常緑樹17 博物館のない町は…


(平成13年12月号 2002/11/20)

前号の「北海道ストーブ談」は、懐かしかったと好評だった。
多くの資料を読み、各記念館の方に指導を仰ぎ、蔵から出した埃まみれのストーブを撮影するなどまとめを担当した記者と、良い仕事をさせていただいたと喜んでいる。

先日この件について話があるので訪問したいと電話をくださった方は、「大久保です」と名乗られた。
電話の後、はたと気付いたのは、参考資料の中にある「北海道の民具」の著者大久保一良さん。
この大久保さんだろうか、ひょっとしたら大きな間違いの指摘か、など緊張しながら約束の時間を待った。
時間どおり来社されたのは、やさしい笑顔、俳優大滝秀治似のやはりこの大久保さんご本人。

知り合いから名前が載っているよと見せられたそうで、ストーブを取りあげたことを喜んでくださり、掘り下げがまだ少ないとの指摘もいただいた。
画家なので、ストーブのスケッチなども描かれるが、縁があって三〇年近くストーブの歴史に取り組み、とにかくストーブに関しては他に例を見ない研究家、北海道一いや日本一の大家である。
貴重な資料もいただいた。
こんな形でお近づきになれたことに感謝している。

ところで札幌には博物館がないことをご存知ですか。
計画はなくもないが、それは札幌の自然を紹介するもの、歴史や民俗を主にしたものではないらしい。
博物館とは、「歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集、保管、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、これらに関する調査研究をすることを目的とするもの」だそうだ。

はじめての土地ではまず博物館を訪問することをお薦めする。
その町の歴史、民俗はもとより何が自慢かを感じることができるからだ。
では札幌ではどこへ行くのか。
開拓記念館や開拓の村、または札幌市資料館、道庁赤レンガの中にも少し展示物がある。

しかし残念ながらそのどこも、札幌市の昨日今日の全てを感じさせてはくれない。
博物館が必要だと思う。高々百数十年の歴史を記録せずして、子供たちに何を残すのか。
生活道具など今のうちにまとめておかないと散逸してしまう。
すでに開設している資料館などから集めてくることはできず、普通の民家などから集めてこなければならない。
今すぐ手がけなければならない仕事と思う。

道外の各県や市や町には県立博物館はもとより、市立博物館、町立博物館がたくさんある。
特に政令指定都市にはどこも立派な施設が存在する。
札幌も資料館だけでは不足だと思う。
すでに代替の施設のあるコンベンションホールより先ではなかったろうか。


© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: