あんよは上手 ♪

あんよは上手 ♪

04えちごくびき野100キロ


2004.10.9(土)

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アート鈴木君から頂いた、私のお気に入りの1枚です。これは終盤ですね。


仕事を終えすぐそのまま利君と哲と直江津駅を目指す。
東京から2時間25分で到着。台風22号の接近に伴い雨続き。
ライグリさんはすぐホテルに向かったが、私とサロマン君は初100キロということで超お祭り気分。駅前の居酒屋にて焼酎、日本酒を少々たしなむ。
同じカウンターで飲んでいた二人連れもランナーらしくランの話で盛り上がっておりました。翌日は早いのでそろそろ退散。
タクシーに乗りコンビニ寄ってルートイン上越に到着。

睡眠時間は3時間半。アルコールが少し残っているようです。
早朝ホテルのフロントはランナーだらけ。
4時前なのにレストランにはおにぎりや味噌汁などのありがたい朝食が用意されていてとても助かりました。
「ザ-」っと外は相変わらず雨。
真っ暗な中、傘をさして会場のリージョンプラザ上越まで約15分近く歩きました。


会場の雰囲気にいつものようにお祭り気分のほどよい緊張感。
私のウエアは風を通さないフランクショータ-、下はナイキの短パンに五本指ソックスとアシックスGEL-1080。
今回は下半身のサポートより冷却効果を優先したのでCWXロングタイツはやめました。

外のスタートゲートから会場内までスタートを待つ人の列が続き、スタート間近になるにつれ、会場内からゲート方向に人の波が吸い寄せられます。
外は激しい雨。外に出ると急に冷え込む。
皆、カッパやビニール袋をかぶってます。
雨よけのためにかぶるゴミ袋を忘れたことを後悔しましたが、そのネガティブな気持ちが走り続ける意欲を萎えさせるのでその雑念を捨てるのだ。


そして5時30分、号砲が鳴りスタート。
トップ集団はいざ知らず、私は後方スタートなので和やかに「行ってきまーす!」てな感じでやはり遠足気分です。
薄暗い中、皆、水たまりを避けて走っています。
すでにシューズ内がぐしょぐしょの人もいそうです。

しばらく田園を走ります。10キロタイムは1時間8分48秒で通過。
キロ7分弱、理想のペースです。
初の100キロ挑戦ではあるが、目標は13時間くらいでしょうか。
しかしこの先、どれほどの峠道が待っているのか、どれほどエイドに立ち寄ってしまうのか分からないので、やや遅いペースかもしれません。


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途中、前を走っていたはずのアート鈴木君が後ろから追いつき、トイレロスを取り戻すかのようにに奥さん目がけて駆けて行きました。
あっという間に小さくなる後ろ姿を見ながら「俺達、このペースで大丈夫だろうか」と少しだけ心配になりました。
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30キロ過ぎて第一峠に入るが辛さは感じない。この辺りで「行ける!」と手応えを感じる。
富士五湖77キロの時は、20キロも行かないうちに足が痛み出したが、今日は好調の兆し。峠も歩くことなくゆっくりペースで駆け上がる。
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この大会ではあちこちに独特な手作りの標識が目立つ。
一瞬疲れも忘れさせてくれる。


第二峠あたりで並走しているサロマン君が急におとなしくなる。
最初の頃は二人で沿道の声援全てに挨拶で応えていた。
彼は走りながらもゴール瞬間のポーズ練習までして余裕をみせていたのだが、この辺りの峠では顔が痛々しそう。

下りに差しかかると気がつかずに通り越しそうなくらい目立たない42.195キロの看板の側で気分転換に屈伸。


第一関門47.4キロの安塚町町民会館を制限時間40分前で通過、この調子では第二、第三関門はしんどそうです。

ここのエイドで1回目の着替えをします。
雨でびしょびしょのウエアから新しいウエアにゼッケンを付け替えるのに結構手間取ります。
さすが着替えたばかりのウエアはさらりとして気持ちがいい。
全天候型フランクショータ-ウエアとゲルフェザーに履き替え気分一新でスタート。
しかし、エイドで立ち止まるとさすがに寒いです。

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40~50キロ間は1時間27分、キロ9分弱のペース。
50キロを過ぎたら途端にサロマン君が虫の息。
ここから第三峠。気がつくと横にいない。
振り向けば例の痛々しそうな顔をして歩いている。
いや、立ち止まっています。
最初のうちは走りながら「ハッ!」「ハッ!」と気合を入れてました。
でもその耳障りな声も今は聞こえません。

しかし、私も頂上付近の昇りから突然眠くなりサロマン君と一緒に歩いてしまいました。
歩きながらも眠っていたようでこの辺りの記憶はほとんどない。
スタッフの方々から「ガンバ!」という声援がかかる度「ありがとうございます」と応えていたことだけは何となく覚えてます。

50~60キロ間は1時間41分。キロ10分以上もかかってしまった。
エイドで私はトイレに行き、その間サロマン君には先に行ってもらった。
後から追いかけた。
いいペースでサロマン君は走っていた。でもかなり重そうだった。
しかし、このペースで走っていたら次の関門は間違いなくアウトだ。

残りの約5キロをキロ5分ペースで通過しなければ無理だったのでサロマン君にムチを入れる。
いや、激励する。そしてペースを上げる。

自分はリタイアするなんてありえない。帰ったら娘達に自慢するのだ。100キロは走り始めた頃の目標だった。
何がなんでも完走してやる。リタイアするわけにはいかねーぞサロマン君!ついて来い!と並走するサロマン君に心の中でつぶやきながら、かぶっていた帽子をぬいで、その帽子のつば裏に娘達に書いてもらった応援メッセージの部分をぎゅっとつかんで、さらにスピードを上げました。

そして絶対ついて来いといいながらも彼を置き去りにしました。
ガ~・・・・・バイバイ、サロマン君・・・君もがんばって着いてこいよ。俺はもう振り向かんぞ。


ここからどんどん追い抜きました。今はキロ5分か4分代か…と考えながら突進するイメージです。
なかなか関門が見えず焦る。途中のスタッフに残りの距離を聞きましたがよく分かりません。
「もうあと4分で関門だ!間に合わないのかどうなんだ。」さらに加速。
腹筋と足の痛みを感じる余裕はなかったようです。
途中エイドからは「がんばってー」とすごい声援をもらいますが給水も取らず先を急ぎます。
しかし、関門が見当たらない。

「確かもう制限時間ではないのか?」「間違っていたのか?」でもあきらめず飛ばし続けます。そしたら突然70キロの看板が目の前に。
「ん…?」
どうやら先きほどの声援のすごかったエイドが関門地点だったようです。

結局60~70キロ間の第四峠は1時間ちょうど、キロ6分でした。
今年の富士五湖77キロの頃にくらべると、明らかに自分の進歩を感じるぞ。


最後の第五峠に差しかかる所でアート鈴木君が歩いていました。
もうずっと先に行ってたと思っていただけに、ここで会えたということはまだまだ完走はありなんだな、と地獄で仏に会った気持ち。


最後の峠を二人で走ったり、歩いたり、走ったり、歩いたり。
下りは緩やかでも腹筋と両すねのダメージは辛く、歩いて下るだけでもこたえます。

やっと78.6キロの吉川町役場が見えた。
ここで、ゼッケンナンバーと名前を少し手前からアナウンスで呼んでくれる。
またまた声援がすごい。
すぐ着替えを中学生ボランティアが届けてくれる。(わざわざありがとう)
2回目の着替えだ。
やはりゼッケン替えに時間は5分程かかっていたのではないか。

着替えを済まし、アート鈴木君から笑顔で辛いお言葉が…今16時25分。
次の制限時間は16時55分。
「っつうことはだ、あと7キロを30分で通過しないといけないわけだ」(キロ5分ではなく、4分代ということか…4分代前半?…計算が面倒だ)
「よし、行こう!」すぐスタート!しかし、情けない、自分の足じゃないようで歩くだけでも痛くてぎくしゃく。
時間がないということは知っていたが、へべれけになってくるとおつむまでへべれけになってきて計算ができない~。
アート鈴木君、後はよろしく頼むよ。

「5分ペースだったら行けるかなあ」なんて確認しながら進みます。
「80キロ弱走って来てこれから4、5分代ペースで走れるもんなのか」と一瞬思いましたが、すぐ「絶対完走してやる」「痛くても倒れるまで走ってやる」と気負い込み猛ダッシュ。

足が動いている感覚が完全に鈍っています。
関門手前の国道に差しかかる直前、行ったり来たりしていた鈴木君が追いついてきた。
「この信号につかまると危ういです」と鈴木君。
が、つかまってしまった。「ガーン!」と思いながらも少し休める。

あと関門までどれだけの距離があるのか。鈴木君が「あの左手の茶色い建物がそうです。500メートルくらいです。
信号がやっと青にかわり「ようし、ダッシュしよう!」
冷静に考えればあと5分くらいあったのだが…。

次の関門は、前もって鈴木君に借りて見た2年前のこの大会のビデオの印象が濃い。関門に間に合わず肩を落としている場面が強烈に焼き付いていたので無我夢中でダッシュした。
しかもこの先昇りです。
うわ~遅れるな~・・・・・


85.2キロ柿崎町役場、なんとか通過。かなりホッとしました。
「あとはゴールだけだね」タッチを交わす。


その後はまた歩き、走りの繰り返し。しばらく行って少しほっとしたのかゴールのことを思ったら不覚にも涙がでそうになってしまった。
まだこの先何があるのか分からないのに、と気持ちを切り替える。

なんとか台風直撃は免れたみたい。
ほとんど今日は雨降りだったが、この辺りにきて、晴れ間が所々に見えてます。そして日本海沿いを走る。

そろそろ日没。残り10キロ少し、鈴木君に「あと何分ペースでいけば大丈夫?」と抜きつ抜かれつしながら時々聞きます。

80キロ地点でタイムを測ることを忘れていた。70~90キロ間は1時間54分。
キロ6分をきってます。
一体どんだけかっ飛ばしたのだろうか…。
最後の峠は歩き交じりだったので、後半のペースは間違いなく4分代を続けたのだろう。火事場の馬鹿力ってあるんだよな、やっぱり。

もう真っ暗。雨足もまた強くなってきた。
浜沿いに入る手前で反射板がついているたすきをもらいます。
浜沿いはかなりの土砂降り。
鈴木君がこの先にあるエイドで海賊汁を食べますかということなので、残りのペースを聞いたら、食べなければキロ8分半でいいという。
しかしやはり食べたい。汁だけでもすすりたい。

真っ暗な道路をずっと行くとありましたよ92.2キロのコミュニティーセンターエイド。
着いた途端、薄明かりの中から黄色い声援。ここでもボランティアの女子中学生達が熱いおもてなし。
海賊汁を「ずずっ」とすする。「暖かくて旨い…」カニも食う。
「暖かいおしぼりどうぞ~」。いやあ最高!「いやあ、生き返るよ!」皆に挨拶してすぐ出発。
「がんばってくださーい」「絶対完走でーす」
なんか瞬間でもヒーローになった気分でした。


あと約8キロ。残り時間は56分です。
しばらく行くと急にサーチライトの明るさに驚く
間隔をおいて設置されたサーチライトがランナーの足元を照らしてくれる。田園地帯に入ってすぐ突風が吹き付ける。
かなりペースダウンしてきた。
また、歩きたい気持ちでいっぱい。
残り時間を見れば歩いている場合じゃない。
歩けば次に走り出す困難さが付きまとう。
「長い…」なかなか距離が縮まらない。

「あと6キロだよ、ガンバ!」とおじさんが家の前で応援してくれる。
「よーし!ありがとうございます!」もくもくとゆっくりペースで走る。


「もうあれから1キロは走ったよな…」すると「あと6キロで~す。がんばって~」という声援。
「え?何?………」
「そうだよな、さっきのあと6キロって6.9キロの事だったのかもしれないし、今のも5.9キロを約6キロって言ったのかもしれないし…」
しかし縮まらない。海賊汁を食べた後から残り5キロをきるまでの距離はかなり長く感じた。

残りやっと3キロだった頃か、急にペースが上がる。
自分と鈴木君の完走を確信したので鈴木君に「先きに行ってるよ」
握手で別れた。アート鈴木君はいつも笑顔だ。
いつもカメラを片手に走っている。
カメラをポーチから取り出して撮るなんてちょっとした行為にすぎないのだがこれがなかなか走っている時は取り出すことがおっくうなのです。
なかば仕事も含まれているかもしれないがたいした人です。私なんか今回、7枚しか撮ってないよ。
今回も側にいてくれていろいろお世話になりました。

ラストスパート!
少し行って、前方にアート鈴木君の奥さんランナー華さんがいる。「今来ますよ!」と彼を指差す。華さんに「お先です!」

さらにスパート。何十人追い抜いただろうか。
沿道がかなり賑やかになってきた。
「もう少しだぞー」「もうゴールでーす」「おつかれさん」


いよいよゴールゲートのある通りを右に折れる。
声援がさらに増す。女性スタッフが側に来てたすきを受け取ってくれ、「反射してゴール写真が映りにくいので着ている袋を脱いでください」というのでその場で捨ててもらいました。
途中エイドで「寒くないですか?かぶりませんか?」と言ってかぶせてもらった袋はおおいに寒さしのぎできました。袋さん、ばいばい、ありがとう。

もう目の前はゴールです。
私のゼッケンナンバーと名前をアナウンスして迎えてくれます。

沿道にはびっしりと皆が声援を送り続けてます。

このゴールの花道はなんともいえない気持ち良さです。「熱い!!」
きっと脳のアドレナリンはものすごく放射されていることでしょう。

タイムは制限時間6分前の13時間24分。
ゴールの瞬間、サロマン君が私の名を呼んで写真を撮ってました。

すかさず、女子中学生が私の首に完走メダルをかけてくれ、何を飲みますかと聞いてくれたのでスポーツドリンクをもらいました。
そして側のパイプ椅子に誘導してもらい、何か食べますかと聞かれたので豚汁をもらいました。毛布はいりますかというのでもらいました。
この間二人の女子中学生のお世話になり、一人は荷物を取りに行ってくれている間一人が話し相手になってくれました。みなさん、ほんとにありがとう。

間もなく鈴木君夫妻もゴール。
先きを行っていたライグリさんは13時間2分でゴール。サロマン君は第二関門で時間切れ。

この大会は、絶えまない声援が元気の源になり、お年寄りも雨降りの中家の前で声援を送ってくれたり、2階建ての家の窓からも声援があったり、単身家の前で声援送る人、大勢で井戸端会議しながら声援する人、ハイタッチを求めてくる子供やおばあちゃんもたくさんいました。
学生から大人のスタッフもひとりひとり必ず声をかけてきます。

山中にも間隔をおいてスタッフがランナーの安全を見守ってくれてますし、真っ暗になってもぽつんと立って応援してくれたり、エイドの食べ物もその地域ごとの特色もでていましたし、こしひかりのおにぎりも美味でした。「もっと食べて、もっと食べて。これも食べて」とか、つい話し込んで長居してしまいます。スタッフの皆さん、お世話になりました。

毎年の開催じゃないのは残念ですが、2年後をまた楽しみにしています。
ありがとうごさいました。

00~10キロ 1時間08分 キロ7分弱
40~50キロ 1時間27分 キロ9分弱
50~60キロ 1時間41分 キロ10分以上
60~70キロ 1時間00分 キロ6分
70~90キロ 1時間54分 キロ5分45秒


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