ここなつ家のフィリピン生活

ここなつ家のフィリピン生活

ホームスクールをはじめたころのこと



 毎日一定時間、勉強を教えなければいけない。

 それでも、やる覚悟があるんだな。」


ホームスクールを決めた時、主人がこう言いました。

主人は、仕事があるので、ゆっぴーの勉強をみてやることはできません。

家庭で勉強をみるのは、私の責任になってきます。


でも、毎日一定時間、時間を割くことは、

それほど難しいことだとは思いませんでした。


というのは、学校に通っていたときも、

ゆっぴーは問題を解くペースが遅いので、

学校でやりきれなかった分を持って帰ってきていたからです。


学校は、朝7時半から、12時半まで。

帰宅して、昼ごはんを食べ終わった2時ごろから、

学校でやり残した分と、宿題を終えると、5時ー6時までかかりました。


勉強するペースの早いお姉ちゃんのかりんは、宿題も

学校の休み時間にやってきてしまうくらいで、

殆ど家で見てやる必要はありませんでした。


それなら、お姉ちゃんが学校にいる間に、ゆっぴーを見てやるだけでも

充分ではないかと思ったのでした。


ゆっぴーは、ホームスクール部のある学校機関を通して、

ホームスクールをしながら2年生に在籍することに

なりました。


ところが、ホームスクールは、はじめのうち、

そんなに簡単ではありませんでした。


まず、指定されている教材がゆっぴーに合わなかったのです。


指定教材のうち、英語、算数、理科、聖書の4科目はワークブックでした。


ゆっぴーは、読むのが苦手というだけではなく、

1ページに、たくさん文字が書いてあると、

それだけで拒否反応で嫌がるのです。

そこで、必要なところだけしか見えないように、

紙で隠してやり、少しずつ進めるようにしました。

自分で読むこともままならないので、

殆どは私が読み上げてやり、ところどころ本人に読ませました。


それらは、まだ工夫すればなんとかなりましたが、

ワークブックの構成を、ゆっぴーが嫌がったのです。


ゆっぴーは、一つのことを始めるエンジンがかかるまでに、

時間がかかります。

でも、一度始めると、集中しつづけることができるのです。

その代わり、切り替えが難しいのです。

幼稚園の時、一つのおもちゃにこだわったのと、同じで、

気持ちの切り替えがなかなかできないのです。


そのワークブックは、

最初の問題が足し算、次の問題は、図形、その次に掛け算、

次が筆算、というように、ランダムに問題が出てきて、

まんべんなく復習しながら次へ進めるようになっています。


この方式は、10-15分くらいしか集中力が続かず、

変化をもたせることが必要なお子さんには良いだろうなぁと思うのですが、

ゆっぴーには、なにがなんだかわからなくなってしまう、という難点がありました。

切り替えができなくなってしまうため、

昨日までできていたことが、できなくなってしまうのです。


大体、1教科あたり1日に4ページから5ページやらないと、

1年間で全冊終われないのですが、

ゆっぴーには2ページ~3ページが限界でした。

なにしろ、問題の内容が変わるたびに、混乱したり、

泣いたりするのですから、実際に勉強している時間より、

泣いている時間の方が、長かったかもしれません。


次に、ゆっぴーは、母親である私が、間違いを指摘することを

とても嫌がりました。

間違っても構わない。間違えたら、そこから学ぶことができるからと言っても、

なかなか変わりません。

そこで、手の平に乗るくらいの、小さなクマのぬいぐるみを

テディ先生と名づけて、

間違いはテディ先生に指摘してもらうことにしました。

ゆっぴーは、この方法をとても気に入って、

そのうちに、他のおもちゃも出してきて、

勉強机には、たくさんの先生が並ぶことになりました。


社会科やフィリピン語は、地元の教科書が指定教材になっていたので、

これは学びながら、絵を描いたり、いろいろ工作したりして、

楽しく学んでいました。


しかし、学校が始まって、6ヶ月経っても、

まだ3ヶ月分のカリキュラムをやっと終えたという状態でした。


そして、限界が来ました。

ゆっぴーが、「もうワークブックは絶対やらない」と

宣言してしまったのです。


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: