陶玄郷だより (フラクタルの森)

陶玄郷だより (フラクタルの森)

「戦争と世界平和構想」


■  誰であれ平和を求めている 

戦争とは何か?
兄弟げんかから始まっていろんな争いがこの世の中には有る。
方法も言葉だけの戦い、突きあいからミサイルまで様々です。

戦争を考えると同時に平和ということが浮かび上がってきます。
平和と戦争、どちらがいいですかと聞かれれば、誰であれ平和を選ぶで
しょう。しかし、現実には兄弟げんかから始まり、夫婦げんかとかいろ
んな戦いが毎日行われています。

私は、あの悲惨な戦争と兄弟げんかなんかも基本はいっしょだと思って
います。戦争を考える時にあまり特殊な事だと考えずに、もっと身近な
事だと思っていただきたい。
昔、戦争反対を訴えながら闘争という戦争を繰り返していた人達がいま
したけれど、あのような愚を犯さないようにしていただきたい。
単純に戦争反対だけでは解決しません。

死の商人や自殺願望、思考停止の人達をのぞいては戦争をしたくてする
人は原則いません。では、みんな本当は平和が好きなのに、なぜ、現実
には戦争をしてしまうのでしょうか。

これをフラクタルの森に入れてみます。
「戦争」ということを左目と右目の両目で見てみます。
感性と理性で見ると言ってもいいのですが、わかりやすく言います。

「嫌いだからする場合」と「都合が悪いからする場合」とが有る。
考え方(思想)の違いと利害(経済)が相反した場合です。
比較的冷静な人であっても、この左目と右目両方共に隔たりが有ると戦
争は簡単に起こります。どちらかに共通項が有ったり、深く関連性が有
れば片方の目をよりどころに何とか仲良く出来ます。

■世界平和構想 「思想」 (左目・悟性、感性部分での対策)

戦争の無い世界を作ろうと思えば、思想、世界観、宗教観を一つにする
というテーマが有ります。
一つになることが無理であっても、理解し合うことが必要です。

一神教で自分教(偏見・我見)のように頑固だと最悪です。
お互いに考え方の違いが有る場合、相手が間違っていると簡単に責めて
しまいます。またそうした方が力強く相手を責めることが出来ます。
相手の見方、考え方を尊重しすぎるようだと攻撃の手をためらってしま
います。

多神教だと、たとえ自分教(偏見・我見)の中にあっても元々多様な
視点で見る神々、諸仏がおられるわけですから議論して解決を図ろう
とする傾向は強いでしょう。

どちらにしても、思考停止することなく、常に正しき心の探究する姿勢
だけは持っていてもらいたいものです。

■世界平和構想 「利害」 (右目・知性、理性部分での対策)

もう一つは、密接な経済協力関係を作ることです。
利害を一致させておくのです。

このことを考える時に、先の太平洋戦争の前にあった事を思い出して
しまいます。日本が中国に出て満州鉄道を作った時にアメリカから共同
で経営しようと言う事を言ってきたそうです。もちろんそのようにしな
ければならない義理はなかったので突っぱねたそうです。
その後、日本はアメリカからのいろんな締め付けを受けたようです。
今になって思えば、アメリカの理不尽とも思えるような要求を呑んで
共同経営に持ち込んでおけたら、おそらく後の日本に対する執拗な締め
付けはなかったかもしれません。

利害を一致させ、不安定な極東にアメリカを早く巻き込んでいたら日本
の運命は大きく変わっていたでしょう。
朝鮮戦争を経験したマッカーサーが帰国して「日本は自衛のために戦争
をやらざるを得なかったということが分かった」と発言したそうですが、
そのように最初から日本の行動を理解出来る可能性が事前に有ったはず
です。

しかし結果論であって、思想の違いはアメリカの一神教的な見方からす
るといろんな所で対立の種には事欠かなかったはずです。
キリスト教の自分教(偏見・我見)の人達から見れば、日本人は、地獄
へ堕ちるような邪教を信じている国民ですから、オームの論理にも似て
いますが焼夷弾で民族浄化とも取れるような無差別爆撃や、原爆の投下
をしても許されるような見方がされていたはずです。

現在の経済状況を見ると、その満鉄の共同経営じゃありませんが、良い
状況になっているのかもしれません。一時アメリカを追い抜くほどの
勢いを持っていた時に、経済摩擦でアメリカに対してNOといえる日本を
求める気運が高まった時が有りました。しかし、その後バブルをつぶし
て日本売りとも見えるほどいろんな外資が入ってきています。
否応なく運命共同体としての経済的な結びつきが強くなっているという
ことは良いことなのでしょう。

あのまま経済力でアメリカを抜き去って世界一になっていたら先の大戦
前に似た状況になっていたかもしれません。
いろんな経済摩擦で、日米安保条約にも亀裂が出来ていたかもしれませ
ん。国内世論などを考えても、とても核武装など出来るはずもなく、
それこそ、丸裸のブロイラーの如く世界の食卓に載せられるような事に
なっていたかもしれません。

思想(宗教観)の面で一致を見るか、経済関係で切っても切れない関係
を作るか、左目と右目、どちらかでも共通の視点を持っていなければ、
友人として共に歩むことは出来ません。
出来るなら、世界中の国々、民族が、親友としてのつきあいが出来れば
いいのですが、フラクタルの森で見てもとても難しいです。

左目の思想(宗教観)の面で共通の視点を持つことはもちろん、右目の
経済の面でも難しい。

なぜなら、経済の見方が世界中、日本国内でも無茶苦茶だからです。
経世済民というように崇高な意味があるのですが、株式会社、企業には
医療行為や郵政事業、農業など公益性の高い物は認められないという事
が当たり前のように思われているからです。
弱肉強食の世界だけでしか見ていない人が多く、共存共栄という側面、
社会貢献という要素なく事業の拡大再生産はあり得ないことを見ない人
たちがあまりにも多い。マルクス的な視点に毒されています。

これは、高学歴で知性の高そうな人ほど多い。
右目ばかりで見ている人達です。そのために、逆に左目に偏りが出来て
間違った「優しさ」ばかりを発揮しようとしています。
経済をパイの取り合い、奪い合いと思いこんでいる人類があまりにも
多いことから問題が有ります。
この右目(経済)の見方が正常にならない限り、激動する社会情勢の中
で利害の一致を常に計っていくことは不可能です。
世界平和構想の1点は、まずこのことの改革が前提です。

■  思想、宗教をフラクタルの森で見る

世界平和構想「利害の一致」は、比較的簡単にいくでしょう。
経済大国のその力を使えば、比較的簡単です。
しかし、世界平和構想の「思想」の部分が一番やっかいでは有ります。
これは、利害の根底部分とも関わります。

思想の中でも、根元的な部分、宗教観について今一度考えてみましょう。
宗教とは、人々を導き幸福へといざなおうとするものです。
(現実は、経済と同じ奪い合いのように見ている人達がいます。
経済と同じように結果主義の誤った見方をする人達です。
要するに、御利益信仰、右目だけしか見ていないような宗教観です。)
その人類幸福化の方法論を各思想、宗教は、どのようにしているので
しょうか。

キリスト教は、フラクタルの森の「感性」部分が中心です。
愛の教えです。思っただけでも罪になると言われるように悪を犯す原因
は、すでに「思い」の中にある。

ユダヤ教、イスラム教などは「知性」の部分で、行動に規制を加え悪を
犯させないようにする事が中心のようです。戒律の厳しさがそれを物語
っています。

儒教の教えの中心は「理性」の空間に有るように思えます。
成果としての序列、形から入っていきます。
茶道とも関連が有るような気もします。

マルクス教は、「知性」と「理性」でしょうか。
右目ばかりを強く見過ぎたために蛇行をしてしまったようです。
左目の「感性」部分が「変な優しさ」になってしまい蛇行を繰り返すこ
とになりました。そして、国民を国家をダメにしてしまいました。

仏教は、「悟性」「感性」「知性」「理性」と、その関連づけでしょう
か。このフラクタルの森も、仏教が最大のヒントです。

もちろん全ての宗教、思想は「悟性」を大地として、土台として成り
立っているのですが、それぞれの長所があり、欠点が有ります。

そして、各人はそれぞれに自分教として、それぞれ個人の個性を発揮し
ています。それぞれが自分の内面の正しさに固執する傾向を強く持って
います。そしてそのこだわり部分に魔が働きかけをします。

イエス、釈尊、モーゼ、マホメット、孔子、老子、幾多の偉人達の偉大
な言葉を使って、魔は働きかけをします。
その偉人達の言葉だけを使って、善人を悪魔の手先にかえてしまう事も
出来るのです。

偉人達の言葉も、その人、時、ところ、タイミングを変えれば逆になる
事があります。私たちの人生も偉人達の言葉も波を描いています。
その波がぶつかり合えばハレーションをおこしてしまいます。

美しくハーモニーを奏でるためには、常に正しき心の探究をしなければ
なりません。仏神の視点で自分自身の心を見る努力をしなければ、どん
なに宗教を否定していたとしても、どこかの教団に所属していたとして
も自分教というカルト信仰の信者になっていることでしょう。

皆さんも、今一度、ご自分の思想がどこに有るのか考えてみてください。
どの思想グループに属しているのか?
どんな自分教になっているのか?
自己中という信仰を信じていないかどうか?

この部分の探求、調整、理解、説得なくして
世界平和どころか各人の心の平和も訪れるわけはないでしょう。



© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: