月浮かぶそら、輝くひかり。 -静かな夜空の小さなトモシビ。

act.1 エピローグ




世界の終わり。


始まりを見たんだ。


世界の始まり。


世界が終わって、始まったんだ。


新たな時代の、世界の終わりが──。




----------------------------------------------


戦場。無数の人。人。人。人。そして──死体。
首から上の無い死体。
頭から股にかけて一本の切り傷がある死体。
腕がもげてる死体。足がもげてる死体。
死体。死体。死体──。




『セイントアロー』



ドドドドドッ


降り注ぐ、光の雨。貫く一本の光線。

人、人、人、人。──否、死体。

生命と生命が交じり合い、そして消え行く。そしてまた、新たな生命が駆り出される。
永遠に続く、生命の連鎖。
荒れ果てた荒野、響く轟音、弾ける鉄の高き音色。
動き回る兵士、逃げ惑い、唱え続ける魔導師。

唯一人。中心に立ち続ける人影。
鉄を砕き、魔を弾き、そして自ら放つ術。



その周りには、人であり、人ならぬものの塊。
その手に持ちしは、赤き刀身、白き刃。僅かに湾曲する、歪な物体。
──大鎌。

身に纏いしは、魔導師の象徴。その顔立ちは、死に行くものさえ知らず──。


その人影は、凛とした声色で、小さく呟いた。







「つまらない。」





その呟きが響くことはない。
ただ周りの騒音とともに消えて行く。
終わりの戦場に──。


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: