魔法使いの弟子 4


私は、魔法使いの弟子になりたかった
でも、私には、人を思いやる気持ち、つまり愛が足りなかった
それを身につけるためには向こうの世界で修行を積まなければならなかった
そこで、光さんは、猫族としてはとびきり長い旅をさせた

私は、お嬢にかわいがられ、いつもそばにおいて愛されるうちに、人間って本当に暖かいものだと知った
そして、いつの間にか、お嬢やこうたん、こやまを深く深く愛していた
ようやく、自然にそれが出来るようになった時、あちら側での仕事が終わり、こちら側に還ってきた
 そうだよ、とうとう愛することを、知ったのさ
ありがとう、ありがとうよ
・・・ふと気付くと、私の顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた

「かつてあなたは、猫族のプライドだけは高く、わがままで涙など流したことがありませんでした。でもあなたはやり遂げたのです。『愛を身につける』という今回の人生の目的を果たしたのです」

光さんはそう言うと、私の目の前に、大きなマント、先が尖ったつばの大きなありがたそうな帽子、それに立派なホウキを出した

「おめでとう、ちぃたん、あなたは立派な魔法使いの弟子です」

「光さん、違うんです。もう魔法使いの弟子になることなんて、どうでもいいんです。どんな魔法よりも、自分以外の者を愛すること、そして愛されることの方がすばらしいということを知ったんです。お嬢が、それを教えてくれたんです。私はこれからも1匹の猫で十分です」

「あなたは本当にいい旅をして来たわ。そうね、あなたに魔法なんて必要ないわね(*^_^*)」

光さんは、ホウキは乗り物として使うようにと教えてくれた
そして、お嬢が本当に困った時は、魔法を使ってもいいことも・・・・

光さんのところから戻ると、犬太くんが待っていてくれた
犬太くんが、バイクで飛ぶ、その後を私がホウキで飛ぶ
2人とも、長いひこうき雲をひきながら・・・・

お嬢よ、お嬢よ・・・
ああ、私の大切なお嬢よ!
あんたは、長い時間をかけて、私に愛すること、愛されることを教えてくれたね
あんたにとって、こうたんが宝物であるように、こやまが宝物であるように
私にとってはお嬢が宝物なんだ

ありがとう、ありがとうよ・・・
私は、いつもお嬢のそばにいる
そう、どんな時もさ
どうか、私が魔法を使わなくてもいいように、どうか幸せに暮らしておくれ

こうたん、ママを頼むよ。守ってやっておくれ

そして、こやま
なかなか仲良く出来なくてごめんよ
でも、最期の何ヶ月かは仲良くなれてうれしかったよ、ありがとよ
お前もあの2人を見守っておくれよ

お嬢、今度生まれ変わっても、きっとあんたの所へ行くよ
その時はまた、可愛がってくれるかい?

ありがとう、ありがとう、愛してるよ、お嬢(^^)/~~~

魔法使い







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