EMILIVE(feel relaxed)

EMILIVE(feel relaxed)

3 JUNE





夕方、新宿からバスに乗って成田空港へ。荷物はキャリーバッグ一つだけ。
千葉県の森の向こうに、大きな夕日が沈むのを見る。
日本だなぁ。これからしばらく離れるんだ。
日本の夕日は、どこかの国で朝日なんだ。

離陸。子どもの泣き叫ぶ声がしばらく続く。
飛び立った窓から下を見たら、満月が見えた。
一瞬、不思議な感覚にとらわれたけど、それは田んぼに映った大きな月。

+++

ハワイに午前着。二度目の6月3日がはじまる。
出発前夜も機内でも、ほとんど眠れずフラフラ。
でも、空港から一歩出た途端に笑顔になる。
あたたかい空気、きれいな花、明るい陽、眩しい色が出迎えてくれる。
ロナウドみたいなお兄さんが笑いかけている。
花のレイ(本物じゃないけど)をわたしの首に掛け、浅黒い肌のおねえさん二人と写真をとる。
これはややビジネスライク。

一人なので、送迎バスの運転手さんが助手席に乗せてくれる。
ホノルル空港からワイキキ方面へ向かう車中、体の底から笑いが込み上げてくる。
ハワイに来たことを体中で感じる。
ハイウェイの両側に植わる木々の色とりどりの花が、もったいないぐらいに流れ過ぎていく。
「今年は少し雨が多いんですよ」と運転手のアキラさん。

ホテル着。チェックインして、途方に暮れる。
ことばの壁と一人でいることのプレッシャー。
ううう。体調も良くないし。
体のサイクル的に、海に入れない状態になってしまったのです(婉曲表現)。
ちゃんと計算したのになぁ。

午後、オプショナルツアーを申し込みに旅行会社カウンターにいく。
やたら歩く速度が速くなってしまう。ワイキキを一人で歩いてる人なんていないし。
今日は、もうのんびりするしかないみたい。

とりあえずトロリーに乗ってみる。一番小回りしているピンクライン。
座った途端、めまいがして貧血の時みたいに、目の前が白ーくなる。
「あ、やばい、このままここで倒れたとして、だれもわたしを知らないんだ」と
頭の片隅で思い、慌てて隣の日本人に話しかける。
関西から来ていたお姉さん。一人できたと話すと、びっくりされた。

+++

今、眠る前。
疲れきってぐったり。早くも帰りたくてたまらない。
一人でくるもんじゃないとか。

とにかく眠って明日に備えよう。おやすみ。

+++

夜9時にベッドに入ってぐっすり。
汗をびっしょりかいて目を覚ますと、時計が5:45だったので、よく寝たと思ったら
それは日本時間だった。実際は10:45pm。
つまり100分しか寝てないのだ。
時間の感覚がおかしい。意識をなくした眠りだった。
一日以上眠っちゃったのかと思った。
そしてそれ以降、一睡もできない。3:38 am。

うー。ねむれないよう。
色々なことが脳に出てきつづける。
英語の会話、これから行く場所、ABCストアのお兄さんの顔、日本のこと、将来のこと、ビーチ。
わたしが今一人でハワイにいることも偶然じゃないんだとして、どんな意味があるのか。

こわくて、一人では到底できないと思ってることも、乗り越えていけるのかな。
ナイノアがタヒチに着いたみたいに?
大丈夫大丈夫。

一人旅を初めてして、今日思ったのは、何でも一人でやらなきゃいけないこと。
フロントでドライヤーを借りるにも、金庫を借りるにも、Eメールを使うにも、
朝起きる時間を決めるにも(ていうか眠れないんだけど)、トロリーの行き先を聞くにも、
ツアーの予約も、ご飯を食べるのも、ぜーんぶ自分の足と口とでしないと飢え死にする。

一人暮らししてる人と同じなんだろうな、ということがわかった。

そして、いろんな人に支えられてわたしが生きていけること。
ABCのポリネシア顔のお兄さんが、「アローハ」って可愛い顔で笑ってくれるだけで、
小銭を数えられないわたしの両手から、小銭をピックアップしてくれるだけで
すごく嬉しくなる。人とのふれ合い。

トロリーバスの中で、カリフォルニアから来たピンクの服のおばちゃんと話したことも。
わたしの爪を綺麗ってほめてくれたり、英語上手いわねってほめてくれたり、やさしかった。
「あなた16?17?」と歳を聞かれたけど・・「27」って言ったら「husbandはいるの?」と
いきなり聞かれてびびったけど。だったら一人で来ないっつの。

貧血で倒れそうになったときに、気さくに話してくれた日本人の有難さ、親切さ。

アラモアナ・ショッピングセンターで食べたまずいメキシコ料理。
おかずは美味しいけど、トルティーヤみたいなの、おえ~っとなった。疲れてたからか?

一人で見知らぬ土地で食事をすることの心細さったら!
ここに住んでいる人にとってみれば、SEIYUのレストラン街で食べてるようなものだろう、きっと。
一人ではりつめて食べるご飯は、サバンナの動物の気持ちがわかるくらいだった。
のどを通らない。


カーテンを開けて夜空を見たら満月だった。
月は同じだけど、雲がでかい。ボワーと流れている。
星はあまり見えない。東京と同じだ。

そう、waikikiは東京と同じ。
原宿を歩いてうんざりするのと同じ。

花と木と小鳥、自然は見ていて日本と違っておもしろい。
鳩と雀のあいのこみたいのとか。ちょっとかっこいい黒い鳥とか。
へちまみたいのが、高いところからいっぱいぶらさがってる木とか。

のんびりしよう。
あせるこたない。






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