二つの国語



人口が450万人前後の国ノルウェーでは、
もちろん、ノルウェー語が話されている。

このノルウェー語には、二つの標準語がある。
一つは、ブックモールと呼ばれるノルウェー語、
そしてもう一つはニーノシュクと呼ばれる新ノルウェー語である。

両者ともノルウェー語なのだが、新ノルウェー語の方は
西側地域の方言を元に、比較的最近(たしか100年位前)に
制定されている。

どちらかが判ればどちらも理解できるが、書き言葉になると動詞の活用や
形容詞の末尾部分や、その他の単語に、微妙な違いがある。
その微妙な違いが、難しいのである。

たとえば「難しい」,英語の”I",”not""school"はそれぞれ、

ブックモールでVanskelig, jeg, ikke, skole
ニーノシュクでVanskeleg, eg, ikkje, skule

どちらの言葉を使うかはそれぞれのコミュニティーの選択に任されている。
ニューノシュクを選んだほうは、学校での国語や新聞その市や町の公式文書、道路標識などは、ニューノシュクで表示される。
とはいっても8割がたは、標準語であるブックモールのほうを取り入れている。

私が玉砕した試験に、2種類ペーパーを書かなくてはならないものが
あった。一つはブックモールでもうひとつはニューノシュクで書けと
言うもの。ノルウェー人でも難しいっていってるのに、
私に書けるわけがない。結局パートナーに文章の添削をお願いしたが、
文学専攻の彼のニューノシュクの力も怪しいものだった。頑張ってみたが
やはり落第。

外国人である私が言ってもなんだが、どうせなら一つにしたらいいのに、
と思う。英語とフランス語は一緒にできないけれど、
これは両方ともノルウェー語なのだから。
人口、東京の三分の一の国で、二つ標準語を持つというのは、
その労力がもったいない気がする。
実際国会でも新聞でも議論されているトピックの一つだ。

でも少数派であるニューノシュク派の人たちは、
地域の言語を大事にしたい、歴史があるということで、
それはだめだと譲らない。
この論議はノルウェーではなかなか終わりそうにない。




© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: