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tajim

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Feb 27, 2006
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最近「English Tea」と言う曲を作ったポールマッカートニーが、曲のインスピレーションとなった背景をこう説明していた。


確かに考えてみると、イギリスの普通の家庭で飲むような紅茶には名前がない。スーパーの紅茶コーナーはとても大きいけど、大部分の紅茶はPGやTetleyと言ったメーカー名が大きく書かれた、要するにただの「紅茶」。箱が巨大なので大きく場所をとる。その横に申し訳なさそうにアールグレイとかダージリンとかアッサムなんていう、いわゆるポッシュなストレートティが小さな箱で並んでいる。

そんなただの「紅茶」のティーバッグを巨大なマグカップにいれ、沸かしたての熱いお湯でこれでもかというくらい濃く(こげ茶色になる)入れて、これまたミルクをドボドボと惜しげなく入れる。そんな、なんかどろっとした濃い液体が、イギリスの普通の紅茶だ。日本人がイメージするような、ウェッジウッドのティーカップにフィンガーサンドイッチ、なんていうおしゃれなアフタヌーンティは幻想のようなもので、きっと一部の上流階級の人たち(と、観光客)しかしない。巨大なマグカップのミルクティにマクビティのビスケットをつけて食べる、なんていうおよそおしゃれから程遠いのがイギリスの紅茶の現実。

それでもやっぱり紅茶はイギリス人に欠かせない。よくコメディなんかでも自嘲的に描かれるくらい、なにかというと「Cup of tea?」と言うのがイギリス人。誰かが来たときは勿論、誰かが怒ったり悲しんだりしたときも、気を落ち着けるためにはcup of tea。あんまりしょっちゅう言うので短縮されてCuppaと呼んだりもする。二時間おきにお茶の時間、と笑われたりもするが、現実は「手元の紅茶を欠かさない」ことのように見える。だから会社で仕事をしていても、常に誰かが紅茶を入れることになる。日本のように新入りが入れると言うような決まりはなく、思いついた誰かがみんなの分を入れる。自分用のマグを持っている人も多いので、辺りからマグカップを集めいっぺんに何杯も入れる。そして注文が多い。「ミルクと砂糖」「砂糖ちょっとだけ」「凄く濃くして」等々。間違わずにそれぞれのマグカップに入れて何回にも分けて運ぶ。それでも「なんか薄い」と文句を言われたりもする。とにかく、紅茶にうるさい人たち。「ミルクを先に入れるか紅茶を先に入れるか」なんていうイギリス人お得意のいつまでも答えの出ない議論もある。そして外国旅行から帰ってきても最初の一言は必ず、「これでようやくまともな紅茶にありつける!」

でも良く考えると、そんな一般のイギリス人が飲んでいる「紅茶」は、カスのような安いものだ。香りもないし、独特の渋みがある。実は外人の方が上質の紅茶の葉っぱを使っているに違いない。たまにおしゃれなカフェなんかで飲むアールグレイとかダージリンなんていう「ポッシュな」紅茶は、スキッとした薫り高い上品な味がする。でも、わたしもイギリスに長く居過ぎた。日本に一時帰国したりすると、どうしてもこの「普通の」紅茶が飲みたくなる。日本の紅茶は薄くて、苦くて、なんのつもりかミルクの代わりにクリームが出てきたり(すごく合わない)して、とても飲めたもんじゃない。イギリスのティバッグを買っていっても水が違うせいで日本では同じ味が出ない。そしてイギリスに帰ってこの安いティバッグで入れた紅茶がやっぱり美味しいと思ってしまうのだ。

PGのティバッグ(当たり前すぎるのかどこにも紅茶とも書いてない)とおまけでついてきたグルミットのマグ





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Last updated  Feb 27, 2006 09:18:00 PM
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