森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.02.24
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五木寛之さんは、日本が戦争に負けて、13歳の時、朝鮮半島から引き揚げてこられました。
その体験から多くのことを学ばれたそうです。

昭和20年8月15日、天皇陛下の玉音放送がある前から、ごく一部の人たちは、ここにいては危ないといち早く察知して、さっさと列車に乗って、ソウルの方に南下していきました。
政府の要人やその家族、利口なグループは、荷物をまとめて、なるべく早く日本に帰ることを考えていたのです。ところがほとんどの人は、その時、政府からのラジオ放送を信じていたのです。

政府は、「治安は維持される。一般人は軽挙妄動することなく現地に留まるように」という放送を繰り返して流していました。
取り残されたのは、政府の言うことを信じていれば間違いないと、愚直に信じていた日本人だった。
五木さんもそうだったのです。するとすぐにソ連軍が侵攻してきました。
日本が敗戦を認めた後に侵攻してきて、すべての財産を奪いました。
難民となり、なかにはシベリアに連れて行って強制労働させられる人もいました。

無念のうちに亡くなる人もたくさんいました。
これが変化に対応し損ねた人の紛れもない実態です。

五木寛之さんは次のように語っておられます。
国という権威は何でもできる。人間の命を、紙切れ一枚で戦地に引っ張り出すこともできるし、植民地に残された国民が、悲惨な状況に陥ることが分かっていても、大丈夫だといって放置する。
私は、その後、国によりかからないで、自分の感覚というか、勘をセンサーにして生きていく覚悟を決めました。むしろ指示される方向とは別な道はないかと、自分で考えるような癖がつきました。

いま政府が、「人生100年時代構想」の提言をしていますが、それを鵜呑みにして、踊らされるのではなく、「百歳人生」とは、自分の人生の幸せを構築するための、長いスパンを、天から与えられた一種のモラトリアム、と考えたほうがよいのではないかと思う。
(百歳人生を生きるヒント 五木寛之 日経プレミアシリーズ参照)

五木寛之さんは大切なことを言われていると思います。
変化に即座に対応するような生き方を身につけたほうがよい。
変化に対応していくためには、自分から積極的に情報収集をする必要がある。
そうしないと自分の身の破滅をおびき寄せることになってしまう。

もし変化の兆しを感じたら、直ちに行動を開始する。もたもたしていてはならない。
むしろ仮説をたてて、変化を先取りするような気持ちを持つ方がよい。

他人からもたらされた情報をそのまま鵜呑みにしてはならない。
もし信じるのならば、自分の目でしっかりと確かめて、必ずその裏付けをとるようにする。
森田先生の言われていることと同じです。


特に補助金のついた施策はよく考えてみる必要があります。
政府が誘導したいほうに補助金がつくのです。甘い蜜ほど毒がある。
減反政策がそうでした。米を作らなくてもそれなりのお金が出る。
最初は農家の人は喜びました。汗水たらさなくても収入になるからです。
その結果、米作りに対する農家の情熱を根こそぎ奪い取ってしまいました。
成果を上げた後で、減反政策は打ち切られました。農家は困っています。

現在、米価低迷、後継ぎ不足、高齢化、農業機械の高騰で米作りに情熱を持って取り組んでいる人はほとんどいません。
農村では、耕作放棄地の拡大、後継ぎ不足、過疎、限界集落の問題で苦しんでいます。
共同体、コミュニティの崩壊を招き、夜になると、イノシシ、猿、熊の天国となっているのです。
中山間地でも夜間に一人で出歩くということは、とても危険な状態になっています。

食料を輸入に依存している国は極めて危険です。
現在日本人は外国からの輸入食品に頼っています。
しかし世界の人口が90億人を超えて、さらに開発途上国の生活レベルが上がってきた時には、食料の奪い合いが全世界で起きることが予想されています。
その時、食料は高騰し、またお金を積んでも売ってくれないという事態が想定されます。
今は飽食三昧の日本人ですが、そのうちすぐに戦時中の食糧難と同じような辛苦に直面することが予見されます。食料不足が起きたとき、政府は責任を持ってくれるでしょうか。
多分、その時政府は言うでしょう。自己責任の世界ですからと。
ご自分とご家族の食料を、自らの力で調達するのが当然ではないですかと。
現に家庭菜園などで食料を自給自足している人がいるではありませんか。
実際にはそういう人は困ってはいませんよと。
そういう将来が確実に予想されるのに、変化が見えないということは恐ろしいことだと思います。

人生100年時代への対応ですが、身体の健康と増進、経済的な自立計画、精神的な安定、人間関係の持ち方、やりがいや生きがいづくりが大切になると思います。これらのリスクは、あらかじめ分かっているわけですから、その対策を50代ぐらいから立てて、実行する必要があると思います。
不安は安心のための用心であるということです。
この点、神経質性格者は、創造性、好奇心、分析力が旺盛ですので、リスク管理を早めに立てて将来に備えることができるのではないでしょうか。

さらに集談会でもそういう問題について、問題提起をして普段から話し合うことが大切だと思います。
集談会はそういう問題も含めて有効活用する必要があります。
それが森田を生活のために活用するということになるのです。
そうすればマンネリに陥り、集談会に参加することが苦痛ということはなくなると思います。





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Last updated  2020.02.24 06:39:46
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stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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