ひ ばい よしつぐこざん
飛 梅 吉嗣 鼓山
かく めぐ ほうらん はる けむ ほっ かんこう びょう あ すいらん まえ
郭を繞る峰巒 春 煙らんと欲し、 菅公 の廟は在り翠嵐の前
ていばい とき も ひょうそう き せきしつ おお ぞう れいがく へん
庭梅 時に漏らす氷霜 の 気、 石室 多く蔵す礼楽の編
とふろう むな ざんが うら かんのんじ しず こしょう あわ
都府楼 は空しく残瓦を怨み、 観音寺は静かに 古鐘 憐れなり
しんめい かん こうすい こと さいし せんしゅう おの げんぜん
神明 管せず輿衰の事、 祭祀 千秋 自ずから儼然
詩文説明
大宰府の周辺の山々は霞かかって煙のようである。天拝山、宝満山、四王寺山などがある。菅公のお宮は此の宝満山の前に鎮座せられている。庭の梅は花が咲くと色と云い香りと云い清喜潔白な気を漏らしている。又石室のお倉の内には多くの詩歌礼楽の書物が保存せられている。都府楼は全く昔の形はなく唯礎石のみが残って時々土の中から古の残瓦の片々が掘り出されるのを見ると怨めしき感じがする。又観音寺にはその当時の古鐘が今も尚あるがこの音を聞けば無限の憐れさを感じる。その後の輿衰はの事は神様は一向無頓着であるが、菅公のお祭りは千年の後までも儼然と行われていおる。

1、霞架かって煙る大宰府周辺の山々 2、宝満山 3、天拝山

1
,菅原
道真の詩歌
(
東風吹かば
) 2,
詩歌礼楽などが収められてある宝物殿
3
,
詩歌
(
東風吹かば
)
碑
4
,
都府楼跡
1 、大宰府の飛梅 2、観世音寺と鐘楼 3、千年以上の続いている大宰府の祭( 秋思祭)
作者 吉嗣鼓山(生年不詳~
1958
)
大宰府祠畔に住み南画家にして昭和 33 年 (1958)4 月 19 日没す。詩も亦能くした。南画家拝山の子で鼓山も父の跡を受け父子二代に亘り南画の大家であった。