GOlaW(裏口)

2009/01/13
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 音が、響く。
 何も無い田舎村に、悲劇を呼ぶ音が、遠く近く響く。


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 待ってました!
 ということで二年ぶりの金田一シリーズです(嬉)。

 今回は童謡見立て殺人という、現代では王道になったネタ。
 それを正面から演出することに、全力を傾けた作品と思います。
 大掛かりな仕掛けも、何代もの怨讐も無く、ただ音に拘った作りが印象的です。

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◆ 音が、意味を与える

 今回は映像の美しさや異様さを抑え、『音』にとことん拘った作りになっていたように思います。
 これまでの作品に見られた映像美や凝った造形はあまり無く、映像そのものが訴える力はあまりありません。

 あまりに静か過ぎ、何も無い村。

 モノクロームに近い、回想シーンや夜のシーン。

 時に鮮血色の赤だけが浮き上がるけれど、その他の色が印象に残ることはない。


 だからこそ、その映像に命を与えるのは『音』です。
 どこか浮かれたような流行り歌。不気味な手鞠唄。日常の物音。登場人物の独白。

『形無きものに、音が意味を与える』
 それは、物語の中で重要な要素でもあるんです。

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◆ 唄が、殺意に形を与える。

 『形無きものに、音が意味を与える』
 その一つが、犯人の殺意でした。

 ずっと燻っていた殺意に、『どうすればいいか』という形を与えてしまったのが、この手鞠唄でした。
「単に符号が一致したから利用した」

「符号が一致してしまったことが、憎しみが殺意への昇華を助けてしまった」
という悲劇こそが重要なのでしょう。

 形さえ無ければ、たとえ心の底に秘密と悪意を秘めていても。
 他の誰かが傷つくことはなかったのに。

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◆ 弁士は無声映画に命を与え――。


 無声映画に声を与え、意味を与える職業です。

 作者がモテる職業としてこの職業を選んだのも、一種の隠喩だったのだろうと思います。
 この『他からの要因によって、殺意が形になる』ということに対しての……。


 ちなみに余談ですが。
 ドラマの中で『神戸』という地名が繰り返されましたよね。これは神戸が映画ブームの始まりの地だからです。
 神戸は港町らしく『来る者拒まず、去る者追わず』という特性があります。ここで始まり、日本各地に広がったものは、映画の他にもたくさんあります。(今でも、私の好きなTRPGを普及させたグループSNEのお膝元です)
 ただ、地元に根付かせる力が無いのが困ったところですけどね(苦笑)。

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◆ この人は反則です(苦笑)

 今回は本当に『音、声』が物語の中心でした。だから特に集中して耳を澄ましていたんです。
 ……そしたら、いきなり酒場の責任者が朗々と弁舌を振るい始めて、噴きました。

 この人、恐ろしく聴き覚えがあるんですが(汗)。ひょっとして、声優さんじゃないですか!?

 確信はありませんが、おそらくは『北斗の拳』でナレーションをやっていた人ですね。
 いや、まさにこのシーンのためだけの見事な配役でした。

 ……アニメ好きの人間としてはひっくり返りましたけどね。

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◆ 映画に見立てたラスト

 もう一つ噴いたのは、金田一耕助の弁舌でした。
 ……いえ、稲垣君好きの私にはサービスシーンでしたけどね(おひっ)。

 何度も凄惨な事件に出くわし、恐れと悲しみを覚えていながらも。
 それでも事件への強い好奇心と、客観的に受け止めてしまう部分があるんですね。
 だからこそ、彼は次々に事件に立ち向かうことができるのかもしれませんね。

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◆ 耕助のの孫の話

 ……さて、『悪魔の手鞠唄』を見て、『金田一少年の事件簿』を思い出した人は何人いたでしょう?
 私も耕助の孫の『金田一一』の話は全巻読んでいるので(管理人もこっそり『明智健吾の実写配役には稲垣君を』派であります)

 その中に『からくり屋敷殺人事件』(…で、合ってるよね?)という話があります。
 その話では、『悪魔の手鞠唄』の橘警部のように、一の理解者である剣持警部が未亡人に恋心を寄せているのです。

 思わずこの二つの話を重ねて見てしまいました。

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◆ そして、犯人は狂う

 犯人が狂っていく最大の要因は、やはり娘殺しでしょうね。
「確認してからやれよ」
とは我が知人の言葉ですが(苦笑)。
 この衝撃によって、完全に狂ったのでしょう。

 最後に幻を見たのは、彼女の精神が完全に崩壊したからでしょう。
 そして彼女は、その無声の幻に自分で欲求を重ねていきます。
 残酷な現実から、逃げ出したい――と。

 自分で命を絶てない弱さと、自分の過ちを正視できない弱さ――その他の諸々も全て幻に押し付けて。

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 今回は事件のスリリングさよりも、静かに耳を傾ける一作でした。
 でもそれもまた、良かったと思います。

 次の作品も期待していますね、スタッフ様。ぜひ続編をお願いします。

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 愛憎は悲劇を呼び。
 綻びた心は、破滅へと導く。





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Last updated  2009/01/13 04:25:13 PM
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