そうだ坊主になろう!~ヒロ伊藤流仏弟子修行

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『経済成長という病~退化に生きる、我ら』 平川克美著 講談社現代新書
     人生の先達でありビジネスの師でもあり、ラジオデイズの仲間である平川克美氏の最新の著作です。 この本を読んで、これは著者自身の半生についての総括ではないかと思った。これをビジネス書としてしか読めない人は、そこから得られる大きな果実を取り逃すことになるだろう。著者は地道な経営者として仕事を愛し仲間や社員たちと価値観を共有して生きてきたはずだった。この10年近くはITバブルやベンチャーブームの加担者となり、バブル崩壊からリーマンショックに至る、グローバリズムと新自由主義の暴走とその挫折に批判的な視点を持ちつつ立ち会ってきた。その過程を通じて著者が辿り着いたのは、グローバリズムという侵略のもとにもたらされたバブルや企業不祥事の続出の意味を解明した前著「株式会社という病」だった。さらに今回は、文明論的な観点から、100年に一度という世界恐慌に晒される中でこれを単なる景気循環による経済現象と見るのではなく、絶対的な価値観の転換を伴う未曾有の世界史的な転換点として捉えようとしている。当然その思考は経済や企業の問題にとどまらず、教育や社会問題などの世相、国際問題にも及んでいく。 著者の主張の中で気づかされ特に共感したのは、「経済成長という神話」への執着を棄てるべきだということ。高度成長を実現した昭和・戦後という時代にのみ成立し得た社会システムや、そのもとで醸成された価値観に回帰するというような単なる懐古趣味では、現状を脱却できないということ。そして「人も社会も成長段階があれば老いていく段階もあるのだ」という諦観である。その上で「成熟した未来図を成熟した大人が描く。その作業をひとりひとりが、はじめてみてもよいと思う。」と、著者は結んでいる。 皆さんにもぜひ読んでいただきたい、お奨め本です。よろしく!  ヒロ伊藤でした。




*ご参考に 『株式会社という病』 平川克美著 株式会社という病


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