おばさんが作った死語ブログ。人生いろいろに語ります。

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マルチ商法 (上)



 おばさんはある時、友人からこんなことを頼まれた。
「面白い話があるから連れて行ってあげるよ。」ふむふむ、面白いって何が面白いんだ。おばさんは友人に言われるまま、休日に待ち合わせ、車に乗り込み、都心のあるビルの一角に入った。
そこでは、セミナーらしいものが既に始まっており、ボード黒板を使ってツリー上の図を一生懸命、男が説明していた。友人は「ねっ、すごいでしょ。」の連発で私に同意を求めようとしたが、私には何の話をしているのか、さっぱりわからず、「ねぇ、何の話をしてるの?」と聞いても、「だから、聞いてればわかるでしょ。お金が儲かるのよ。ねっ、すごい話でしょ。」というばかり。最後にはおばさんもかなり面倒くさくなって「うん、すごいねぇ、すごいすごい。」を相槌にしていた。話を聞いている人の顔ぶれをみると老若男女、様々な人が多い。が、共通しているのは、話が進むうちにだんだん顔つきが高揚している。目つきが真剣そのもの。鼻息が荒い。そんなにこんな話が面白いのかと、もう一度聞いてみるが、さっぱり内容がわからない。大体、内容も明らかにせず、人をわけもなくさそっておいて、部屋に連れ込み、パーセンテージがどうのこうの、その下のそのまた下の販社がどうのと、なんだか具体性に欠ける話はおばさんの堅い頭にはまるでしっくりこなかった。
 挙句の果てに最後に万歳三唱かと思えば、
「さぁ、みんなで大きな声で言いましょう!」
「お金がほし~い!」
「お金がほし~い!」
「お金がほし~い!」  の連呼。  
 帰りの車の中でも友人は「すごいよね。お金が入って来るんだもん。多い人なんか月に数百万、数千万だって。」と、「すごいよね」の繰り返しで、うんざりだった。
 ・・・・この話、何か変だと思いませんか?

 そしてまたある時、「頼むから、その話術と押しの強さで私を助けて。」・・・・ふむ、助けてと言われて黙っているわけにはいかない。おばさんは友人(さっきとは別人です)に連れられ車に乗り込み、あるアパートの一室へ向った。前回のこともあるので、一応、事情は聞こうと友人に尋ねたところ、簡単に言うと、
「自分は今、儲かる商売をしているが、今日連れて行く先方の人はまた別の商売をしている。自分に入れ入れとしつこい。ここは力を借りて先方を説得し、こちらの商売に加担させて欲しい。」というものだった。「お互い害のない様、商売すればいいでしょ。」と言えば、「いや、一人でも自分と同じ商売をしている人が多ければ多いほうがいい。先方の商売はいわゆるマルチ商法というヤツで危ないと思う。だからこっちの方がいいと思う。」と力説する。「そんだけ説得できるなら自分で言えばいいじゃん。」と言ったが、「だって、先方は口がうまいんだもん・・・、あたしじゃ無理。」と弱腰だ。まぁ、もう車は向っていることだし、今更どうこう言ってもしょうがないので、とにかく行った。

      下巻へ続く・・・・



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