一言でいうのは大変難しいのですが、今後説明を求められた時のためにまとめておこうと思う。
薬物療法にしろ、森田理論以外の他の精神療法と大きく違うのは「不安」についての考え方です。
一般的な治療は「不安」を取り除いたり、軽減することを目指している。
森田理論では、「不安は欲望があるから発生している。欲望がなければ不安は発生しない」という考え方である。人間は欲望を無くすることはできないわけですから、不安も無くすることはできない。
無くそうとしてはいけない。無くそうとすることは、無駄な努力となる。
ではどうすれば不安に対してどう対応すればよいのか。
不安はとりあえず横に置いて置き、欲望を膨らませていくという考え方をとっているのです。
不安との格闘がなくなり、目の前の目的、目標、課題があり、そちらに注意や意識を向けていくと、不安は小さく変化してくる。
これは自動車のアクセルとブレーキに例えると分かりやすい。
アクセルが欲望で、ブレーキが不安である。
目的地に行こうと思えば、アクセルを踏み込んで車を前進させることが必須である。
神経症で苦しんでいるときは、アクセル操作を一切行っていない状態である。
車が動いていないにもかかわらず、さらにブレーキを強く踏み込んでいるようなものだ。
傍から見ると実に滑稽な現象が起きているのだ。
そのことに気づくと、生の欲望の発揮に目を向けることができると思う。
一旦車を前進させることが最も大切なのだ。
一旦車が動きだすと、欲望が暴走して事故を起こさないように、不安を活用して速度を制御していけばよいのである。そこで不安は大いに役立つ。不安には大切な役割があるのだ。
一言でいえば、欲望を最優先させて、次に欲望と不安のバランスをとりながら生活するということが、森田理論の考え方なのだ。
それから、もう一つ大切な考え方がある。これも森田理論の核心部分だ。
森田理論では、自分という一人の人間の中に2人の人間が住みついているとみているのだ。
その2人が険悪の関係で、対立して、喧嘩を繰り返しているとみているのである。
一人は、弱点、欠点、ミス、失敗など様々な問題や課題を抱えながらもなんとか必死に日々生活している自分です。もう一人の自分は天高く雲の上にいる自分です。
雲の上にいる自分が現実の世界で必死に生きているもう一人の自分を、上から下目線で、冷ややかに眺めていつも罵倒しているのです。
力関係でいえば、雲の上にいる自分が、完全に主導権を握っており、現実の自分を服従させようとしているのです。
現実の世界にいる自分はやることなすこと否定ばかりされているのでみじめです。苦しいです。
さらに、このような対立関係は、他人や自分が管理を任されている所有物にも及んでいるのです。
ですから葛藤や苦悩はあらゆる方面に拡散しているのです。人間関係で苦しい原因はここにあります。
森田理論では、その対立関係を解消するための理論だといっても過言ではありません。
森田理論を学習して実践することで、最終的には現実の自分に寄り添って1つになることができます。
他人や自分が管理している所有物との関係も、客観的、肯定的に見れるようになるので好転してきます。
この2つが森田理論学習と実践によって身についてくるのです。
一口で説明することは難しいが、2口だったら説明できる理論だと思う。
ぜひとも森田理論でものにしていただきたいと思っています。
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