バスガイド3


ほとんど外人の名前が付いています。

例えばシェリーとかアグネスとか。
それでお客様に日系3世でーすと“日系人の振り”
も実は結構いる。

ホノルル空港には60は過ぎたガイドさんが実はわんさかいる。
ここハワイのガイドさんの年齢層はすごく高いのです。

彼女達も“ジュリー”とか“アリス”とかかわいい名前を名乗っている。
中には“クリスティーヌ”とか“カトリ-ヌ”のたぐいの
ベルバラもどきの名前を会社から付けられた人達もいます。

可哀想だなーといつも思っていました。
だってあなたのどこが一体“クリスティーン”
なんですか?って雰囲気の方もいたから。

お客さんも吹き出すのこらえてる人も実際いました。
バリバリの日本人顔でいきなりクリスティーンと言われてもネ。

私とルームメイトのSちゃんが初めて仕事をする朝、
恒例の“名札”を会社から頂いた。

噂は聞いていたので恐る恐る私の名札を見ると、
“エミリィ”そう悪くない… ふっーーっ!

でも隣でSちゃんが無言。。。
名札の名前を覗き込むとなんと、なんと!

“エリザベスちゃん”
吹き出しそうなのを思い切り我慢して
「そう悪く無いじゃん!」と言ってみた。けどぉ~
どうみても“エリザベス”には見えない(笑)

これから大勢の観光客の団体の前で
「アロ-ハ!私が皆さんの担当ガイドのエリザベスでぇ-す。宜しくね」
って言わなきゃならないのだ。。

あーーっあの名札が自分のでなくて良かったぁー
と胸を思いっ切り心の中でなでおろした私だった。

しかしこの名前に慣れるのはかなりの時間がかかりました。
空港でも免税店でもバスの運転手にも
みんなにこの名前で通す事になる。

この名札を付けたとたん誰も本名で呼ぶ人はいなくなる。
ムームーを着ている間の私は完全な“エミリィ”になるのだ。

最初の一週間はお客さんに“エミリィさーん写真撮ってくださーい”
って言われてもなかなか振り向けなかった。
一体それ誰???って感じでしょうか。

しかし慣れは恐しいというか、
一ヶ月もすると、
免税店の休憩室なんかで運転手のおじさんに会ったりするともう
“こんにちは!エミリィでぇーす”と挨拶して、
エミリィにコーヒー1つお願いねっ!とか、

“エリザベスぅお疲れ-!”“エミリィもお疲れ-”
とムームー(仕事着)を着ている間とプライベートの
使い分けが自然に出来る自分が恐ろしかったのは事実・・

注:ガイド名は匿名です。

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