れいんぼータウン

れいんぼータウン

胡蝶蘭



お前は俺の一生














お前がいなきゃ、俺が生きている意味がない














それくらいに思ってるんだぜ






















































胡 蝶 蘭






















































「おい、彌捺、誕生日だろ…?」





貴方の甘い声が聞こえる度に



私の胸はときめきを隠せない



どんな小さい声で貴方が囁きを唱えても



必ず私は貴方の方を見る





「だから、貴方が祝ってくれてるんじゃない?」



「ま、それはそーだけどよ…」





貴方は少し照れた顔つきで私にこう向かって言う


大体予想は出来たけど、いつも私の予想を裏切ってくれる貴方







「で、何?」



「良い物やるよ…」



「え?でも、プレゼントはしっかりと貰ったよ?」




そういって私は貴方に手を翳し、動かす度に幾度となく無限の輝きを放つ


大粒のダイアモンド…飾らないプラチナのリングに乗せられている


そう、先ほどの店で誕生日プレゼントとして貴方に貰った物




「バーカ、あんなもんいつでも買ってやれるだろ…」



「で、でも…」



「ま、俺が来るまで待ってな」



「でもっ!!」




笑顔で見つめられたら何も言えなくなっちゃう


そんな気持ちも知らないで貴方は私にいっつも笑顔を見せる





一分も経ってない内にドアが開いて貴方が戻ってきた


手には紙を握っていて、その他には特に見つからなかった




「?」


「彌捺、これやるよ」




手渡された紙には、貴方の字でこう書いてあった


_____となりの部屋______


淡々に書かれていたもの


となりの部屋に何かあると感じて私は駆け足で向かった





黄金の冷たく重いノブを開ける


そこにはいたって普通の片付いた書斎があった


でも、大きくすっきりとした机の上には、ペン立ての他に白い紙が置いてあった


私は其れを手にして捲って見る



______階段下の壷_____



そう書いてあった


もう何がなんだか分からない私は階段下においてある小さな備前焼の壷に向かった




階段を降りる間、ずっと何なんだろうと考えてたけど


全然思いつかなかった



とうとうそんな事を考えているうちに、問題の壷があった


落とさないように壷を手で持ち、中を見てみる


そこには、また白い紙があった


めくってみると


_______噴水_______


とだけ、書かれていた


急いで向かってみる


早く早く行きたくって、靴なんて履き忘れてしまうほど


柔らかくて心地の良い芝生の上を走る


邪魔になるスカート


冷たい風


すべてにおいて不思議に思えた



噴水が見えてきて急いで場所に行く


噴水の場所について、噴水の周りに何か無いかと探してみる


回り切るというときに、噴水の少しのスペースに、ガラス細工で出来た


光に透ける花瓶があった


そこにさしてあったの一輪の花


花には赤いリボンが巻きつけられていた


私はそのたった一輪の花を手にする


そして、付属のカードを目にする


”貴方を愛しています”



「おいおい彌捺…靴くらい履けよ」


「あ、忘れてた…」



そういうと、静かに私を噴水の空いたスペースに座らせて、靴を履かせる


私が一輪の花をずっと見つめていると急に貴方は言った



「貴方を愛しています…」


「何が…?」


「花言葉だよ…」


「この花の?」


「ああ、胡蝶蘭って言うんだぜ」



確かに、花びらの形が蝶の羽開いた時にそっくりだった



「蝶にそっくり…」


「だろ?」


「ありがとう…」


「………」



今の私の顔はすっごく赤みを帯びていて、貴方に見せられないくらいだったけど


貴方が黙ったのも、照れていたせいだったから嬉しかった






今では、一緒に暮らすようになった私と貴方


窓辺には必ず一輪だけ胡蝶蘭をあの花瓶に飾っている


あの日の胡蝶蘭は、私の大切なしおりとなっているけれど


その時貰ったまま花言葉と貴方の気持ちと花はいつまでも心の中においてある































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