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tajim

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Nov 28, 2005
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先週の木曜日から、イギリスのお酒に関する法律が変わりました。
イギリスでは、第一次世界大戦以降、お酒の販売およびパブの営業時間は法律で制限されてきました。夜11時過ぎればスーパーのアルコール売り場はチェーンがかかってロックされるし、パブは閉店の30分前に鐘を鳴らしてラストオーダーを取り、11時になるとパッと店内の電気を明るくして客を追い返してきたのが今までのイギリス。朝まで飲み屋が開いている日本から来ると11時なんてまだ早いじゃん、と思うこともあるものの、皆が帰るきっかけになるし、必ず終電に間に合う時間にパブを出られるという安心感もあり、基本的には気に入っていたルールでした。

そのルールが、先週の木曜日から緩和されたのです。申し込みする必要はあるものの、パブも酒屋も24時間アルコールを売っていいことになり、今までの「11時以降はアルコール無し」というルールがなくなった。
そもそもヨーロッパで一番「Binge Drinking」の問題が多いといわれるイギリス。「Binge Drinking」とは、要するに、ゆっくり楽しんでお酒を飲むのではなく、あおってラッパ飲みするような感じですね。イギリスでは(女の子でも)酔って大騒ぎして、喧嘩して、路上で吐いて、なんていう姿を見ることがざらなんです。よくフランスやスペインなどの大陸の国々の、落ち着いた「大人の」飲み方と対照的だと言われています。

そんな、飲み方を知らないアルコールにおぼれる国が、どうしてわざわざ法律を緩和するのか全く理解できませんでした。
それが、ニュースなんかを見ていると、どうやら「Binge Drinking」をする一番の理由がパブの営業時間制限にあるという意見が出たらしい。つまり、11時になると閉まってしまうので、皆あせって何杯もビールを買い、急いでラッパ飲みするということ。それで営業時間制限を緩和すれば、皆もっと落ち着いて「大陸の人々のような」飲み方ができるようになるだろう、という見込みで法律が変わったらしいのです。

そこで、日本を思い出しました。深夜の飲み屋街。酔っ払った千鳥足のサラリーマンと、歩けなくなって座り込む大学生と、大声で騒ぐ若者。日本人って実はイギリス人と飲み方がすごく似ている気がするんです。日本の大学の新入生歓迎コンパなんていうのはまさに「Binge Drinking」の典型な気がします。日本の飲み屋は朝まで開いているけど、そんなことは関係ない。朝まで開いていれば朝まで飲んで余計酔っ払うだけなのでは?という当たり前の疑問が湧いてくる。

もしかしたら、イギリス人の「Binge Drinking」はパブの営業時間なんかとは全然関係なくて、日常のストレスレベルの高さからくるのではないか、というのが私が達した結論でした。イギリス人はヨーロッパ一ストレスレベルが高いといわれています。確かに仕事や普段の生活の中で大陸の人々はイギリス人よりもよっぽどのんびりと、優雅に暮らしているように見えます。悪く言えばリラックスし過ぎ。でも細かいことを気にしないで日々を楽しんで生きている感じがする。そういう意味では、イギリス人はヨーロッパの中ではたぶん一番日本人に近い性質を持っている気がします。毎日一生懸命働いて、仕事やラッシュアワーの電車や会社の人間関係でストレスをためてるんですね。それが飲み方に出るのかもしれない。だからパブの営業時間を変えたところで、そんな習慣は変わらないだろうというのが私の推測です。

もちろん、法が変わってまだ数日。もうすこし経ってから、今回の緩和の本当の影響がわかってくるのだと思いますが。





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Last updated  Nov 29, 2005 04:23:56 AM
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