1.HOW? 〈U.K. mix〉
★★★ 2.Everything Is In Our Mind
★★★ 3.B’coz I Love You
★★★ 4.Your Kiss
★★★ 5.My Sweet Darlin’
★★★★ 6.Girl’s Talk
★★★ 7.もしものうた
★★★☆ 8.ねえ
★★★ 9.大阪ジェンヌ
★★☆ 10.I like 〈U.K. mix〉
★★★★ 11.Nothing
★★★
総合 ★★★☆
ヤイコこと矢井田瞳の1stアルバム。インディーズデビューシングルの『Howling』収録曲であった『HOW?』、メジャーデビュー作『B’coz I Love You』、彼女を一躍有名にした『My Sweet Darlin’』といったところが収録されています。 『B’coz I Love You』では、椎名林檎のパクリ騒動もあった彼女ですが、アルバムを聴いてみるとそんな印象は拭い去られます。1stにしていきなり彼女のアイデンティティーが炸裂しています。U.K.ロックとJ-POPの常套を上手くブレンドしたような、そんなサウンド。それにしても、『My Sweet Darlin’』での、通常の声域と裏声を自由に行き来するヴォーカルは今聴いても衝撃的。自信をもってやってますよ、これ。 非常にJ-POP界でも面白い存在だと思うヤイコ。ガシャガシャしていて、ひねくれていて、それでもポップに聴かせてしまうというのが、う~ん、普通じゃない。 彼女は既にメジャーシーンのテンポとは少し距離を置いたペースでの活動に入っていて、ちょいロック色強めなガールズポップ路線と言えば、そこにアイドル的色合いを自ら演出しているかのような要素が加わった大塚愛がいるわけですが、もっと作家色の強い、職人的なヤイコに是非とも頑張ってほしいと僕は思うわけです。 (記:2007.5.5)
2ndアルバム 『Candlize』 (2001.10.31)
1.キャンドル
★★ 2.Buzzstyle
★★★ 3.Look Back Again
★★★☆ 4.Not Still Over
★★★ 5.Over The Distance (Album Version)
★★★☆ 6.I’m Here Saying Nothing (Album Version)
★★★ 7.空の作り方
★★☆ 8.贅沢な世界
★★★ 9.手と涙
★★★ 10.Life’s Like A Love Song
★★★ 11.Maze
★★☆
総合 ★★★
ヤイコの世界観を確立した感のある2ndアルバム。『Buzzstyle』・『Look Back Again』・『Over The Distance』・『I’m Here Saying Nothing』のシングル4作を含む充実の一枚。前作ではとかくU.K.ロック色が強かったのですが、今回はもっと幅広い空気を感じさせます。『Not Still Over』には驚かされました。ロンドです。 結構細かい技を仕組んでおきながら、結局は全編通して「ポップ」でくくれる質感。職人技の楽曲作りも板に付いてきましたね。欲を言えば、アルバム曲でもう少しインパクトのある楽曲が欲しかったところ。一筋縄ではいかないアレンジメントの『空の作り方』、オルタナ色が少し顔を出す『手と涙』といった楽曲もありますが、どうにも前半から中盤にかけてのシングル楽曲の印象が強いです。たまには問答無用の正統ポップ『Look Back Again』のような楽曲がアルバム曲にも欲しい。 (記:2007.6.2)
3rdアルバム 『i/flancy』 (2002.10.9)
3枚目。冒頭からザックリとロックサウンドが刻まれる『Creamed potatoes』で、ロッカーとしてのヤイコを印象付けられます。また、『未完成のメロディ』や『会いたい人』などのように、ジワジワと体を侵していき、気付けば中毒になっているような独特の音階は彼女らしさ満点。そして独特の歌唱法というヤイコ節も健在。 『Creamed potatoes』(序盤から奇声を発している!!)や『Dizzy dive』などのドライブ感あるロックを見せる一方、アルバム後半では雰囲気で聴かせるバラードを続けたりして、新たな方向性も感じさせます。彼女の更なる成長を感じる一枚でした。 しかし反面、舌を噛みそうな『Dizzy dive』、あの林檎騒動の『B’Coz~』を思わせる『アンダンテ』などで感じたことですが、ちょっとその職人っぽさがイヤというか…なんというか。これまではひねくれた楽曲と歌唱で、それでいてポップに聴かせていたのですが、今作はやや、その職人的な部分、技まかせな面が前に出すぎていて鼻につくというか、微妙にこれまでとバランスを崩してきたように思えます。ムリヤリひねくれようとしすぎている印象。自然体でも、十分あなたは他の人と違うだけの魅力的な楽曲が作れるのだよ。そうヤイコに伝えたい(笑)。 そんな中で、アコースティックで等身大の『虹のドライブ』、大陸的で瑞々しいアレンジメントの『Ring my bell』が気に入りました。
1.Creamed potatoes
★★★ 2.未完成のメロディ
★★★ 3.アンダンテ
★★★ 4.Ring my bell
★★★☆ 5.虹のドライブ
★★★☆ 6.Change your mind
★★ 7.Dizzy dive
★★★ 8.会いたい人
★★☆ 9.i can fly
★★★ 10.i really want to understand you
★★☆ 11.明日からの手紙
★★★
総合 ★★☆
(2007.6.10)
4thアルバム 『Air/Cook/Sky』 (2003.10.29)
1.見えない光
★★★ 2.一人ジェンガ
★★★☆ 3.孤独なカウボーイ
★★★☆ 4.チェイン
★★★ 5.Keep on movin’
★★☆ 6.ママとテディ
★★☆ 7.マザー
★★★☆ 8.Are you ready?boy
★★☆ 9.Slide show
★★★ 10.Hello
★★★ 11.この恋はもうしまってしまおう
★★★★
総合 ★★★
新たな製作陣を迎えた4thアルバム。前作と違い、良い具合にリラックスしているのが伝わってきます。肩肘張らずにやっている感じなんですよね。それでいてしっかりヤイコらしいサウンドが展開されます。『Slide show』なんか、その典型ではないでしょうか。 演歌ロック『一人ジェンガ』、独特の世界観を持った『孤独なカウボーイ』といったシングル楽曲も良い出来。両曲とも、特に浮くことなくアルバムに溶け込んでいる印象。アルバム曲では、まず、ハーモニカの入るミディアムナンバー『マザー』が良いです。 パンキッシュな『ママとテディ』、ヘヴィなサウンドがサビでは煌びやかに変化するプログレチックな『Are you ready?boy』なんて楽曲も。 伸びやかなヴォーカルが心地良いバラード『Hello』、そしてラストを飾るバラードで今作のイチ押し『この恋はもうしまってしまおう』。これが感傷的でまた良い。奔放でありながら、しっかりとダイナミズムを生み出し、こちらを包み込み、揺さぶる、彼女のヴォーカルの魅力が冴え渡っていると思います。 サクサク聴けて、バラエティ豊か。でありながら、しっかり統一感のある作品。彼女の音楽家としての成長も感じられる一枚でした。 (記:2007.6.16)