大地獄


俺の生前の行いからすればここが天国か。
あーあツマラナイ人生だったなぁー。結局思い出すのはよぼよぼのじいさんだけ。
せめて千人の美女に囲まれたかった・・・・
いや贅沢は言わないから百人・・・いや十人・・・・いや一人でも・・・・
天国では楽しく生きよう・・・・)
さぎりが目を開けた瞬間、そこにはムサク武骨な顔が目の前にあった。
驚いて周囲を見渡す。
男、男、男、男の山。
(なんてこったいな!!!俺は地獄に来ちまったらしい。
しまった!!!!じいちゃんのいうことちゃんと聞いておくべきだった!!!!!!
俺はこの後この地獄でこいつ等に・・・・・に・・・逃げなきゃ)
しかし、手足が縛られ身動きが取れない。
(こ・・・こいつはまずいぃぃぃぃぃぃぃぃ)
そのときであった。
「貴様ぁぁぁ―――どこの手の者だぁぁぁ―――」
「原田殿、まずは落ち着いて下され。
まだ気がついたばかり、ゆっくりと尋問すべきでござらぬか?」
「山南よぉ、こいつぁ沖田を殺そうとしたんだぜ!!!
きっちりと可愛がってやろうじゃねーか。」
「原田殿、いずれにせよ近藤局長が来るまでまたれよ。」
絶望の中、またも薄れゆく意識の中でさぎりは思った。
(地獄の人も普通に名前があるんだな・・・・)




© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: