日常＝退屈？
零の話「青空から曇る」
青く澄み切る空を一人の少年が窓辺の席に座りながら見上げていた。
「あぁ～、退屈すぎる授業だな。」
少年は独り言をぼそっと口にした。
授業は数学であった。
「数学とか、図形とか、計算とかなんやらかんやら意味わっかんねーよ。」
また独り言を言う。
その時、ポカッと何かで叩かれた音がした。
そのポカッという音はどうやら少年の頭に叩かれた、一冊の本で鳴った音である。
「こら、てめぇ何処見てんだ。黒板はあの空じゃねぇぞ！！」
少年は、それを聞くフリをして何一つ耳に入ってきていない。
「真っ正面むけぇ！！」
頭はいかにもカツラをかぶってるような太り気味の先生が怒鳴る。
その怒鳴り声は廊下にも少し響いたようで、隣のクラスの寝ている子が目をさます。
「ハイ、スイマセンでした。」
全く反省の態度も見られない様子で、声に力もなく言った。
それで、「もう駄目だこりゃ」とでも思ったのか、カツラかも、いやカツラの先生は教卓の前に戻った。
どうたらこの先生はカツラのようで、不良の生徒、いわゆる『悪』の生徒達に注意した時に不良の生徒に髪を引っ張られカツラがとれたらしい。
さらにこの学校ではそういう『話』。いわゆる噂が流れるのが早く。
５００人あまりいるこの中学校に二日～五日でまず全校生徒に伝わるらしい。
☆
「たっく、あのズラのじじいうざくねぇ！？」
その少年は休み時間に友達とそんな話をする。
「あ～、うざいな・・。まじで何様だ？アレ」
友達の一人、リーゼント頭の、井口 光夜（いぐち こうや）が言い放つ。
「おっ、今頃気付いた？、あのハゲさんの神様ぶりにさぁ！」
金髪に染めた少年。早野 幾矢（はやの いくや）がその話にのる。
「あれが、神様？。この世も腐ってるんじゃねーの？ソレ。」
少年はみんな話に乗ってくれて気持ちが高ぶる。
「あいつ、神様って自分だぁ！なんておもってんじゃねぇだろうなぁ！」
早野は嫌な口調で言い放つ。
この会話は回りから見れば、もう言うまでもないだろ。と思う会話でもあるのだ。
「なぁ！みんなぁ！！ハゲの奴うぜぇよな！！」と叫ぶ早野
「俺に向かって言ったあの時の態度からして偉そうだよな！！」と続いて言う少年
「いいかげん、首にしたくないかい？」とウィンクしながら言う井口
みんなは一斉にうん。とうなずく。
☆
「退屈だよな。」
このように少年はこの言葉を口癖のように言う。
だが彼はまだ知らない、「退屈」と言う言葉から生まれる悪夢にはまだ気付かない。いや、気付きはしない。そして自分がどんな目にあうのかもさえも。
その悪夢を防ぐためさらに「色々な人」が動いてる事さえも分からない。
◇
「じゃあな。俺行ってくるよ。」
黒いマントを身にまとった一人の「特殊な力」を持つ少年が扉を開けた。
「いってらっしゃいね」
母親の奈美子は笑顔で見送る。
「無事で帰ってくるよねぇ？」
心配そうな口調で少女・凛那（りんな）は言う。
何いってんだ。とも言うかのような顔で少年は「馬鹿もん、お前俺を誰だと思ってるだよ？」と言い、笑顔にすぐ変わる。
「私も明日になれば行けるから、無理だけは・・・」
「無理はしねぇよ。お前が来る頃には事件は解決してるって。」
少年と少女・凛那の会話が終わると少年は家を出たｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ。
一の話「退屈は禁句♪」に続く・・
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