がちゃ☆がちゃ

それでも朝はやってきた 2005.6.28






と思いきや、不思議なもので5日間の寝不足がたたったのか?
父の計らいか???二人ともよく眠れた。

朝は5時ごろに目が覚めると、母が父に新聞を読んでいた。

病院を出るときに、
「口が閉まらないので紐をかけさせていただきました。」
と言われたひもが、レース製のあごひもで赤ちゃんの帽子みたいに見える。
父にはちょっと合わない。

いやいや全然合わない。

なんとも間抜け顔で、私はかなりいやだった。
母も、
「お父さんは出っ歯だから、口が閉まるわけないよねぇ」
と、あごひもをはずして欲しいと思っているようだった。


母と、二人で話しこんでいると父がその様子を聞いて、ニコニコというか
ニヤニヤしているように思った。
いつもの光景だった。


母が父に言う。
「お父さん、病院にいるときに、お父さんが治るのならば私は海外旅行には
行かないよ!って、言ったけどお父さん治ってくれなかったから、私ゃ海外旅行に行くよ!一緒に行きたかったら起きておいで。」


なんとも、母らしい。


おかしいはずなのに、涙が勝手に出てくる。

朝食を済ませると、町内の人がやってきて、お通夜の準備に取り掛かる。
私は、ちびっ子を連れて外に出ることにした。
祭壇や、お花などが飾られるときに邪魔になるから・・・・

でも、そのほうが気持ちが紛れてよかった。
家の外にいると、すべてが嘘だったような気がしてくる。
だから、私はすすんで子どもたちを連れ出していた。


しばらくして家に帰ると、祭壇が出来上がり、父もお棺の中に納められていた。
顔を見に行くと、気に入らなかったレース製のあごひもは取り外され、メガネを
かけていた。

その姿は、リビングで転寝をしているときの顔だった。






気持ちよさそう・・・





気が付くと雨が降り出した。
今週は雨は降らないという予報だったのに・・・
お父さん、泣いてるのかな?


私は何をしていいか分からず、考えていた。
そうだ、鶴をつなげよう。
みんなが願いを込めて折ってくれた鶴。
いったい何羽くらいになっているかな?
そう思いながら、鶴をつなげていた。



お通夜にはたくさんの人たちが来てくださった。
お花もたくさん届いた。
父の人柄だと葬儀屋さんが言っていた。

父の顔を見た人はみんな泣いていた。
何でかな?

62歳って若いのかな?
若いよね。
それより、突然だったことがみんなショックだったらしい。

私の高校時代の友達もきてくれた。
知らせていなかったのに、実家の前を偶然通った友達が心配して尋ねて、父の事を知り、
ほかの人に連絡してくれたとか・・・・

みんな父と一緒に食事したり、遊びに行ったりしたので泣いてくれた。

父が倒れてからと言うもの、毎日毎日が長く感じていたのに、昨日からはあっという間に
1日が終わる。
今日は特に蒸し暑い日だった。



今日も親戚の人たちが家に泊まり、父のそばで眠ると言う。
私は自分の部屋に入ると、久しぶりにすぐに眠ることができそう。
やっぱり疲れたのかな?

明日の天気は曇りらしい。


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