2ndシングルとして今作の発売後にシングルカット。1991年12月18日リリース。オリコン登場50週を超えるロングヒットになりました。 名バラードですね。作詩・作曲とも森友嵐士。Gacktがデビュー前に路上ライブで歌っていたというのも有名です。 静かなピアノの音色が印象的な出だし。ブルージーな曲調に嵐士の熱いヴォーカルが魂を吹き込みます。まさに「熱唱」ですね。「Everyday Every night~♪」という歌詞は単純ですが、まぁ、曲の良さでカバーということで。シングルバージョンとは歌詞が一部違いますが、元バージョンのこっちのほうが好み?
前作をよりポップに昇華したという印象のアルバムです。曲調も広がりましたが、基本は今回も『WALKIN’ IN THE RAIN』・『想い出がさがしてる』・『薔薇色の悪女』などのような打ち込みロックが中心です。 しかし、そのどれもノリで畳み掛けている印象で、曲自体の印象は薄めです。 反面、『Heart of Gold』や『Lovin’ You』といった曲では、T-BOLANのつくるバラードのレベルの高さを見せ付けるなど、どのようなタイプの楽曲でT-BOLANの魅力が発揮され、どのようなタイプの曲がイマイチなのかがわかるような一枚になりました。にもかかわらず、早めのシフトチェンジをしなかったのがT-BOLANなのですが。
シングルA面曲ではないにもかかわらず、T-BOLANの代表的なバラードとしてファンの中では名高い曲ですね。作曲は川島だりあ。 シンセ系のゴージャスなアレンジが耳に残るナンバーですが、個人的にはこのままではイマイチ、つまんない曲だという印象を拭い切れません。いや、悪くはないんですよ。もう一捻りあれば最高だったのにな、と。この曲は、生音主体の骨太なアレンジにした方があうんじゃないかなぁ。あ、でも『FINAL BEST』収録のライブバージョンは素晴らしいですね。是非聴いてほしいです。 歌詞に目を移して、「夢を諦めない」というテーマは、T-BOLANが一貫して描き続けてきたことです。早くも、ここでは、その集大成的な形になっていますね。とにかく諦めずに生きていくということ、シンプルながら重みのある言葉をわかりやすいサウンドで伝えます。この歌詞+この曲だから見事にそれが一体化しているのかも。そこが名曲たる所以かもしれませんね。 ちなみにこの曲、人気が高いわりには、意外にもこのノーマルバージョンはどのベストにも収録されてきませんでした。解散から長いこと経って、2007年12月にリリースされた廉価版ベスト『BEST OF BEST 100』で、ようやくベスト関連に初収録。スタジオ音源が初めてリマスタされて高音質で聴けるようになったわけです。
ミニアルバム『夏の終わりに』と同時発売となったシングル『じれったい愛』が大ヒット。T-BOLANの知名度は一気に上がります。それから約1ヶ月半でリリースされた3rdアルバムが今作。90万枚のセールスを記録し、T-BOLAN人気が定着することになります。同時にこの頃からB’z、WANDS、ZARD、大黒摩季、TUBE等によるBeing旋風が巻き起こります。 それにしても、前作『夏の終わりに』を挟んで、2ndアルバム『BABY BLUE』からも僅か7ヶ月程度での新アルバム。リリースペースの早いこと、早いこと。1992年のT-BOLANは、2月のシングル『JUST ILLUSION』から始まって、この後に11月にリリースされるシングル『Bye For Now』まで、実にシングル4作品・アルバム3作品(ミニアルバム1作品を含む)をリリースしています。なんと多作なことでしょう。 シングルヒットの後の今作ですが、ハッキリ言って駄作です。アルバムオリジナル曲が総じていまひとつ。これは、嵐士を始め作曲者のメロディーの質によるものではなく、アレンジの問題でしょう。中途半端な打ち込み色が、T-BOLAN本来の熱さや渋さを殺いでしまっています。『じれったい愛』では理想的なサウンドを構築しましたし、打ち込みとバンドサウンドの融合は、次回作『HEART OF STONE』で奇麗な仕上がりを見せるのですが、今作では打ち込みの濫用が楽曲本来の持ち味を活かしきれていない、それどころが魅力を潰してしまっている印象があるんですね。ちょっとこれは厳しい。アレンジ面での失敗作。
1993年6月には9thシングル『刹那さを消せやしない/傷だらけを抱きしめて』をリリース。次いで11月には10thシングル『わがままに抱き合えたなら』をリリースしたT-BOLAN。12月には前作から僅か半年で5thアルバム『LOOZ』が届けられました。 バンドサウンドと適度な打ち込みが調和したサウンドを前作で確立したわけですが、今作ではそうした音楽性を基本としながら、これまでになかった開放的な空気感が加わりました。ホーンセクション、パーカッションなどが導入され、これまでの彼らの姿からははあまり想像できなかった横ノリのナンバーや、リラックスした雰囲気のナンバーが聴けるようになりました。一方で、王道ロック/バラードの『わがままに抱き合えたなら』や『Dear』、マイナーロックの『Rockin’ In The Life』などといった楽曲もバランス良く配置されています。充実した一枚。前作『HEART OF STONE』で成熟したサウンドを基本に、更に音楽性の幅を広げたアルバムと言えそうですね。前作から短い期間で、順調に進化しているT-BOLAN像を提示してくれました。 しかし、この急速なリリースペースからは、今作が結果的に最後のオリジナルアルバムとなることなど誰も予想できませんでした。惜しいですね。
ミニアルバム 『夏の終わりに II ~Lookin' for the eighth color of the rainbow~
』 (1994.8.6) 2年ぶりとなる『夏の終わりに』シリーズ第2弾。デビュー曲の『悲しみが痛いよ』や、シングルのc/wだった『シャイなJealousy』、アップテンポな原曲からはアコースティックで再演されることなどおよそ想像できなかった『泥だらけのエピローグ』等々、幅広い選曲がなされています。 3曲目の『Loolin’ for the eighth color of the rainbow』は新曲。今作の他の楽曲と同様にアコースティックに演奏されるバラードで、新曲だからといって浮くことなく、しっかりとアルバムに馴染んでいます。メロディー自体もとても良く、T-BOLANの全楽曲の中でもオススメのナンバーのひとつ。 『マリア』は、アップテンポのバージョンがこの後にシングルカットされます。 あ、それから、今作はジャケット写真がすごく良いですね。凝ってます。
1.悲しみが痛いよ ~Acoustic Version~
★★★ 2.泥だらけのエピローグ ~Acoustic Version~
★★★ 3.Loolin’ for the eighth color of the rainbow
★★★★ 4.すれ違いの純情 ~Acoustic Version~
★★★ 5.シャイなJealousy ~Acoustic Version~
★★☆ 6.マリア ~Acoustic Version~
★★★
総合 ★★☆
(記:2008.6.15)
ベストアルバム 『SINGLES』 (1996.8.8)
バラードベストアルバム 『BALLADS』 (1996.12.12)
リミックスアルバム 『1999 REMIXES』 (1999.1.23)
ベストアルバム 『FINAL BEST GREATEST SONGS & MORE』 (1999.12.8)
ベストアルバム 『complete of T-BOLAN at the BEING studio』 (2002.7.25)