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2006年04月12日
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カテゴリ: 読書感想
手紙と秘密

時は第二次世界大戦の最中。
13歳の少女グレッチェンは、祖母のカフェを手伝うとともに、戦争による人手不足で新聞記者としても働き始める。平凡で平穏な記事ばかり書いていたある日、友人バーブの母が殺され、バーブの父が容疑者として指名手配される。グレッチェンは友人のため、そして自分自身のために、新聞記者として、バーブの友人として、事件の真相を追っていく・・・・・・。

ひっさびさにじっくりミステリを読みました。
読み始めたときはあまりにたんたんとしてるので、なかなかページを捲る手も止まりがちだったんですが、あれ?あれれ?ってな具合でいつのまにか読み進めてる。中盤からは一気読みです。

はっきり言って、地味です。事件は猟奇でもサイコでもない。
事件自体に難しい謎はありません。

文庫裏には「少女探偵」とありますが、う~ん、探偵とはいえないような気が・・・
だって、グレッチェンは新聞記者として事件を追うけれど、別に独自の手がかりを掴むわけでもなし。単に「少女記者」でも良かったんじゃ・・・・・・
そもそも、この作品、メインは「主人公の謎解き」ではなく、「思春期の少女の揺れる思い」ってやつだと思います。


そして、友人バーブの両親の事件を追うことで、どんどん周囲から孤立していく、その閉塞感。
そういったのが渾然一体となった、重みのある作品でした。なんかもう、シリアス!

クスリとするとこはないですが、グレッチェンが務めるガゼット社の編集長のデニスさんが、ものすごいかっこいい「大人」で、グレッチェンを暖かく見守るあたりとか、暗いだけ、重いだけの作品ではないです。

う~ん、ホントにじっくり古き善きミステリ!ってやつを読んだ気がするぞ。

文庫解説にもあるとおり、13歳のグレッチェンが事件を調査するパート、年老いたグレッチェンが過去を思い出して語るパート、バーブの手紙分のパートと3つのパートに分かれてます。
バーブの両親の事件は別に難しいものでもないんですが、最後の最後で事件の真相が分かります。
真相を読んだ時に、ああ!あれがそうか!ということが分かって結構驚きました。
読んでる最中は、普通に読み飛ばしてたよ!そっか、成る程ね。いや、ちょっとはおかしいかも、とは思ってたりしたんだ、ホントはね。(←負け惜しみ)

一時、海外ミステリにはまってたことがありまして、その時はですね、女性作家の女性探偵にこだわって呼んでました。(今思うと、何でそんなこだわりを持ってたのかさっぱり分からん。)
サラ・パレツキー とか メアリー・W・ウォーカー とか ナンシ・ピカード キャロリン・G・ハート もその流れで読んでました。
それにしても、キャロリン・G・ハートはコージーミステリを書く作家ってイメージだったので、この「手紙と秘密」が全然違う雰囲気の作品なのでビックリ。

講談社ノベルズもいいけど、たまにはハヤカワ文庫の海外ミステリもいいよね、と思わせてくれた作品でございました♪


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最終更新日  2006年04月12日 22時19分36秒
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