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なまけいぬ
自作の小説を載せています。ツッコミどころ満載ですが…
2006年07月13日
テーマ： 連載小説を書いてみようｖ(10175)
カテゴリ： 楽園に吼える豹
“アスカが、撃たれた”
そう聞いたとき、橘はいてもたってもいられず走り出そうとした。
だがよくよく聞いてみると、事態は更に深刻だった。
アスカが撃たれたのはどうやら、麻薬の売人とのトラブルに巻き込まれたためであるらしいこと。撃たれたその足でアスカは、自分と付き合いのあった不良グループ総勢に十数名に重軽傷を負わせたこと。
―――麻薬。ぞっとした。
幸いクスリを使った形跡はなかったそうだが、一歩間違えれば。
その点についてはとりあえずほっとしたものの、橘の胸にはある感情がふつふつと湧いてきていた。
その感情を押し殺しつつ、橘はアスカが収容されている病院の門をくぐる。
「いや、今回は本当に災難だったね、アスカ君」
彼女に表面だけを取り繕うような言葉を投げたのは、実行総合本部の部長だ。
彼の横には、取り巻きたちがこわごわと様子を伺っている。皆アスカが怖いのだ。
病室の入り口近くには、ゴウシが鍛え上げられた肉体を壁にもたれさせ、彼らを憮然とした表情で眺めている。ゴウシにとって彼らは上司に当たるから、邪険に扱うことはできないのだ。
ユキヒロはいない。ゴウシは彼にも連絡をしたのだが、どうやらまだ到着していないようだ。
「しかしだね、君は結果的には麻薬の売人の逮捕を早めたわけだし、窃盗や強盗で警察に追われていた不良グループの連中の補導にも寄与した。だからこちらとしてもだね、穏便に事を済ませようと思うのだよ」
部長はそう言ったが、彼としては何が何でも穏便に事を運ばなければならなかった。
SクラスのGSが犯罪に手を染めたなど、絶対に知られてはならないことだ。こんなことが表沙汰になれば、自分の身も危ういのだ。
彼の発言が自分の保身を前提にしたものだということがわかっているので、ゴウシも不愉快そうな表情になるのを隠せない。
「それでだね…」
なおも部長が発言を続けようとすると、急に病室の扉が開いた。
「た、橘くん！！」
こいつがアスカ・清里をきちんとコントロールしなかったせいで、こんなことになったのだ―――と。
橘がぜいぜいと息を切らせているのも構わず、部長は開口一番彼を怒鳴りつけた。
「君！ 今頃来るとは一体どういう神経をしているのだね！ あれほど彼女をよろしく頼むと言っておいたのに……全く君には失望したよ！」
が、橘は彼の言葉が聞こえていないかのように、アスカの方へ近づいていく。
「き、君！ 聞いているのかね！」
アスカはまっすぐ自分に近づいてくる橘を、怪訝そうに見上げた。
その時。
「！！」
アスカの頬に、橘の平手が飛んだ。
つづく
何気にこのシーンが最大の見せ場だったりして(笑)
橘さんもやるときゃやります。
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そう聞いたとき、橘はいてもたってもいられず走り出そうとした。
だがよくよく聞いてみると、事態は更に深刻だった。
アスカが撃たれたのはどうやら、麻薬の売人とのトラブルに巻き込まれたためであるらしいこと。撃たれたその足でアスカは、自分と付き合いのあった不良グループ総勢に十数名に重軽傷を負わせたこと。
―――麻薬。ぞっとした。
幸いクスリを使った形跡はなかったそうだが、一歩間違えれば。
その点についてはとりあえずほっとしたものの、橘の胸にはある感情がふつふつと湧いてきていた。
その感情を押し殺しつつ、橘はアスカが収容されている病院の門をくぐる。
「いや、今回は本当に災難だったね、アスカ君」
彼女に表面だけを取り繕うような言葉を投げたのは、実行総合本部の部長だ。
彼の横には、取り巻きたちがこわごわと様子を伺っている。皆アスカが怖いのだ。
病室の入り口近くには、ゴウシが鍛え上げられた肉体を壁にもたれさせ、彼らを憮然とした表情で眺めている。ゴウシにとって彼らは上司に当たるから、邪険に扱うことはできないのだ。
ユキヒロはいない。ゴウシは彼にも連絡をしたのだが、どうやらまだ到着していないようだ。
「しかしだね、君は結果的には麻薬の売人の逮捕を早めたわけだし、窃盗や強盗で警察に追われていた不良グループの連中の補導にも寄与した。だからこちらとしてもだね、穏便に事を済ませようと思うのだよ」
部長はそう言ったが、彼としては何が何でも穏便に事を運ばなければならなかった。
SクラスのGSが犯罪に手を染めたなど、絶対に知られてはならないことだ。こんなことが表沙汰になれば、自分の身も危ういのだ。
彼の発言が自分の保身を前提にしたものだということがわかっているので、ゴウシも不愉快そうな表情になるのを隠せない。
「それでだね…」
なおも部長が発言を続けようとすると、急に病室の扉が開いた。
「た、橘くん！！」
こいつがアスカ・清里をきちんとコントロールしなかったせいで、こんなことになったのだ―――と。
橘がぜいぜいと息を切らせているのも構わず、部長は開口一番彼を怒鳴りつけた。
「君！ 今頃来るとは一体どういう神経をしているのだね！ あれほど彼女をよろしく頼むと言っておいたのに……全く君には失望したよ！」
が、橘は彼の言葉が聞こえていないかのように、アスカの方へ近づいていく。
「き、君！ 聞いているのかね！」
アスカはまっすぐ自分に近づいてくる橘を、怪訝そうに見上げた。
その時。
「！！」
アスカの頬に、橘の平手が飛んだ。
つづく
何気にこのシーンが最大の見せ場だったりして(笑)
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