北の国から(1994)



5月31日、洗濯機が突然動かなくなった。
コヤジと結婚して名古屋に住み始めて以来、8年半。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ、雪ニモ夏ノ暑サニモマケズ
君は良くがんばったと思う。
でも、なにも今こわれなくても!

翌日6月1日、札幌への転勤が決まり、早速買ってきた地図を開くと
『サロマ湖』『オホーツク海』
なんていう文字が目に飛び込んでくる。
四国出身の主人は、学生時代を九州・鹿児島で過ごし、就職して名古屋配属、そして北海道‥。
何とまあ、信じられない気分。

私はといえば
「今、取り付け料を払ってなるものか」
と、洗濯機の種類と運び込む算段に明け暮れ、とんでもない重さに疲れ
「まるで新婚さん、新しい洗濯機ダゼ~」
きっと、そんな風に転勤をはぐらかしたかったのかもしれない。
ハハとしてゼロからのスタートをきった○○区
多くの友人と知り合い、四季を繰り返して通った公園や幼稚園は
もう兄貴ややじろべえだけのものではなくて、私たち4人の故郷なのだと気づく。



札幌は私にとって未知の街。
良いところだと聞き、ライフスタイルにあっていると感じてはいるけれど
雪にも負けないでがんばれるかな。
知人もいないのにやっていけるかな。
毎日、想いがかけめぐる。

やじろべえは去年の1月の大雪の日に札幌でスキーをしたときの冷たさがみにしみているらしく
「北海道? 寒いからヤダ~」と一言。
「雪だらけだと、なわとびもサッカーもできないよ」と心配気な兄貴。

『形の距離は心の距離』
なんて誰かがいっていたけれど、それは少し悲しすぎるじゃない?
だから勝手に
『心の距離が形の距離さ』
と置き換えて、遠くにいてもいつまでも大事にしあえる友達でいられるように
筆不精を返上して、手紙を書きます。


(♯)

切手 切手 切手



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