NO-NAMEの隠れ家

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T-BOLAN(1)

T-BOLANって…!?

Being系グループの一つ。森友嵐士(Vo)、五味孝氏(G)、上野博文(Ba)、青木和義(Dr)の4人組。
1991年デビュー。B'zを頂点に、WANDSと共に、1990年代前半のBeing旋風で男性陣のトライアングルを成しました。森友の熱いヴォーカルでブルージーなバラードに定評がありました。1999年解散。



作品レビュー

1stアルバム(ミニアルバム)
『T-BOLAN』
(1991.11.21)

T-BOLANの1stアルバム。この年の7月にシングル『悲しみが痛いよ』でデビューし、それから4ヶ月あまりで今作がリリースされました。後に2ndシングルとしてカットされる名曲『離したくはない』も含む全6曲。
今見てみると、ジャケットや歌詞カードの4人のファッションに、かなり時代を感じてしまいます。
サウンド的にも、まだまだ未完成。打ち込みロック色が強く、その後のT-BOLANらしい泣きメロやブルージーな側面は、今作ではあまり見ることができません。唯一そういったタイプの楽曲である『離したくはない』が見事に浮いているのがなんだか笑えます。今作リリース後に、その『離したくはない』がシングルカットされヒットを記録。これによって彼らはこうした方向へシフトチェンジするのかと思いきや、もうしばらく打ち込みロック路線で進むことになります。

1.悲しみが痛いよ ★★★

彼らのデビューシングル。1991年7月10日リリース。作詞・作曲は川島だりあで、編曲はEARTH SHAKERの西田魔阿思惟。
「大人という死体」っていう表現はすごいですね。変わっていく人々への悲しさを嘆いたナンバー。明るめのサウンドなのに、歌詞を聴いてしまうとどことなく寂しさが漂います。

2.気絶するほど愛してほしい ★★

打ち込みロック。男っぽいワイルドなナンバーですが、さすがに今では音がチープ。音階についてもサビで低くなることで曲全体のパワーダウンを見せている感じが否めないです。

3.くちびるはNO KISS ★★

間髪入れずに続くのは、またもや打ち込みロック。前曲と比べ、こっちのがスローテンポで嵐士のヴォーカルもパワフルです。ただ、まだ歌詞は単純だし、曲のほうも間奏が凝っているとはいえ、魅力に欠けるかな。

4.離したくはない ★★★★

2ndシングルとして今作の発売後にシングルカット。1991年12月18日リリース。オリコン登場50週を超えるロングヒットになりました。
名バラードですね。作詩・作曲とも森友嵐士。Gacktがデビュー前に路上ライブで歌っていたというのも有名です。
静かなピアノの音色が印象的な出だし。ブルージーな曲調に嵐士の熱いヴォーカルが魂を吹き込みます。まさに「熱唱」ですね。「Everyday Every night~♪」という歌詞は単純ですが、まぁ、曲の良さでカバーということで。シングルバージョンとは歌詞が一部違いますが、元バージョンのこっちのほうが好み?

5.DEAD END ★★★

これもモロに打ち込みロック。本作の音楽性の基本はこういったナンバーです。

6.Dreamin’ ★★★☆

作曲は五味さん。シンセの音色なんて、見事にBOOWYです(笑)。というか、タイトルからしてBOOWYですが(笑)。
夢見てる奴らにこれを贈られてもちょっと戸惑いますが、メロディアスで爽やかな曲ですね。ラストにこれがあって、ちょっと救われた感もあるかも。

総合 ★★☆

(改:2009.3.27)










2ndアルバム
『BABY BLUE』
(1992.4.22)

ミニアルバム『T-BOLAN』の中から2ndシングルとしてカットされた『離したくはない』がロングヒットを続けるさなか、3rdシングル『JUST ILLUTION』がリリースされました。ドラマタイアップを得て発売されたこの曲ですが、最高位22位、売り上げも10万枚に届かず、アーティストとしてのT-BOLANの本格ブレイクとはいきませんでした。
それから約2ヵ月後の1992年4月に出たアルバムが、今作『BABY BLUE』です。
『JUST ILLUTION』の大コケにもかかわらず、このアルバムの売り上げは60万枚を超えるヒットに。アルバムを待っていたファンが多かったのでしょうか。
『離したくはない』人気に乗じてか、別バージョンとはいえ、ちゃっかりと再収録されているのは、この曲で儲けようとするおエライさんの考えでしょうが、それが見事に功を奏したのかもしれませんね。

前作をよりポップに昇華したという印象のアルバムです。曲調も広がりましたが、基本は今回も『WALKIN’ IN THE RAIN』・『想い出がさがしてる』・『薔薇色の悪女』などのような打ち込みロックが中心です。
しかし、そのどれもノリで畳み掛けている印象で、曲自体の印象は薄めです。
反面、『Heart of Gold』や『Lovin’ You』といった曲では、T-BOLANのつくるバラードのレベルの高さを見せ付けるなど、どのようなタイプの楽曲でT-BOLANの魅力が発揮され、どのようなタイプの曲がイマイチなのかがわかるような一枚になりました。にもかかわらず、早めのシフトチェンジをしなかったのがT-BOLANなのですが。

1.あふれでる感情 ★★★☆

打ち込みナンバーですが、このアルバムの中でこの曲は好印象です。しっとりとしたメロディーの魅力を削ることなく、それでいてポップに仕上がっています。歌詞は、実話だとかなんだとか。確か嵐士の自伝でそんなことが書かれていたと思います。

2.WALKIN’ IN THE RAIN ★★★

前作にはなかった、ハネたリズムのポップなナンバー。2番終了後にいきなりスローテンポで渋いギターソロになったり、そこからまた歌メロにもってくまでの展開など、ちょこちょこと凝っています。

3.JUST ILLUSION ★★★

3rdシングル。1992年2月26日リリース。
作曲は織田哲郎。なぜか作詞が高木沙耶(!)なんですが、このへんの経緯をご存知の方は是非御一報を(笑)。
さて、この曲、イントロからいきなり熱~いギターを聴かせてくれます。その熱い中にも焦燥感があって。ザッツ歌謡ロックといった感じです。畳み掛けるようなサビは、どこかで聞いたような気もしなくはないんですが、まだ荒削りな感もある嵐士のヴォーカルがハマっています。いやぁ、これ、T-BOLAN史上、もっとも暑苦しい曲ではないでしょうか(笑)。

4.Heart Of Gold ★★★☆

シングルA面曲ではないにもかかわらず、T-BOLANの代表的なバラードとしてファンの中では名高い曲ですね。作曲は川島だりあ。
シンセ系のゴージャスなアレンジが耳に残るナンバーですが、個人的にはこのままではイマイチ、つまんない曲だという印象を拭い切れません。いや、悪くはないんですよ。もう一捻りあれば最高だったのにな、と。この曲は、生音主体の骨太なアレンジにした方があうんじゃないかなぁ。あ、でも『FINAL BEST』収録のライブバージョンは素晴らしいですね。是非聴いてほしいです。
歌詞に目を移して、「夢を諦めない」というテーマは、T-BOLANが一貫して描き続けてきたことです。早くも、ここでは、その集大成的な形になっていますね。とにかく諦めずに生きていくということ、シンプルながら重みのある言葉をわかりやすいサウンドで伝えます。この歌詞+この曲だから見事にそれが一体化しているのかも。そこが名曲たる所以かもしれませんね。
ちなみにこの曲、人気が高いわりには、意外にもこのノーマルバージョンはどのベストにも収録されてきませんでした。解散から長いこと経って、2007年12月にリリースされた廉価版ベスト『BEST OF BEST 100』で、ようやくベスト関連に初収録。スタジオ音源が初めてリマスタされて高音質で聴けるようになったわけです。

5.想い出がさがしてる ★★

2曲目と似た感じの打ち込みアップテンポナンバー。こちらのほうがややロック色が強めです。激しいノリのナンバーですが、裏返せば、ノリだけでもってる感じもしないでもないです。印象薄し。

6.Lovin’ You ★★★★

五味さん作曲のバラード。ピアノと重厚な生音で演奏されます。『離したくはない』に続いて、T-BOLANのこういった楽曲でのレベルの高さを見事に示すこととなりました。
嵐士による歌詞も、ストレートな愛情を綴った、極上のラブソングに仕上がっています。こう、一見、歌詞だけ読むとクサイように思えるフレーズも、T-BOLANのブルージーなロックサウンドで、嵐士が歌えば、言葉が伝える真摯な思いが、より一層深まって届きます。

7.薔薇色の悪女 ★★☆

打ち込みロック。織田哲郎作曲ですが、デビューアルバムで見せたようなチープで無機質なアレンジに終始しており、どうってことないです。「薔薇色の悪女」というモチーフも、漠然としていて弱いかなぁ。嵐士のヴォーカルは、デビュー盤のそれより、表現力豊かになってきたように思えますが。

8.Sorry My Love ★★★

ヘヴィで怪しげなミディアムロック。本人達の趣向だったのでしょうか、ファンの好みかどうかはわかりませんが、今後もこういったタイプの楽曲が必ず1曲は入ることとなります。

9.Baby Blue ★★☆

アルバムタイトルナンバーは、濡れたミディアムナンバー。歌謡曲っぽく、かつポップに聴かせてくれます。しかしながら、アルバム中では、表題曲とは思えないほど印象が薄いですね。終盤のこの位置にあるというのも原因でしょうか。個人的には、最後のシャウトだけが聴き所といった感じ。

10.離したくはない(アコースティックバージョン) ★★★★

アコースティックバージョンといっても、アンプラグドになったという印象はあまりなく、原曲の重厚さがなくなったという言葉のほうが、雰囲気を伝えやすいかもしれません。ピアノが主体です。この曲のメロディーの良さを、より一層感じ取れるかもしれませんね。

総合 ★★★

(改:2009.3.29)










ミニアルバム
『夏の終わりに ~Acoustic Version~』
(1992.9.22)

「秋に聴くアルバムを作りたい」という嵐士の発案によって完成。
既発表曲にアコースティックなアレンジを施した4曲に、新曲2曲をプラスして構成された、全編アコースティックなミニアルバムです。
まだキャリアも浅いのに、いきなりコンセプトアルバムなんか作っちゃってどうしたものかと思いましたが、こういったアンプラグドな曲でこそT-BOLANの魅力が発揮されると思う僕にとっては、嬉しく迎え入れたい一枚となりました。
渋い演奏で、嵐士のヴォーカルもいちだんと栄えますね。なんともブルージーで大人な雰囲気に溢れています。
当然のことながら統一感も◎です。あまりに落ち着きすぎているこのアルバムの雰囲気は、少々マイナスの方向にも作用しかねませんが、そこは好みの問題になってくるかと。
後々、このアルバムの続編も作られることになります。


1.サヨナラから始めよう ★★☆

当時最新のシングルをアコースティックバージョンに。
ん~…、ちょっとまったりしすぎてるのでは?
原曲のアップテンポなアレンジのほうが、この曲の切なさをより鮮やかに描き出していたように思えます。

2.あふれでる感情 ★★☆

1コーラス終了後から入るパタパタした音が邪魔。終盤の盛り上がりは美しいだけに惜しいです。

3.遠い恋のリフレイン ★★★☆

新曲。イントロなしで、いきなり嵐士が渋く歌いだし、聴き手も自然と歌詞世界に引き込まれます。
やはり、ラスサビでの迫力ある歌唱は、胸に迫るものがあります。
感傷的でアンプラグドかつ重厚な仕上がりの、彼ららしい傑作ですね。

4.Teenage Blue ★★★

なかなか渋い選曲ですね。
原曲は、シングル『JUST ILLUSION』のc/w。
選曲センスだけでなく、曲自体もこんなにシブく変身するとは。

5.Heart of Gold ★★★☆

仰々しい原曲のアレンジよりも、こちらのアレンジのほうがすっきりと美しいですね。
でも、そうなってくると、今度は、原曲では説得力のあった歌詞や(特に)曲題が、少々気恥ずかしいものに思えてきてしまいます。
兼ね合いって難しいですね。
そのあたりを気にしなければ、良質なサウンドでなかなか良いです。

6.夏の終わりに ★★★

新曲その2。タイトル通りの夏の終わりの雰囲気を見事に醸し出している、これまたT-BOLANらしい演奏が光る傑作。

総合 ★★★

新曲2作は、いずれも良質の出来。
渋い雰囲気に触れたい人にはオススメです。
(記:2006.2.27)










3rdアルバム
『SO BAD』
(1992.11.11)

ミニアルバム『夏の終わりに』と同時発売となったシングル『じれったい愛』が大ヒット。T-BOLANの知名度は一気に上がります。それから約1ヶ月半でリリースされた3rdアルバムが今作。90万枚のセールスを記録し、T-BOLAN人気が定着することになります。同時にこの頃からB’z、WANDS、ZARD、大黒摩季、TUBE等によるBeing旋風が巻き起こります。
それにしても、前作『夏の終わりに』を挟んで、2ndアルバム『BABY BLUE』からも僅か7ヶ月程度での新アルバム。リリースペースの早いこと、早いこと。1992年のT-BOLANは、2月のシングル『JUST ILLUSION』から始まって、この後に11月にリリースされるシングル『Bye For Now』まで、実にシングル4作品・アルバム3作品(ミニアルバム1作品を含む)をリリースしています。なんと多作なことでしょう。
シングルヒットの後の今作ですが、ハッキリ言って駄作です。アルバムオリジナル曲が総じていまひとつ。これは、嵐士を始め作曲者のメロディーの質によるものではなく、アレンジの問題でしょう。中途半端な打ち込み色が、T-BOLAN本来の熱さや渋さを殺いでしまっています。『じれったい愛』では理想的なサウンドを構築しましたし、打ち込みとバンドサウンドの融合は、次回作『HEART OF STONE』で奇麗な仕上がりを見せるのですが、今作では打ち込みの濫用が楽曲本来の持ち味を活かしきれていない、それどころが魅力を潰してしまっている印象があるんですね。ちょっとこれは厳しい。アレンジ面での失敗作。

1.じれったい愛 ★★★☆

5thシングル。1992年9月22日リリース。ミニアルバム『夏の終わりに』との同時リリースでした。とにかく、一度聴いたら忘れられないサビ。この覚えやすさとインパクトといったら。これで一気にT-BOLANの知名度は上昇しました。彼らの代表曲を問われれば、この曲を挙げる人も多いのではないでしょうか。打ち込みとバンドサウンドの高次元での融合が成功したタテノリのロックナンバー。歌詞のほうですが、「うざったい」という言葉は元々は多摩地方の方言で、この曲をきっかけに全国的に広まったという説があります。また、密かに「息」と「意気」で韻を踏んでいます(笑)

2.ガラスの刹那さ ★★★

バラードナンバー。メロディーはなかなか良いのですが、大袈裟な打ち込みを取り入れたのは失敗でしょう。大黒摩季のコーラスが目立っています。

3.瑠璃色のため息 ★★★

織田哲郎らしい「歌謡曲」風ナンバー。ここでもキーボードの音色が少々邪魔に聞こえてしまいます。後半に行くにつれてタルくなっていく印象。惜しいです。

4.My life is My way ★★★☆

ストレートなビートロック。ライブではかなり盛り上がりそうですね。こういった曲調に、「夢をあきらめない」というストレートなメッセージが乗るのが、実にわかりやすいです。ただ、またしてもシンセの音色が目立ちますね。彼ら本来の演奏の味が出ていないのが残念。この曲は、解散後に初出しとなったライブ音源が凄いです。

5.ためらいの真実 ★★

五味さん作曲のロックフレーバー漂う楽曲ですが、曲調もアレンジも中途半端感が強く、今作では「捨て曲」に分類されるナンバーだと思います。ごめんなさい。

6.あこがれていた大人になりたくて ★★

アンプラグドなブルースロック。本来は好きなタイプなんですが、この曲にはあまり魅かれませんねぇ。やっぱり全体として冗長なのが気に入らない理由かな。

7.壊れかけのHistory ★★

上野さん作曲のロックナンバー。嵐士や五味さんとは一味違いますね。演奏の激しさは今作で一番。ただ、今度は肝心なメロディーがイマイチ…。上手くいきませんね。

8.BOY ★★★

淡々としたバラード。知り合いの子供が誕生したことがきっかけで作られた楽曲。歌詞が嵐士と青木さんの共作となっているのは、子供のいない嵐士が青木さんに応援を頼んだという説があります(笑)。こういたメッセージソングはT-BOLANではめずらしいですね。途中に女性の語りが入るなど、子守唄のようでもあります。

9.SO BAD ★★☆

やっと出てきたタイトルナンバー。『BABY BLUE』と同様、この位置で出てくるというのはいかがなものか!?。確かに前曲での落ち着いた流れを打破するパンチのあるイントロなのですが、これが前半や中盤にあったら、またアルバム全体のイメージも少し違ったものになっていたかなぁと思います。楽曲そのものは、主張に欠けるところがありますね。

10.サヨナラから始めよう ★★★

4thシングル。1992年5月27日リリース。既にアコースティックバージョンは『夏の終わりに』に収録されていますが、シングルバージョンはアルバム初収録。
織田哲郎によるメロディアスなミディアムナンバー。切なさと前向きさのバランスが絶妙ですね。コーラスには、TWINZERの生沢佑一が参加しています。
「涙はそう 女の武器 もう負けない これからずっと」という歌詞からは、嵐士の恋愛間が垣間見えるかも(笑)。

総合 ★★

(記:2008.1.1)










4thアルバム
『HEART OF STONE』
(1993.5.26)

3rdアルバム『SO BAD』の後、1992年11月には、6thシングル『Bye For Now』をリリース。最高位2位ながら、ロングヒットを続け、最終的にはミリオンに到達。彼らの最大のヒットナンバーとなりました。
1993年に入っても、7thシングル『おさえきれないこの気持ち』、8thシングル『すれ違いの純情』とヒットが続き、5月26日、4thアルバムである今作がリリースされました。
アルバムの完成度は、今作からグーンと上がりました。何が変わったかというと、やっぱりアレンジメントですね。中途半端な打ち込みが楽曲の魅力を半減させていた以前とは違い、ちゃんと’90年代の音として機能しています。多くの楽曲の編曲に葉山たけしを招いたのも影響しているんでしょうか。しっかりとバンドサウンドと仲良くする打ち込みに変わってきています。聴きやすく、カッコ良い、Beingサウンドの理想的な形にT-BOLANの楽曲も近付いてきたというところでしょうか。渋いブルースやマイナーロック調の楽曲も多いですが、そんな曲もポップに聴かせてしまうのがお見事。
T-BOLANはまずはベストから聴くのが良いと思いますが、オリジナルアルバムならまずは今作、次いで『LOOZ』へと進むのが一番でしょう。

1.びしょ濡れの優しさの中 ★★★☆

これまででは考えられないほど洗練されたポップナンバー。ノリが良く、1曲目にはピッタリな曲ではないでしょうか。打ち込みも程よくポイントを押さえていて、彼らの良さを殺してしまうアレンジを施していた以前の作品とは隔世の感があります。

2.すれ違いの純情 ★★★☆

8thシングル。1993年3月10日リリース。今作で唯一の織田哲郎による楽曲。焦燥感の漂うミディアム・ラブソング。「好きだからこそ嘘を付いた」という歌詞が泣かせます。

3.涙の笑顔 ★★★★

泣きメロの冴えるバラード。これも、以前の楽曲…例えば『ガラスの刹那さ』のような不似合いなアレンジメントではなく、きっちりと楽曲そのもの良さを活かす編曲が施されていますね。硬質なサウンドに嵐士の熱くほろ苦いヴォーカル、T-BOLANのバラードとしての理想像となっています。盤石の出来。

4.Only Lonely Crazy Heart ★★★

前作でいうところの『My life is My way』のセン。アッパーで、ライブの盛り上げ要員的なロックチューン。作曲は青木さん。『My life~』と違って、「ノリだけ」な印象もありますが、まぁ、アリじゃないかな。

5.Shiny Days ★★★★

映画のラストシーンにピッタリな美しいブルース。いや、本当に美しいです。大黒摩季のコーラスも効果的。今曲においても嵐士の渋いヴォーカルが名曲たらしめているのでしょう。ベストアルバム等には一切収録されておらず、ここでしか聴けない隠れた名曲。

6.Out of Time ★★★☆

マイナーロック。生音で良いですね。各楽器がせめぎ合う攻撃的な演奏に、嵐士の無骨なヴォーカル。絡みつくピアノもカッコ良いですね。この曲も好きです。

7.おさえきれない この気持ち ★★★

7thシングル。1993年2月10日リリース。初のオリコン1位を獲得しました。お得意のミディアムロックバラード。サビメロが特殊な感じですね。彼らの演奏力だからこそ活きている楽曲ではないでしょうか。A・Bメロの美しさも絶品。サビの歌詞にもう少し変化があってほしかったかな。

8.泥だらけのエピローグ ★★★

アップテンポなロックチューン。キャッチーですね。ヴォーカリストとしての評価が高い森友ですが、作曲面でもメロディーメーカーとしてなかなかの資質を見せてくれます。歌詞はお馴染み「夢を諦めない」系。ドラムの響きが軽いのがちょっと勿体無いです。

9.Friends ★★★★

これまた隠れた名曲。渋い、染みる、泣ける…、しかしそれでいてポップという、T-BOLAN流ブルース。こういった楽曲は評価されるべきですよ、本当に。

10.Heart of Stone ★★★

気が付けば今作もタイトル曲はこの位置か。マイナーロックです。これまた渋いですね。川島だりあ、宇徳敬子、近藤房之助、坪倉唯子、大田紳一郎という、Beingコーラス陣が結集しています。

11.Bye For Now ★★★★

6thシングル。1992年11月18日リリース。118万枚を売り上げた、T-BOLAN最高のセールスを誇るシングル。
恋人との別れの歌・卒業ソングとして認知されていますが、ニューヨークへ旅立つ信頼していたスタッフに贈られた曲だそう。メリハリの利いた曲構成も印象的ですね。

総合 ★★★★

(記:2008.1.2)










5thアルバム
『LOOZ』
(1993.12.8)

1993年6月には9thシングル『刹那さを消せやしない/傷だらけを抱きしめて』をリリース。次いで11月には10thシングル『わがままに抱き合えたなら』をリリースしたT-BOLAN。12月には前作から僅か半年で5thアルバム『LOOZ』が届けられました。
バンドサウンドと適度な打ち込みが調和したサウンドを前作で確立したわけですが、今作ではそうした音楽性を基本としながら、これまでになかった開放的な空気感が加わりました。ホーンセクション、パーカッションなどが導入され、これまでの彼らの姿からははあまり想像できなかった横ノリのナンバーや、リラックスした雰囲気のナンバーが聴けるようになりました。一方で、王道ロック/バラードの『わがままに抱き合えたなら』や『Dear』、マイナーロックの『Rockin’ In The Life』などといった楽曲もバランス良く配置されています。充実した一枚。前作『HEART OF STONE』で成熟したサウンドを基本に、更に音楽性の幅を広げたアルバムと言えそうですね。前作から短い期間で、順調に進化しているT-BOLAN像を提示してくれました。
しかし、この急速なリリースペースからは、今作が結果的に最後のオリジナルアルバムとなることなど誰も予想できませんでした。惜しいですね。

1.わがままに抱き合えたなら ★★★★

10thシングル。1993年11月10日リリース。T-BOLANロックの完成形ともいえる楽曲でしょう。ハードなサウンド+キャッチーなメロディーに文句のつけようがないですね。アルバム先行シングルだったためにセールスは他の楽曲に比べるとやや低めに終わりましたが、もっと評価されても良い1曲だと思います。『FINAL BEST』でもさりげなく収録漏れになっているんだけど…なんで? ちょっと地味だからかなぁ。

2.悪魔の魅力 ★★★★

ホーンセクションが軽快に動きまくる、これまでにはなかったタイプのロックナンバー。嵐士のヴォーカルもハイテンションで良いです。歌詞もなんだか凄いですね。フレーズから漂う雰囲気は『じれったい愛』と似た感じかな。言葉の選び方がキレ味抜群。「くちうつしの直流」・「汗まみれの濁流」なんていうフレーズは、今で言えば「エロカッコイイ」っすね。

3.Dear ★★★★

王道バラード。その高い完成度にはもう何も言うことはないでしょう。これだけのクオリティの楽曲が、アルバムの1曲として収められているのが彼らの凄み。サビの「守るよりも~♪」で一瞬消えかけるような嵐士の声が、個人的にお気に入りのポイント。

4.傷だらけを抱きしめて ★★★☆

9thシングル。『刹那さを消せやしない』と両A面で1993年6月16日リリース。タイトルが意味を成しているのかがちょっと疑問ですが、なんとなく言いたいことの雰囲気は伝わってきます(笑)。アップテンポなロックナンバー。悪くないです。ギターがぎゅいんぎゅいんと鳴り響く攻撃的なイントロが好きだなぁ。

5.想い出の落書き ★★★☆

『離したくはない』や『涙の笑顔』、本作に収められた『Dear』といった王道ロックバラードとはまた違った雰囲気の、心温まるミディアムバラード。「どんな些細なことも すべて大切な想い出なんだ」といったメッセージも良いです。このアルバムにしか収録されていない楽曲。見逃すにはもったいないです。

6.Hot Hip Love ★★★☆

モータウン調です。ビックリしました。T-BOLANがこんなにファンキーな曲をやるとは思いませんでしたね。歌詞も、「二人でシーツを汚そう~♪」・「予防接種に勝てそうもない~♪」なんていうフレーズが飛び出し、普段は見せない嵐士のお茶目な一面が覗えます。作曲は五味さん。

7.刹那さを消せやしない ★★★★

9thシングル。『傷だらけを抱きしめて』と両A面で1993年6月16日リリース。ロック方面での完成形が『わがままに抱き合えたなら』なら、ポップ方面の完成形はこの曲かな。「完成形」なんていうと、もうこれで終わりかよ~みたいな風に思われるかもしれませんが、ともあれ、高い完成度を誇り、今までなかった領域にまで足を踏み入れている楽曲だなぁという印象は確かです。明るめのアレンジもマル。

8.Pretty Woman ★★★

再びこれまでのT-BOLANのイメージからは大きくかけ離れた楽曲が登場。このラテンのノリ。情けない男の気持ちを描いた歌詞とも妙にマッチしていますね。

9.Rockin’ In The Life ★★★

これは毎回アルバムに1曲はあるマイナーロック。「一人じゃ生きてーーーーゆーけーないとーーーー♪」という突き抜けるようなサビが印象的。嵐士のブルージーな歌いっぷりも、熟練の技ですね。

10.不安なくちびる ★★★

ハードなイントロで幕を開けるのですが、楽曲全体としてはそれほど印象に残らないかな。ラス前というポジションからも損をしているか!? 個人的には今作で最も「なんてことない曲」です。

11.真夜中のLove Song ★★★☆

様々なアレンジメントを試してみた結果、結局これに落ち着いたという、ピアノとストリングスによる静かなバラード。バンドサウンド抜きです。初めてですが、こういうのも良いですね。嵐士の歌が染み入ります。

総合 ★★★★

(記:2008.6.15)










11thシングル
『LOVE』
(1994.5.11)

1994年に入り初のリリースとなったのが今シングル。表題曲『LOVE』はテレビ朝日系ドラマ『彼と彼女の事情』主題歌に、c/wの『No.1 Girl』はホンダ・シビックフェリオCMソングに、それぞれ起用されました。オリコン最高3位。売上58.0万枚。

1.LOVE ★★★★

『LOOZ』のレビューのところで、『わがままに抱き合えたなら』はT-BOLANロックの完成形、『刹那さを抱きしめたなら』はT-BOLANポップの完成形なんて書いたけど、バラードの完成形というか到達点はこの曲だろうなという印象です。
冒頭から泣きのギターが冴え渡るロックバラード。静と動のメリハリのある演奏は、T-BOLANのバラードのお手本のような作りだし、もちろん嵐士のヴォーカルも熱い。1番の後に間奏を挟んでサビの繰り返しで終わるというシンプルな構成ですが、楽曲の説得力は抜群。敢えてケチをつけるとすれば、キャッチーな耳障りが嫌な人もいるかもっていうことでしょうか。そりゃあ贅沢言い過ぎですかね(笑)。

2.No.1 Girl ★★★☆

『LOVE』とは対照的にアッパーなナンバー。開放的なアレンジメントは、『LOOZ』を通過しての楽曲であることを感じさせます。サビでは派手なホーンセクションが、間奏では早弾きのキーボードが存在感を放ちます。ちょっと音数が多くてうるさいと感じる向きもあるかもしれませんが、c/wだし独立した位置にある1曲と考えればよろしいんじゃないかと。前後の曲との兼ね合いを考える必要がないだけに、この自由なアレンジは良いと思いますよ。問題はサビの頭なんだけど、パンチが利いている反面、メロディーそのものがちょっと弱いのが惜しい。それさえなければ、強くオススメしていました。

(記:2008.6.15)










ミニアルバム
『夏の終わりに II ~Lookin' for the eighth color of the rainbow~
(1994.8.6)
2年ぶりとなる『夏の終わりに』シリーズ第2弾。デビュー曲の『悲しみが痛いよ』や、シングルのc/wだった『シャイなJealousy』、アップテンポな原曲からはアコースティックで再演されることなどおよそ想像できなかった『泥だらけのエピローグ』等々、幅広い選曲がなされています。
3曲目の『Loolin’ for the eighth color of the rainbow』は新曲。今作の他の楽曲と同様にアコースティックに演奏されるバラードで、新曲だからといって浮くことなく、しっかりとアルバムに馴染んでいます。メロディー自体もとても良く、T-BOLANの全楽曲の中でもオススメのナンバーのひとつ。
『マリア』は、アップテンポのバージョンがこの後にシングルカットされます。
あ、それから、今作はジャケット写真がすごく良いですね。凝ってます。

1.悲しみが痛いよ ~Acoustic Version~ ★★★
2.泥だらけのエピローグ ~Acoustic Version~ ★★★
3.Loolin’ for the eighth color of the rainbow ★★★★
4.すれ違いの純情 ~Acoustic Version~ ★★★
5.シャイなJealousy ~Acoustic Version~ ★★☆
6.マリア ~Acoustic Version~ ★★★

総合 ★★☆

(記:2008.6.15)










ベストアルバム
『SINGLES』
(1996.8.8)

バラードベストアルバム
『BALLADS』
(1996.12.12)

リミックスアルバム
『1999 REMIXES』
(1999.1.23)

ベストアルバム
『FINAL BEST GREATEST SONGS & MORE』
(1999.12.8)

ベストアルバム
『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
(2002.7.25)


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