NO-NAMEの隠れ家

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[ふ]

< THE BOOM >

アルバム
『OPEN YOUR EYES』
(1989.12.21)

1.Love, Day After Tomorrow
2.This is your life
3.Shadows of Dreams
4.always
5.happy days
6.Secret of my heart

「THE BOOM」といっても、『島唄』・『風になりたい』のTHE BOOMではなく、まったくの別バンド。名古屋を中心に活動する4人組だとか。同名な上に、ヴォーカルの名前が宮嶋というから、尚更ややこしい。BOOK-OFFで間違えて買ってしまいました。
バンドブームに乗って、数多のバンドがデビューしては消えていきましたが、彼らもその中の一組なのでしょう。素直なビートロックが基本で、RCサクセションっぽい曲もあったり。録音状態は発売時期にしては意外と良いです。
(記:2009.4.4)










< THE BLUE HEARTS >

1stアルバム
『THE BLUE HEARTS』
(1987.5.21)

1.未来は僕等の手の中
2.終わらない歌
3.NO NO NO
4.パンク・ロック
5.街
6.少年の詩
7.爆弾が落っこちる時
8.世界のまん中
9.裸の王様
10.ダンス・ナンバー
11.君のため
12.リンダリンダ

総合 ★★★★

人間社会は、それが近代化であると、また、それが幸福であると信じて、とかく都市化を進めてきた。山を切り崩し、河川を埋め立て、コンクリートで地面を舗装し、鉄の建物を次々に建てた。
それは自然を制圧する歴史であった。自然というものは、都市化の進んだ社会においては思考の対象外とされる。人間の計算外の存在である自然とはまさに異物であり、徹底的にそれを排除していくことに人は力を注いできたように思う。
そうした、計算通りに作り上げられた都市の中で、彼らはこう歌い奏でる。

「ドブネズミみたいに美しくなりたい 写真には写らない美しさがあるから」

一般に「汚いもの」とされるドブネズミを、美しいと歌う彼。そしてドブネズミのように「美しくなりたい」とまで言い切る。

都市化した社会からは排除されるべき存在であるドブネズミ。しかし、そうした人間の計算の外で生きているドブネズミの存在を、彼らは知っていた。

人間は、都市化の最たる例として、自分自身の数値化を始めた。大学の共通一次試験がそうだ。医者の書くカルテがそうだ。そこでは人間は、数値に置き換えられ、管理される。そうしたことの必要性までもを否定するわけではないが、それが日常化した現代において、我々はそれぞれがたった一人のかけがえのない存在であることを忘れてはいまいか。都市化した社会に生きる人間は、自身も自然の一部であることを忘れて、自然を排除するという方向になおも進み続けているのではあるまいか。

「(若さゆえの)反抗」というイメージで解されることも多い彼らの歌詞であるが、訴えていたメッセージとは、かけがえのない自然としての人間を、一度きりの人生をもった人間を、都市化という個の埋没から取り戻すための警鐘であり、勇気付けであり、分かち合いであったのではないだろうか。

彼らの後に出てきた数多くのブルハ・フォロワーが総じて魅力に欠けたのは、「ドブネズミの美しさ」を本当には理解していなかったからであろう。

彼らが邦楽史に与えた影響は、計り知れない。

…な~んて、本に感化されてカッコつけて書いてみましたが、とにかく聴いてみましょう。表層的なサウンドよりも、その精神性を聴きましょう。『君のため』は泣けます。
(記:2008.11.20)


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