市民病院にお勤めの時の話です。
ある小学校の先生が、癌に冒されました。
主治医の先生に、
「いつ学校に戻れるでしょう?」
と聞いたら
「そんなことできるわけがないじゃないか!」
と怒られました。
先生は悲しくて悲しくて、泣き崩れます。
見かねた先生のお母さんが、
東京の有名な先生のところに連れていきます。
一度でいいかから、教壇に戻して欲しいと。
しかし、病状から、自宅の近くの病院でと、
帰されてしまうのです。
「何でそんなところに行った!」
地元の先生からは、机を叩かれながら怒鳴られます。
家族みんな並んで、30分以上も怒られます。
ついに、耐えきれなくなって、お母さんが言います。
「先生、あんたが、娘に、もう学校に行けない、と言うから
娘はどうしようもなく、藁をもつかむ思い出行ったんじゃないか。
あんたが行かせたんだよ。」
ある人の紹介で、外科でなく、内科の三浦先生に
相談に来られます。
ソーシャルワーカーが動きます。
何とかして、先生を学校に戻して上げられないだろうか、と。
病状は確かに悪化しています。余談を許しません。
学校の校長先生に相談に行きます。
ところが、意外なことがわかります。
その先生は、ワンマンなところがあり、
苦手としている職員の方が結構いたのです。
校長先生自身も、そうでした。
それに、当然、末期の方に来てもらう前例がありません。
当然です。
しばらくして、
校長先生が、ある病気で入院します。
そこにソーシャルワーカーが、お見舞いにいきます。
「先生、たいへんですよね~……」
そこから、糸口がほぐれだします。
少しずつ職員の心がほぐれだします。
授業参観に父兄と一緒に参加してもらおうということになりました。
子どもたちは知りません。
しかし、教室に後ろから車椅子で入ってきた姿を感じ、
すぐに「先生が来た」とピンと来ます。
しかし、子どもたちは、前を向いていなければなりません。
代理で来ていた先生が教室を出ていきます。
一斉に、子どもたちは、後ろを向き
「先生!」
しばらくして、学校中で、先生のために何かしたいということになりました。
学校の行事ではなく、別のホールを借ります。
その先生の恩師が、
癌を克服した講演会をするという名目です。
そこには、かつての教え子たちも集まります。
クリスマス会という名目で、
大勢のサンタが集まります。
先生のそばには、わだかまりのあった、校長先生が座ります。
ソーシャルワーカーの計らいです。
最後に、その先生が、マイクを握らせてくれ!と言います。
「何と、この会は私のためにしてくれたんですね。
…
教え子たちもいっぱい集まってくれて。
特にあなたたちは、手がかかる子たちだった。
しかし、あなたたちが、一番、結婚式に呼んでくれた。
…」
最後に、みんなでトンネルを作って、先生を見送ります。
これがクリスマスの日
その数日後の、1月1日に、先生は旅立たれます。
こんな話がいっぱい、いっぱいあって、胸がはち切れそうです。
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