて良い。

「はいはい、個人情報を洗いざらい調べ上げる趣味は感心しないからその辺にしとけ」

《ふん、俺の唯一の趣味に口出しするな》

随分と趣味の悪いAIもいた物だ。
もはや返す言葉もないのかライルは大きな欠伸をした。
その後ろ、少し遅れてアークエンジェルから出撃したエールストライクとD-1の姿がある。
比較的損傷の少なかった二機は応急で修理を済まされ応援として出されたのだ。

「ナタルのババァ……人使い荒すぎんだよ」

「うん……同感」

すぐに動かせてこの手の作業に向いている機体がストライクとD-1だけという理由で問答無用で放り出したナタルに二人は恨み辛みを吐く。
こちとら昨日の疲れがまだまだ残っているのだ。補給が必要なのは分かるがもうちょっとこっちの疲労とかその辺も考えて欲しい。

「仕事第一で優遇聞かない人ってナタルさんの為にある言葉だよね」

「おう。あんな性格じゃ恋人つくれずにマジでババァに……」

『だぁ~れぇ~がぁ~バァ~バァ~アァ~だぁ~?』

通信機の向こうからこの世の物とは思えない地獄の奥底から響いてくるような低い声が聞こえてくる。
二人の背筋に寒気が走る。脊髄を氷柱に入れ替えられた上に全裸で吹雪きのヒマラヤの頂上に放り出されたようなそんな気分。
この世の全ての悪がその声に詰まっていた…………っ!

『全部聞こえているぞお前ら……随分とまぁ好き勝手に言ってくれているなぁ? え? ガキンチョ共……』

そう……二人の会話は何かの拍子でONになっていたアークエンジェルへの通信回線を通じて艦内全域に見事に流されていたのだ。

「いや……あの……あのですね!? 今のはなんというか……その、物の弾みって奴でしてね!?」

「本心じゃないです! 決して本心じゃありませんです!」

「というかアレです! ナタルさんはアークエンジェルの……えっと……えっと……」

「オアシス」

「そうそう、それそれ!」

必死で弁解するがもはや時すでに遅し。
其処にあるのは絶対的な死。今の二人には惨劇を笑う以外に選ぶべき道はないのだ。

『キラ・ヤマト……ケーン・ワカバ、帰ってきたら私の部屋まで来い……生まれてきたことを後悔させてやる……』

ブツンッ!
随分と乱暴に通信が切られた。
そして、恐怖に支配された二人は顔面蒼白、今にも死にそうな表情で機体を操作するだけで精一杯の状態だった。
無論、アークエンジェルのブリッジクルーもナタルに対し絶対的な恐怖を覚えたのだった。



デブリベルトは宇宙開発や戦闘などで生まれたゴミの集まった場所だ。
其処には無論未使用の弾薬やMSなどのパーツも当然流れ着いている事がある。

「おうおう……たくさんあるじゃねえの」

ビルギットが鼻を鳴らす。
戦闘で破壊された戦艦の残骸を見つけ、そのカタパルトを覗き込むと未使用の弾薬やらが大量にあった。
これぞまさしく宝の山という奴だろう。

「よし……コイツを頂いていくとするか」

ヘビーガンで弾薬の入れられたコンテナを持てるだけ掴み取ると戦艦の残骸を後にしてアークエンジェルへと戻る。
その近くではシーブックのF91が残骸となって漂っているジンの腕からまだ使えるであろう重斬刀を奪い取っていた。

「武器は多い方が良いってね……MSなんかあっても使える人いないだろうし……おっと」

後ろから漂ってきたメタルアーマーの腕を避ける。

「ホント……ゴミだらけだな」

いくらなんでも多すぎだろうと思う。
そのうち、宇宙も戦艦やシャトルが行き交う事すら出来ないぐらいにゴミだらけになるんじゃないだろうか。
最もそのゴミのお陰で補給を受けられるのだが。
一方、キラとケーンは戦艦やMSの残骸には目もくれずひたすら水を探していた。
ナタルの怒りを静めるためには水を見つけて献上するか無いだろうという結論にいたり水を必死に探す。

「そうは言っても……見つからねぇなぁ……」

「簡単に見つかったら苦労はしないけどね……」

「そりゃごもっとも」

漂う大小様々なゴミの中をすり抜けながらデブリベルトを探索する。

「出来るだけ原型留めてる戦艦の残骸とか除いてみよう。貯水タンクとか残ってるかも」

「OK……って、なんだアレ?」

ケーンが何かに気がつきモニターを向ける。
其処は不自然な空間だった。
周囲に漂うゴミがその空間にだけ存在していない……ただ一つ、戦艦ほどの大きさのある不気味な光を放つ隕石を除いて。

「デブリがない……どうして。此処はデブリベルトの真ん中なのに……」

キラの言うとおり、其処はデブリベルトの中心部……周囲にはゴミが嫌と言うほど浮かんでいる。
それだと言うのに此処にはゴミ一つ無い。不気味に発光する隕石が浮かんでいるだけだ。

「とりあえず艦長達に報告しとくか……リンダちゃん。通信回線よろしく」

『非常に強い電波が周辺に発生しており通信不能です。即座の宙域離脱を具申します』

「マジかよ……ったく、キラ一度戻ろうぜ」

「待って! あれ!」

キラが叫ぶ。
見ると、隕石の一部が迫り上がり何かが隕石の中から外へと這い出ようとしている様子が見えた。
数は一つ。だが、MSやメタルアーマーの倍はあろう何かが出てこようとしている。

「な……なんじゃありゃぁ!?」

ケーンの驚愕と同時に、それは隕石の中から出現した。
全長はストライクの約二倍。その姿は人型だが昆虫を連想させるがどことなく植物のようにも思える。
早い話、怪物とかそう言う類に見えた。その怪物は頭部らしき物をストライクとD-1に向ける。

「おい……なんかヤバくね?」

「うん……友好的な感じはしないよね」

互いにマウントしていたビームライフルとハンドレールガンを構える。
応急修理しか受けていないため戦闘は出来るだけ避けるべきだがこの状況ではそうも行かない。
ならば、速攻で相手を沈黙させるしかない。
怪物が二機に向け腕を振り上げ突撃をかける。直後、ビームライフルをハンドレールガンが火を噴き怪物の体を貫いた。
連射されるビームと弾丸が怪物の体を焼き、砕き、粉砕する。
数発の連射の後、怪物は蜂の巣となりその場で動かなくなった。

「やったのか……」

「あれだけ撃ったんだ。平気なわけがねぇだろ」

だが、二人の目の前で怪物は再び活動を開始する。
蜂の巣となった体を持ち上げ、何事もなかったかのようにストライクとD-1へ突撃する。

「何っ!?」

「クソッ!」

その場から離脱し再びビームライフルとハンドレールガンを撃ち込む。
皮一枚で繋がっていた怪物の右腕と左足が吹き飛ぶ。しかし、それすら意に介さず怪物は向かってくる。

「どうなってんだ……っ!?」

ケーンはハンドレールガンの弾倉を交換しながら怪物に目をやる。
見ると、撃ち抜いたはずの箇所の傷が塞がっている。更には吹き飛んだはずの右腕や左足も少しずつ再生している。

「再生!?」

「何の冗談だよ!?」

怪物は雄叫びも上げずストライクに狙いを定め、腕を振り上げる。

「っ!」

ビームライフルを投げ捨てビームサーベルに持ち替えて怪物の腕へと振るう。
その手首をビームサーベルで焼き切り至近距離からイーゲルシュテルンを撃ち込み牽制しながら間合いを取る。
D-1が肩のグレネードを怪物へ投げつける。それは背中に直撃、爆発し怪物の背中を粉砕する。
ビームサーベルを収め、投げ捨てたビームライフルを構え怪物へと連射。頭部を胸部を撃ち抜く。
しかし、怪物の体は即座に再生し何事も無かったかのように攻撃を再開する。

「オイオイ! マジで冗談キツイって!」

応急修理しか受けていないD-1とストライクでは長期戦に持ち込まれると不利だ。
しかし、この怪物は今の装備で倒しきれる相手では無い。オマケに味方との通信は取れないと最悪の状況だ。
これだけ派手に戦っていれば気づいてくれるかもしれないが運任せでしかないことに変わりはない。

「くっ……どうすればっ!」

怪物は頭を持ち上げ腕を振り上げ今にも飛びかかろうとする。
ストライクとD-1は武器を構え、迎え撃つ体勢を整える。
一瞬の間を挟み、怪物が二機へと突撃を仕掛けるようとするが……それは怪物の背後からの攻撃により防がれる。

「えっ!?」

見ると、怪物の背後にまるで龍のような右腕を突き出したワイバーンが其処にいた。

「何か派手にドンパチやってると思えば……なんだこりゃ?」

《わからん。とりあえず敵だ》

「理知的な判断どうもありがとう……彼処の二機はアークエンジェルのか」

ワイバーンの右腕を降ろしストライクとD-1の姿を確認した後、怪物に視線を戻す。
左腕を左胸部ごと吹き飛ばされていたがそれをすぐに再生しこちらに顔を向けている。
ターゲットを自分に変更したようだ。

「ま、助けてやるか」

怪物がワイバーンへと突撃する。
ワイバーンは左腕のクローを振り上げ怪物へと振り下ろす。
怪物が繰り出した右の拳を斬るように粉砕し、そのまま左脇腹まで体を剔る。
怪物は再生させる間を惜しんだのか、そのまま左腕を振るう。

「おっと」

が、それはワイバーンの腰の後ろから伸びている尻尾のような装備、テールスラスターの先端に取り付けられたハンマーに防がれる。
左腕を弾き、右腕の龍の顎を解放。勢いをつけ怪物へと突き出し、怪物の体をその顎で銜える。
口の中に装備された銃口にエネルギーが収束する。

「燃え尽きろ!」

ライルがトリガーを引く。
口内の銃口から高出力のビームが放たれる。それは怪物の体を飲み込み、その体を完全に消滅させる。

《目標完全消滅確認》

「一丁上がり」

余裕であの怪物を仕留めたワイバーンの戦闘の一部始終を眺めていたキラとケーンは呆然としていた。
まさか、彼処まで一方的に叩きのめすとは……機体の戦闘力だけで無くパイロットの実力もあるのだろう。
その動き全てに無駄が無く、なおかつ余裕があった。

「すっげぇ……」

「うん……強いね、あの機体……」

開いた口が塞がらないとはこの事か。
呆然と立ちつくしたままの二人は通信機から聞こえてきた声に我に帰る。

『お前ら、生きてる?』

「あ、はい!」

『んじゃ、帰るぞ。補給はあらかた終わったとさ』

それだけ言って通信は切断される。
直後、ワイバーンは二機に背を向けさっさと離脱してしまった。

「置いてけぼりかよ!? 俺たちも戻ろうぜキラ」

「わかった……ん?」

ワイバーンの後を追いアークエンジェルへ戻ろうとした直後、ストライクのレーダーが救難信号を捕らえる。

「救難信号……こっちか」

ストライクを信号が出ているデブリへと向ける。
其処にコロニーか何かの残骸の一部に引っかかり動けなくなっている救難ポットがあった。

「これか。まだ新しいって事は人が乗ってるんだよな」

見つけたからには放ってはおけない。
ポットを壊さないように慎重に掴み取り、ストライクをアークエンジェルへ向かわせた。



「人間……なかなかの戦闘力を持っているようですね」

闇の中、少年のような声が響く。
少年の目の前には先程まで怪物とストライク、D-1、ワイバーンが戦闘を繰り広げていた宙域が映しだされている。

「我々の妨げにならなければ良いのですが……」

「フンッ! たかが一体の手駒を失った程度で怖じ気づくな」

少年の言葉をあざ笑うように別の声が響く。
こちらは成人男性のような声……気弱な印象を受ける少年の声とは違い、余裕を感じさせる声だ。

「所詮は下等な地球人共……我ら、ディラドの敵では無い」

闇の中で男はフッと口元を歪める。
自分達に対する絶対的な自信と先程の戦闘で自分達の送り出した怪物を倒した者達への明かな侮辱が籠もっていた。



続く


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