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2019.07.26
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カテゴリ: 時事


商才発揮が広げた波紋 ふるさと納税、泉佐野市VS総務省の行方 - 記事詳細|Infoseekニュース
「ふるさと納税」の新制度が6月に施行された。総務省は大阪府泉佐野市など4市町を「過度の返礼品で多額の寄付を集めた」として、参加自治体から除外。泉佐野市は平成30年度の寄付受け入れ額が約498億円(約250万件)と全国の自治体を圧倒していた。財政難からの脱却を目指して発揮したお役所らしからぬビジネス感…



商才発揮が広げた波紋 ふるさと納税、泉佐野市VS総務省の行方
産経ニュース / 2019年7月26日 9時1分

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 「ふるさと納税」の新制度が6月に施行された。総務省は大阪府泉佐野市など4市町を「過度の返礼品で多額の寄付を集めた」として、参加自治体から除外。泉佐野市は平成30年度の寄付受け入れ額が約498億円(約250万件)と全国の自治体を圧倒していた。財政難からの脱却を目指して発揮したお役所らしからぬビジネス感覚が、国のおとがめを受ける結果になった。(牛島要平)

窮余の一策

 「攻めの財政再建を」。泉佐野市の千代松大耕(ちよまつ・ひろやす)市長がそう方針を示したのは、平成24(2012)年6月だった。

 同市は沖合に建設された関西国際空港の開港(6年)に伴い宅地造成や病院建設を進めたが、バブル崩壊で税収が低迷。平成20年度決算で、財政健全化法上の再建計画を求められる「財政健全化団体」に転落した。

 窮余の一策として千代松市長が打ち出したのが「ふるさと納税の拡充」だった。それまで市は泉州タオルなどを返礼品に寄付を集めていたが、23年度の寄付額は約630万円(48件)にとどまっていた。

 そこで、タオルだけでなく特産の水ナス、タマネギから「関空周辺のクルーズ体験」まで幅広く選べるようにしたところ、24年度には約1900万円(468件)の寄付が実現した。



 現在までふるさと納税を担当してきた同市の阪上博則・成長戦略担当理事(47)はそう振り返る。

異例の快進撃

 ただ、阪上氏には危機感があった。返礼品は肉、コメ、カニが「三種の神器」と呼ばれ、これらを特産品に持つ自治体は寄付額1億円を超えていた。「泉佐野にも特色ある返礼品がなければ集めづらくなる」

 提案したのが、関空を拠点に事業を始めた格安航空会社(LCC)、ピーチ・アビエーションとの連携。26年6月から、ピーチの航空券と交換できるポイント「ピーチ・ポイント」を返礼品として提供した。

 26年度の寄付額は前年度比約10倍の約4億7千万円(約2万4千件)に急増。阪上氏は「ピーチ・ポイントが市のふるさと納税サイトに寄付者を呼び込み、他の返礼品の提供も増やす相乗効果があった」と話す。

 阪上氏は26年4月~28年3月にピーチに出向。「他と違うことをするのが成功の秘訣」と教わった。このころ、ふるさと納税の民間サイトが登場したことなどをきっかけに返礼品競争が全国的に過熱していた。

 「去年は(返礼品で)イチゴが人気だったね、今年は何かな」

 市担当者の間でそんな会話が交わされるようになった。サイトに表示される返礼品の人気ランキングは入れ替わりが激しい。画面をにらみながら返礼品の取引業者に連絡をとり、新しい品物を毎日投入した。

 「肉の泉佐野」を掲げ、市内の老舗焼き肉店が全国から仕入れた国産牛を、宮崎県の「都城和牛」と対決させる「肉対決」も企画。百貨店やスーパー顔負けのアイデアを次々実行した。

 同市へのふるさと納税寄付額は29年度に他の自治体を大きくしのぐ約135億円(約86万件)に達し、全国トップに躍り出た。

国がブレーキ



 泉佐野市は「地場産品規制は、特産品の豊富な自治体とそうでない自治体に格差を生じさせる」として取り下げを求めたが、総務省は「地域資源を活用し、地域の活性化を図るのがふるさと納税の重要な役割」とかたくなだった。

 同市などがネット通販大手「アマゾン」のギフト券を返礼品に上乗せしたことも、国側の神経を逆なでした。今年3月、通知内容を法制化する改正地方税法が成立し、6月から新制度がスタート。「取り組みを見直さなかった」として、泉佐野市や和歌山県高野町など4市町は参加自治体に指定されなかった。

 泉佐野市は除外を不服として、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ている。阪上氏は「ふるさと納税には都市と地方の税収格差の是正、自治体間の自由競争の推進という目的があったはず」と指摘するが、国側との議論は平行線だ。

 改正地方税法の規定に伴い、今回除外された自治体は来年9月まではふるさと納税に参加できない。それ以降も指定を受けなければ、泉佐野市はふるさと納税でためた資金も底をつく。それでも市は「寄付者も自治体も納得できるふるさと納税を追求する」として、論争を続ける姿勢をみせる。

 ふるさと納税の運用で抜群の“商才”を発揮した泉佐野市。地方財政の苦境が続く中で、一石を投じた波紋はなおも広がっている。







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最終更新日  2019.07.26 12:10:38
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