Fastest Lap

Fastest Lap

August 29, 2006
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「Passo della Raticosa/ラティコーサ峠」と「Passo della Futa/フータ峠」を越えて巡り会った素晴らしいワイン。


「Mille Miglia/ミッレ・ミリア」のコースを廻るイタリア紀行記もいよいよ第4回を迎えました。
モデナを出発した僕とアレッサンドロはボローニャを経由していよいよ「ミッレ・ミリア」の難所ともいえる「Passo della Raticosa/ラティコーサ峠」と「Passo della Futa/フータ峠」の2連戦に挑みます。
エミリア・ロマーニャとトスカーナの間にまたがる山間部を越える2つの峠は今回の旅のクライマックスでもあります。
僕とアレッサンドロは348チャレンジを止めてクルマから降りてタイアをチェックし、その他異常がないかどうかを確認して再度乗り込みました。
それまではアレッサンドロがステアを握っていたのですが、ここから僕のパートに変わります。
「どうぞ、ご遠慮なく」と笑いながら言うアレッサンドロ。
まァ、気心が知れてますので表現は極めてシンプルです。

サーキット仕様なので慎重にスロットルを開けて、少しずつペース・アップしましたがヒル・クライムかダウン・ヒルなのでハンドリングはピーキーです。

二つの峠を越えてフィレンツェに出なければ大きな町がないのであまりリスクを冒すわけにもいかずセフティ・マージンを遵守する走りに専念しました。
下りは一転してオーヴァー・ステアでその境目が唐突とまではいかないものの、かなりはっきりと解るのは乗りやすくもあり、忙しくもあり、初めて走るコースであることを踏まえればリスキーであったかも知れません。
明らかにアレッサンドロは楽しんでいるようでしたが・・・

現在のエントリー・クラスのフェラーリは良い意味でも悪い意味でもNSXの影響をかなり受けています。

その傾向が最も顕著なのがF355です。このクルマはNSXの成功を受けてフェラーリが対抗馬としてリリースしたので「フェラーリらしさ」が最も希薄です。
「フェラーリのオーナーになりたい」と強く思っている方はF355だけは買うべきではありません。F355は見た目やオーナメントはフェラーリですが、受け継いでいるスピリットは少しばかり系統が違います。
一方、現在の360Modena F1は今一度「フェラーリらしさ」を吟味して、フェラーリの美意識と機能性、日常性の全てを高次元で満たせるように両立をはかったので魅力的なクルマに仕上がっています。
そしてF355より一世代前の348ですが、このクルマは良い意味でも、悪い意味でも正真正銘フェラーリです。
フェラーリの哲学や美学が盛り込まれ、ステアするたびに、ペダルを繊細に踏み分けるたびに、脈々と受け継がれるアイデンティティを感じることができます。
良くも悪くもベクトルはただ一つで、それ以外には目線を向けていません。
美学といえば美学ですが、僕は美意識という表現のほうが近いと思います。


ここはドライヴィングに自信がない方でもゆっくりマイ・ペースで走れば山を上ることはできますから、一度上ってみることをお勧めします。
この景色を見たらそれまでの大変さなど霞んでしまいます。峠を二つ越えるのは大変ですがそれだけの価値はあります。

さてこの記事のカテゴリは一応「ワイン紀行」がメイン・テーマですので今回から、そこで出会ったお気に入りのワインをご紹介していきたいと考えています。
現在はイタリア紀行ですのでトスカーナ産のワインをご紹介します。
トスカーナ産のワインにはお気に入りのものがたくさんありますが、やはり土着品種のみで仕込んだこのワインを一番最初に挙げなければイタリア・トスカーナの方々に失礼かもしれません。

そういうワインなので評価はかなり多岐に分かれますので、当たりはずれを避けたい方は手を出すべきワインではありません。
しかしながら、この「キアンティ」を作り出す主要品種、サンジョヴェーゼ種だけを使って仕込まれたワインがあります。
無論、そのワインが初めて生み出された時代は「サンジョヴェーゼ種だけで美味しいワインなど造れない」と真剣に思われていた時代でした。
前述しましたが色々な品種をブレンドして作ることが法律で定められていましたから、サンジョヴェーゼ種100%のワインは違法となり「キアンティ」の名前は名乗ることが許されませんが、あえてその茨の道を選択したのが1968年に設立された「Fontodi」でした。

そのワインの名前を「Flaccianello della Pieve/フラッチャネロ・デッラ・ピエヴェ」と言います。

少しばかり難しい響きかもしれませんが、頑張って覚えてみて下さい。損はしません。
濃密なベリーの香りと、コーヒーの香ばしいかおり、さらにハーブを思わせるエキゾティックな香りもあります。
とにかく複雑で上品な香りを含んだワインは、素晴らしいバランスの酸とタンニン(渋み)に導かれるように秀逸なフィニッシュへと導かれます。
そして重要な情報をもう一つ。
このワインは開けてすぐに全部飲んでしまっては、このワインの本当の素晴らしさを味わったことにはなりません。本当に飲みたい日から逆算して10日前ぐらいに開けて、グラス・ワイン1杯分ぐらいを味見して、コルクを元のように差し込んで冷蔵庫に入れ10日待ってください。
2週間ぐらいでも大丈夫です。
これだけの時間を乗り越えた「Flaccianello」は全くの別物に変化しています。
無粋な表現でしたね。変化ではなく、変貌です。
現在リリースされているヴィンテージは2003年ですが、恐らく手に入れることは不可能に近いと思われます。
生産量は多くても4,000ケースで、そのうちどのくらいが日本に入ってくるのか?
高々知れた量です。
まだ、日本はワイン後進国ですから「本当に良いワイン」はそんなにたくさんは入って来ません。
僕は毎年、このワインを手に入れるために、それなりのエネルギーを消費します。
もし、興味がある方がおりましたら書き込んでみて下さい。少量ならなんとかできるかも知れません。
ちなみに日本での相場は8,000円前後だと思います。確かな情報ではありませんので、悪しからず御了承下さい。

次回はいよいよ待ちかねたフィレンツェへの到着です。
(なんだか・・「世界の車窓から」みたいになりつつあります)



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Last updated  September 14, 2006 11:11:59 PM
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