森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.11.29
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森田先生のお話です。

我々は人生の欲望に対して、常に念掛け・あこがれながら、その目的を失わず、しかも何かとその現在現在の事柄に対して、力の限りのベストを尽くしているのが、「物そのものになりきる」という自然の状態であります。そこに初めて「努力即幸福」という心境があるのであります。

物そのものになりきれば、例えば剣道の稽古にしても、打ち込むこと・防ぐこと・そのときそのときの工夫・研究に一心になって、目の前の勝負ということを超越するようになる。
その現在になるから、稽古は稽古・勝負は勝負・真剣は真剣という風に、その時々の一心不乱の全力になる。(森田全集 第5巻 616ページ)

森田理論を学習した人は、「物そのものになりきる」という言葉の意味はよくお分かりだろうと思います。問題は生活の中で応用できないということかと思われます。
どうしても今一歩一心不乱な状態になれない。集中できない。
時間を忘れるくらいのめりこむというよりも、早く処理して自分の手元から離したいという気持ちになってしまう。その根底には、心身ともに楽になりたい。
エネルギーの無駄使いは抑えたいという気持ちがあるのかもしれません。
森田先生の言葉でいえば、功利主義になり、近ごすくなってしまう。


1、先入観や思い込み、つまり「かくあるべし」で物事を判断する態度が強すぎると、「物そのものになりきる」ことから遠ざかっていきます。
「物そのものになりきる」ためには、事実に寄り添う姿勢が強く求められます。
事実を客観的に正確・詳細に把握しようという態度が求められます。
事実の把握が抽象的であいまいなままですと、感情の発生が起きません。
感情が動き始めないと、「物そのものになりきる」という方向には向かいにくいと思います。
事実を両面観で正しく知りたいという気持ちが大切になります。

2、森田理論で「物そのものになりきる」という言葉を学習しますと、物そのものにならなければ神経症の克服はできないのだと考える人が出てきます。
これも「かくあるべし」の一種です。思想の矛盾に陥ります。
頭で考えたことと実際の出来事が一致しなくなるのです。
この方向は、「物そのものになりきる」方向を目指しているように見えますが、実際には真逆の方向に向かってしまいます。神経症の発症の原因を作り出しているのです。

3、生活のための仕事、勉強のための勉強、他人から指示、命令、強制されたことなどは、自発的、自然発生的な行動ではありません。

森田先生に言わせれば、お使い根性の取り組みでは、永遠に「物そのものになりきる」事はできないと言われそうです。でもそれが事実です。

4、それらを踏まえてどういう態度で生活していくと「物そのものになりきる」事ができるのか。
それは取り組んでいることの中に、問題点、違和感、疑問、改善点、改良点、課題などを見つけ出すことです。最初は小さな気づきから始まります。森田でいう純な心です。
それを見逃さないで、宝物のように取り扱うことが大切です。
メモなどしてきちんとキャッチすることが肝心です。

これが「物そのものになりきる」ことができるかどうかの分岐点になります。

5、小さな気づき、第一の感情を受け止めると、興味や関心が湧き上がってきます。
弾みがついてくると、発見、工夫、研究、アイデア、課題、目標、夢、希望へと膨らんでいきます。その時には自分でも気がつかないうちに、「物そのものになりきっていた」状態になっているのです。一心不乱になるという状況を作り出しているのです。

6、森田は不安、恐怖、違和感、不快感などの感情を速やかに流すという理論です。
そのための手段として、「物そのものになりきる」という態度が大いに役立つものなのです。





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Last updated  2020.11.29 06:58:11
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

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