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2008年07月25日
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カテゴリ:
先立て、沿岸漁業の漁師さんたちが、原油価格の高騰を受
けて一斉に休漁するということが大々的に報道されました。

この影響を受けて、市場関係者が近海魚介類の品薄などに
ついてコメントする報道もなされました。これは消費者へ
の影響を考えてのことでしょう。

しかし、今回の一斉休漁は原理的におかしいことに気づか
なければなりません。

漁師が、出漁するのに必要な原油の調達価格が上昇したと
いう理由で、出漁するか休漁するかは任意の経営判断です。


結果です。

今回の報道をみると、漁師の一斉休漁は原油価格が高騰し
て死活問題だから、政府に支援を求めて全国規模で「まる
でストライキのように休漁して」アピールする、というも
のでした。

ストライキというのは、被雇用者(いわゆるお勤めの方、
従業員)が給与が安すぎること等に抗議して行うものであっ
て、自営業者である漁師にストライキというのはあり得ま
せん。

漁師が出漁して、操業し、帰港して出荷する、というプロ
セスにおいて直接必要なものは、燃料と人件費ですね。


処理とは別に原理的に考えると、直接費として認識できます。

一方で、売上というのは水揚げ量や市場の需給により、市場
でのセリで決定します。

つまり、出漁に応じて直接必要な直接費が上昇し、売上は
市場の動向によって上下してしまう(売価を直接交渉できず、

問題だということなのだろうと思います。

しかし、船の移動に必要なエネルギー源は原油に限りません。
原理的にいえば、帆掛け舟でも人間が漕いでも舟は進みます。
昔の漁師さんはそれで漁をしていました。

原油価格が高騰して大変なのであれば、よりコストの低い
エネルギー源の確保に乗り出すとか、より高く売れる魚の
漁にシフトするとか、同じ魚でも大きな船で出漁することに
よって燃料費率を下げる努力をするとか、市場での値付けの
システムを見直すとか、場合によっては漁獲量を調整して
市場への供給量を計画するなど、全国一斉に休漁する団結
力があるのなら、創意工夫の余地はたくさんあります(ここ
では、他の業界も燃料費高騰は同じ条件だとか、食料自給
率の問題だとかは別とします)。

「そんなことでは仕事にならねぇ!」という反論があろう
かと思いますが、燃料が高くて生活できないから一斉休漁
で政府が支援しろというのは、大の大人が何も考えてない
のと同じで、経営者として失格です。

経営者ならば、固定費を下げ損益分岐点を下げる努力に常
に取組まなくてはならないのは当然です。

こんなことが大きく報道されるのは日本の恥ですから、報
道機関も報道のあり方をジャーナリスティックなものにし
てもらいたいとすら思います。


さて、今回の燃料費高騰により、同じく食料を供給している
業界でも大きな影響が考えられます。

それは、冬にハウス栽培をしている農家です。

農家では、大都市近郊を中心に、冬の時期に農作物を供給
するためにハウス栽培をすることが一般的です。このハウス
栽培では、冬場のハウス内や土の温度を上げるために、ボ
イラー等の暖房設備が使用されています。

ということは、今年の年末から来年のお正月向けの農家の
野菜栽培において、燃料費の高騰の影響が漁師さんとまっ
たく同じ構造で問題となることが予想されます。

日本の農家の皆さんは、当然自営業者ですからストライキ
のようなことをしても売上や収入が上がることはありません。

農協や政府に抗議をしても、農協や政府が原油を作って農
家に供給してくれる訳でもありません。せいぜい低利の貸付
で借金が増える程度です。

さらに冬場は原油の需要期に当たりますから、現在よりも
原油価格が高騰することが十分に考えられます。

だからこそ、いま冬に向けて十分に時間のあるうちに対策を
考えておくべきです。

●燃料費が高騰したら幾らまで耐えられるのか
●栽培予定の作物を切り替えるものもあるのではないか
●暖房を使用する前に収穫できる作物にシフトできないか
●そもそも燃料がなくても栽培できる作物は選択できないか

もちろん、先に漁師さんのところで考えたように、

●よりコストの低いエネルギー源の確保に乗り出す
●より高く売れる作物にシフトする
●暖房効果の向上によって燃料費率を下げる努力をする
●市場での値付けのシステムを見直す
●出荷量を調整して市場への供給量を計画する

なども併せ込んで考えることが大切です。

冬野菜の栽培は、準備を含めれば夏から始まります。
今から対応していれば十分に間に合うでしょう。

日本では、とかく同業者組合があるような業界において、
本来の事業主体が目指すべき方向よりも、団体等の間接
的な意思の意向が強く働く傾向があり、原理原則を大幅に
逸脱する論調が社会で認知されがちですが、まったく見当
違いな打ち手をするために問題解決が計られない、または
先送りされて問題が(いくらか)解決したと錯覚するような
ことが多々あります。

今回のケースは、まさにこの悪しきパターンに当てはまっ
てしまっています。

日本の農家の皆さんがご自身で考え、ご自身で判断して、
将来を切り開いていかれることを切に願っています。

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Last updated  2008年07月25日 20時55分05秒
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