それでもやっぱり紅茶はイギリス人に欠かせない。よくコメディなんかでも自嘲的に描かれるくらい、なにかというと「Cup of tea?」と言うのがイギリス人。誰かが来たときは勿論、誰かが怒ったり悲しんだりしたときも、気を落ち着けるためにはcup of tea。あんまりしょっちゅう言うので短縮されてCuppaと呼んだりもする。二時間おきにお茶の時間、と笑われたりもするが、現実は「手元の紅茶を欠かさない」ことのように見える。だから会社で仕事をしていても、常に誰かが紅茶を入れることになる。日本のように新入りが入れると言うような決まりはなく、思いついた誰かがみんなの分を入れる。自分用のマグを持っている人も多いので、辺りからマグカップを集めいっぺんに何杯も入れる。そして注文が多い。「ミルクと砂糖」「砂糖ちょっとだけ」「凄く濃くして」等々。間違わずにそれぞれのマグカップに入れて何回にも分けて運ぶ。それでも「なんか薄い」と文句を言われたりもする。とにかく、紅茶にうるさい人たち。「ミルクを先に入れるか紅茶を先に入れるか」なんていうイギリス人お得意のいつまでも答えの出ない議論もある。そして外国旅行から帰ってきても最初の一言は必ず、「これでようやくまともな紅茶にありつける!」